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1867

DON CARLOS
Versione pour la répétions generale
Paris, 24 février 1867

初演:1867年2月24日の総練習
台本作家:フランソワ・ジョセフ・メリ、カミーユ・デュ・ロクル
原作:シラー「ドン・カルロス」

 


DON CARLOS
Versione de la primiere représentation
Paris, Théâtre-Lyrique Impérial, 11 mars 1867

初演:1867年3月11日、パリ、オペラ座
台本:フランソワ・ジョセフ・メリ、カミーユ・デュ・ロクル
原作:シラー「ドン・カルロス」

  1855年に初演された、オペラ座への初の書き下ろしである大作《シチリアの晩鐘》は、十分な成功を収めることがないまま終わってしまいました。一方でオペラ座の官僚的で融通の利かない運営にはコリゴリしていたものの、ヴェルディは再度オペラ座で挽回する機会を窺っていたに違いありません。  さて、1862年に《運命の力》を初演した後、ヴェルディのオペラ作曲は小休止状態でした。1864年の夏になって、オペラ座からヴェルディに新作が依頼がありました。ヴェルディはその依頼そのものは断っているが、返信に新作を受ける可能性を仄めかしたことから、オペラ座が粘り強く交渉を重ねて説得し、翌年の末に正式な契約に漕ぎ着けた。  台本の原作は、ドイツの文豪フリードリヒ・フォン・シラー(1759−1805)の悲劇『ドン・カルロス Don Karlos』(1787年初演)に決まりました。台本はジョセフ・メリとカミーユ・デュ・ロクルが手がけた。グランドオペラの慣習通り5幕仕立てで、もちろんフランス語である。当初1866年6月末に楽譜をオペラ座に引き渡すことになっていたが、ちょうどこの頃、普墺戦争(註)が勃発し、その影響もあって作曲は予定から大幅にずれ込んだ。また作曲が進むにつれ、上演時間があまりに長くになってしまったことが問題となった。1867年2月頃までに数箇所のカット、改編で短縮を図った。それでも1867年2月24日の総練習では上演時間が5時間を越してしまい、ヴェルディは止む無く初演までに、さらに数箇所を短縮、初演の後にもカットを入れている。  1867年3月11日の《ドン・カルロス》初演では、フィリップにルイ=アンリ・オバン(《シチリアの晩鐘》のプロチダを創唱)、ロドリーグにジャン=バティスト・フォレ(彼は1868年にトマ《ハムレット》のタイトルロールを創唱したことで名高い)、エボリにポリーヌ・ゲイマール=ロテなど、多くのオペラ座の名歌手が投入された。ことにエリザベートを歌ったベルギー出身のソプラノ、マリー・サスは、 1860年から1877年までオペラ座のプリマドンナとして活躍し、ワーグナー《タンホイザー》のパリ上演(1861)でのエリザベート、マイヤベーア《アフリカの女》(1865)のセリカを創唱したことで高名である(もっともヴェルディは彼女の声を嫌っていた)。これだけの強力キャストでも、初演の評判は、ヴェルディ自身によると「成功ではなかった」という。タイトルロールのジャン・モレル(1836-87)というトゥールーズ生まれの若いテノールは、《ドン・カルロス》以外オペラ上演史にほとんど登場しない歌手で、彼が弱点になっていたようだ。とはいえ、《ドン・カルロス》は失敗というわけでもなく、1869年までオペラ座での上演が続いた。

Alagna,Mattila,Meier,Hampson,Van Dam
Orchestre de Paris
Pappano
Paris,10,13 & 16 March 1996
EMI TOCE-9203/5

 このディスクに収録されている、パリのシャトレ座での公演で使用された楽譜についてはこちらを御覧下さい。

Hampson, Ramey
Münchner Rundfunkorchester
Gómez-Martínez
München, July 1997
TELDEC WPCS-10069

 ハンプソンとレイミーの二重唱アルバム「テノール御免! No Tenors Allowed」。この中に「ドン・カルロス」の第2幕でのロドリーグとフィリップの二重唱が収められています。  国内盤も良く見れば気付くことができるのですが、最近このCDを聞くまで、パリ初演稿が使われていると知りませんでした。これはいわゆる"Version sans P.c"と呼ばれるもので、当初書き上げた楽譜のうちの42小節を、上演時間短縮のため9小節に書き直した短いヴァージョンです。
 1996年のパリのシャトレ座での公演ではこの二重唱の後半部分を大改訂後の(一般的に良く知られている)音楽に差替えてしまったため、正規の録音でこの二重唱の後半を音で聞けるのはこれが初めてとなります。
 ヴェルディが全面改訂し全く新しい音楽をつくった箇所では、パリ稿の音楽はしばしば軽視されがちです。確かにこの二重唱も、大改訂後の音楽の方がずっと充実しています。しかしこうしてハンプソンとレイミーという優れた歌手が歌えば、パリ稿での二重唱にも、パリ風グランドオペラとしての音楽様式の美を発見できるはずです。


DON CARLOS
Versione de la seconde représentation
Paris, Théâtre-Lyrique Impérial, 13 mars 1867

初演:1867年3月13日、パリ、オペラ座
台本作家:フランソワ・ジョセフ・メリ、カミーユ・デュ・ロクル
原作:シラ「ドン・カルロス」

 


DON CARLO
Versione della prima rappresentazione in Italia
Bologna, 27 ottobre 1867

初演:1867年10月27日、ボローニャ、コムナーレ劇場
台本作家:フランソワ・ジョセフ・メリとカミーユ・デュ・ロクルのフランス語台本を、アシーユ・ドゥ・ロージェールがイタリア語訳

 


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