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最新更新 2025年08月13日
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GIOACHINO ROSSINI
L'ITALIANA IN ALGERI
初演 1813年5月22日、ヴェネツィア、サンベネデット劇場
First performance 22 May 1813, Teatro San Benedetto, Venezia
台本 アンジェロ・アネッリ
Libretto Angelo Anelli
原作 ルイージ・モスカ の同名作のアネッリによる台本を手直してして使用
Original Libretto by Anelli for L'italiana in Algeri, music by Luigi Mosca
《タンクレーディ》でオペラセリアの大ヒット作を放ったロッシーニが、その3か月半後に同じヴェネツィアで初演したオペラブッファの傑作が《アルジェのイタリア女》である。ロッシーニの数々のオペラブッファの中でも、笑いに特化しているという点では随一の大傑作である。
作曲
まず1813年春までのロッシーニのオペラ活動を振り返っておこう。
ロッシーニはヴェネツィアのサン・モイゼ劇場で1810年から1813年まで5作のファルサを作曲、腕を磨いていった。5作のうちでも2作目の《幸福な間違い》は特に好評で、イタリア各地で上演されてロッシーニの名を高めた。
そうした時期の1812年9月26日、ミラノ、スカラ座で初演した《試金石》が大当たりになる。さらに1813年2月6日、ヴェネツィア、ラ・フェニーチェ劇場で初演された《タンクレーディ》が空前の大成功を収めた。
こうして1813年春、デビューから僅か3年でロッシーニは喜劇、悲劇どちらにおいてもイタリアオペラ界の新生になっていた。
《タンクレーディ》初演の後、ロッシーニはこのオペラのフェラーラでの上演 3月21日 (この時に悲劇的幕切が採用された)に同行した。この後のロッシーニの動向は分かっていないが、ヴェネツィアのもう一つの主要オペラ劇場、サン・ベネデット劇場が春のシーズンの開幕公演 1813年4月19日 として、ミラノで大当たりを取った《試金石》をヴェネツィアで初めて上演することになっていたので、一座と一緒にフェラーラからヴェネツィアに戻って来たのではないだろうか。
サン・ベネデット劇場での《試金石》ヴェネツィア初演は、しかしミラノとは正反対にまったくの不評で、4月28日つまり10日経たない公演で、当時の人気作、ステーファノ・パヴェージ Stefano Pavesi 《マルカントーニ氏 Ser Marcantonio》に差し替えられてしまった。その後5月8日からは、《マルカントーニオ氏》の第1幕に《試金石》の第2幕が組み合わされ、この変則的なかたちで5月20日まで公演が続いた。
さて、《アルジェのイタリア女》の制作は急なことだった。
《試金石》のヴェネツィア初演が催される9日前の4月10日、新聞にカルロ・コッチャ Carlo Coccia 1782―1873 による新作オペラが予告された。ところがこれは何らかの理由で遅れてしまい、間に合わなくなったようだ。
窮地に陥ったサン・ベネデット劇場の興行主ジョヴァンニ・ガッロ Giovanni Gallo は、ロッシーニに代替作を泣きついた。ロッシーニはこれを引き受け、既存の台本、アンジェロ・アネッリの《アルジェのイタリア女》の台本を用いて、短期間(18日とも27日とも)で1作書き上げた。
…と一般的に考えられている。たぶん大筋はそうだろう。しかし実際のところ、ロッシーニが新たなオペラを書くに至った経緯はまったく伝わっていない。ロッシーニが興行主ガッロの依頼で急な新作を引き受けたにせよ、その状況などはまったく分からない。
ちなみにコッチャのオペラは1か月ほど遅れ、6月24日に《野生の女 La donna selvaggia》が初演された。
客観的な資料が乏しいということは、検討すべき可能性が広くなることでもある。しかし《アルジェのイタリア女》の制作について踏み込んだ見解はこれまであまり見かけなかった。
ここでは、乏しい資料を基にして、従来の見方から少し離れて推測を大きく飛翔させた仮説を展開してみたい。
《アルジェのイタリア女》の制作に関する確実な情報は、たった一つだけ残されている。ヴェネツィアのロッシーニが5月8日付でアドリア(ヴェネツィアから南南西に47kmに位置する都市)に居る父ジュゼッペに宛てた手紙である。彼は
私は サン・ベネデット劇場のためのオペラを 書いているところです
io sto scrivendo un opera per S.Benedetto
と書いている。この手紙には、新作オペラのためにアドリアに行けなくなった詫びも認められている。
都合が悪くなったらすぐに連絡する、という前提に立てば、この手紙から、ロッシーニが作曲に着手したのはこの直前の5月初旬だったと推測できる。初演は5月22日なので、これはライプツィヒの 一般音楽新聞 Allgemeine Musikalische Zeitung での 《アルジェのイタリア女》は18日間で書かれた という報道と合致する。
しかし《アルジェのイタリア女》の2幕仕立てのオペラブッファで、短いファルサと異なりフルのオペラである。さすがに18日間で作曲するのは無理があるとみなされ、県の新聞 Il Giornale dipartimentale 紙の報じた 27日間 の方が実際だろうと信じられて来た。
《アルジェのイタリア女》が5月初旬に書き始められたとすると、それは《試金石》ヴェネツィア初演の公演が引っ込められて一週間ほど後ということになる。この時間軸からすると、ロッシーニが《試金石》の失敗を新作オペラで挽回せんと意欲を燃やしていたであろうことは十分に察せられる。
ではなぜ題材が《アルジェのイタリア女》だったのか。これについては従来何も検討されていない、つまり、たまたま手近にあったから、という程度の認識だったろう。
しかし名誉挽回に燃える作者が、手近にあった台本でよしとするものだろうか。
ロッシーニが用いた台本は ルイージ・モスカ Luigi Mosca 1775―1824 の同名のオペラ 初演 1808年8月16日 ミラノ のためのアンジェロ・アネッリ Angelo Anelli 1761-1820 によるものだった。モスカの《アルジェのイタリア女》はスカラ座での初演で35回も上演された成功作だった。ただ、にもかかわらずモスカの《アルジェのイタリア女》は他都市の劇場で上演された形跡がない。
アネッリは1790年代から長らくミラノ、特にスカラ座を拠点に活動していた。ということは二人はロッシーニが1812年9月26日にスカラ座で《試金石》を初演した頃に知り合っていた可能性が高い。
そこからさらに踏み込めば、ロッシーニがこの時期にアネッリの《アルジェのイタリア女》を読んでいた可能性は十分にある。そしてその捧腹絶倒な物語をロッシーニが大いに気に入ったとしても不思議はない。
ここからは想像を逞しくしよう。ロッシーニはアネッリの《アルジェのイタリア女》の台本をあまりに気に入ったので、やがて頭の中で音楽を付けるようになった。それがある程度熟成したところで、1813年春に急遽新作オペラブッファを1作書くよう求められた。しかもロッシーニはこれで名誉挽回を果たしたいと思っていた。
彼はこの急な依頼を、しかしアネッリの《アルジェのイタリア女》をオペラ化する絶好の機会だと受け止めたのではないか。ロッシーニが興行主に泣きつかれて新作オペラを渋々引き受けたのではなく、自分の《アルジェのイタリア女》を実現するまたとない好機に飛び付いた、という可能性だってあるのだ。
もちろん、これには確証はまったくない。ただこれは二つの点でか合点がいく。
第一に、アネッリの台本を既によく知っていて、音楽もある程度頭の中で出来上がっていたならば、あとはロッシーニは頭の中の音符を楽譜に書きつけるだけでよく、速筆の彼ならば18日でフルのオペラブッファを書き上げるのはそれほど難しくなかっただろう。27日というのが練習稽古等を含んだ日数であるならば、余裕のある日数とすら言える。
第二に、《アルジェのイタリア女》は制作日数が非常に短いにもかかわらず、既存作からの更生がほぼ見られない。ロッシーニは最初の興行オペラ《結婚手形》から自分の既存作からの更生を頻繁に行ってきたにもかかわらず、《アルジェのイタリア女》はほぼ新しく書き上げられた音楽でできている。これは《アルジェのイタリア女》の謎としてしばしば取沙汰されて来たものの、その理由までは誰も深入りしなかった。
しかし、ロッシーニが既に頭の中で《アルジェのイタリア女》をある程度書き上げていたのならば、既存作から更生する必要がなかっただけのことだろう。ちなみに《アルジェのイタリア女》から後の作品への更生もごく僅かに留まっている。
あくまで大胆な仮説であるが、少なくともロッシーニがアネッリの《アルジェのイタリア女》の台本をよく知っていてそれを取り上げた、と考えた方が自然に思われる。
さて《アルジェのイタリア女》は自筆譜が残されており、通常通り、レチタティーヴォ・セッコが不詳の協力者の手に委ねられていること、そして第2幕 第9番のリンドーロのカヴァティーナ、第13番 アリのアリア も同じ人物によって書かれたであろうことが判明している。
台本
アネッリの《アルジェのイタリア女》の台本については既に書いた通りである。
ただしロッシーニは作曲にあたり、アネッリの台本を様々に改変している。主な改変箇所は次の通り。
第1幕
第1番 導入 でのムスタファの登場の歌詞が新たに書き直された。。
タッデーオのカヴァティーナ(と続くレチタティーヴォ)は削除された。
第4番 合唱とイザベッラのカヴァティーナ のうち、カバレッタの歌詞を増強。
第6番 ムスタファのアリア の歌詞が新たに書き直された。
第1幕フィナーレの前にリンドーロの2つ目のアリアがあったが、削除。
第1幕フィナーレのストレッタ、本来の歌詞の後に擬音語を用いた歌詞を追加。
第2幕
イザベッラとリンドーロの二重唱があったが、その前のレチタティーヴォ・セッコだけ残し削除、第9番 リンドーロのアリア に差替え。
第11番 イザベッラのカヴァティーナ は新たに追加されたもの。
第12番 五重唱 は、本来ズルマも加わった六重唱だったものからズルマを外し、さらに後半を大幅に書き直している。
改変は総じて作品のブッファ色を強めており、滑稽味を増している。
それは特にムスタファに言える。モスカのオペラでは傲慢な君主の正確が強かったが、ロッシーニのオペラではイタリア女に夢中になる間抜けさが前面に出された。
第2幕のイザベッラの化粧のアリアも、イザベッラの女の狡猾さと、彼女に夢中になる男たちの興奮によって、メリハリのある場面になり、非常に滑稽だ。
滑稽さは第1幕フィナーレのストレッタで頂点となる。モスカのストレッタで使われていた歌詞はそのままで、その後にディンディン、タクタといった擬音語を用いた歌詞を追加、これにロッシーニが素晴らしい音楽を付けて大きな効果を上げている。
これらの調整をしたのは、クリティカルエディションの解説では、ガエターノ・ロッシ Gaetano Rossi(《タンクレーディ》の台本作家)ではないかと推測されている。というのも、後述する 第4番 イザベッラのカヴァティーナ の差替え曲 Cimentando i venti e l'onde はロッシが新たに詞を書いたと推測され、その一部が《タンクレーディ》の有名な Di tanti palpiti の詞と似ているからである。確証はないものの、可能性は十分あるだろう。
ところで、アネッリとロッシーニには後日談がある。
ロッシーニは《アルジェのイタリア女》初演から2年後の1815年5月16日付の手紙で、アネッリに1815/16年のカーニヴァルシーズンのための新作の台本を求めている。
次のカーニヴァルシーズンに私はオペラを書きにローマに行きます そこで 私は 奇抜さに満ちた君のオペラブッファの台本を希望します […] もし古い台本があるならば それを 手直ししてください、それが滑稽であれば 私は気にしません。
Questo Carnevale vado a Scrivere a Roma e voglio un tuo Libro Buffo Pieno di Capriccio [...] Se ne hai uno Vecchio accomodalo sono indifere[nte] purché sia ridicolo.
おそらくロッシーニはアネッリに、《アルジェのイタリア女》のような、あるいは《アルジェのイタリア女》を超える台本を期待したのだろう。しかしアネッリが送って来た台本はロッシーニの期待に応えられなかったようで、6月8日付でアネッリに再度宛てた手紙で不満を書いている。
あらゆる分野に言えることだが、一度空前の大成功を収めてしまった者は、今度はそれを超える作品を放たなくてはならないというプレッシャーに悩まされることになる。同じようなしかしより劣った作品を世に出すと『二番煎じ』と非難されるのが常である。
ロッシーニはローマでの新作でアネッリと直接コンビを組み、《アルジェのイタリア女》を超えるオペラブッファを作ろうとしたのだろう。しかしアネッリですらそれは出来なかった。
ロッシーニはその後《アルジェのイタリア女》のように豪快に笑いを取りに行くオペラブッファを書くことはなかった。
結局、1815/16年のローマでのカーニヴァルシーズンでは、1815年12月26日、ヴァッレ劇場でセミセリア《トルヴァルドとドルリスカ》が初演された。ご存知の通りこれは失敗に終わったが、その台本作家チェーザレ・ステルビーニを起用して、アルジェンティーナ劇場の求めで急遽制作し2月20日に初演したのが《セビリアの理髪師》である。これは《アルジェのイタリア女》とは方向性が異なるが、ロッシーニのオペラブッファの代表作となった。
初演
《アルジェのイタリア女》の初演は 1813年5月22日 ヴェネツィア サン・ベネデット劇場 で行われた。
ムスタファ
Mustafàフィリッポ・ガッリ
Filippo Galliバス
basso
エルヴィーラ
Elviraルットガルド・アンニバルディ
Luttgard Annibaldiソプラノ
soprano
ズルマ
Zulmaアンヌンツィアータ・ベルニ・ケッリ
Annunziata Berni Chelliソプラノ【注】
soprano
アリ【注2】
Halyジュゼッペ・スピーリト
Giuseppe Spiritoバス
basso
リンドーロ
Lindoroセラフィーノ・ジェンティーリ
Serafino Gentiliテノール
tenore
イザベッラ
Isabellaマリア・マルコリーニ
Maria Marcoliniソプラノ
soprano
タッデーオ
Taddeoパオロ・ロジク
Paolo Rosichバス
basso
注1 ズルマは今日では専らメッゾソプラノが受け持ち、クリティカルエディションでも Mezzosoprano と指定されている。
注2 -ly にアクセント。
フィリッポ・ガッリ 1783-1853 はロッシーニ時代の極めて重要なバス。ロッシーニの初演に関わったものだけでも、《幸せな間違い》のバトーネ、《試金石》のアスドゥルバーレ、《アルジェのイタリア女》のムスタファ、《イタリアのトルコ人》のセリム,《トルヴァルドとドルリスカ》のオルドウ公爵、《泥棒カササギ》のフェルナンド、マオメット2世のタイトルロール、《セミラーミデ》のアッスール。もちろんその他のロッシーニのバス役も各地で歌った。
セラフィーノ・ジェンティーリ 1775―1835 は ヴェネツィア生まれのテノール。1796年のカーニヴァルシーズンにアスコリ・ピチェーノでの出演記録があり、この頃がデビューだろうと考えられている。その後ナポリで数年活動した後、故郷ヴェネツィアを中心とした北イタリアで活躍する。1822、23年にはドレスデンで活動している。ジェンティーリは《アルジェのイタリア女》の創唱者として名高く、1815年8月9日のミラノ初演 スカラ座 でもリンドーロを歌った。彼がロッシーニのオペラの初演でも歌ったのはリンドーロだけだが、ロッシーニが1812年に書いたアリア 私は もう 私の平安を 失った La mia pace io già perdei(おそらく何かのオペラのための差替えアリアと思われる) はジェンティーレのために書かれたものと伝えられている。ジェンティーレは高い音域を得意とし、装飾歌唱にも長けていたことが、リンドーロの音楽から窺われる。
マリア・マルコリーニ 1780頃―1855 は1810年代前半のロッシーニと関りが深い歌手で、《ひどい誤解》 1811 ボローニャ のエルネスティーナ 、《バビロニアのチーロ》 1812 フェラーラ のタイトルロール、《試金石》 1812 ミラノ のクラリーチェ、《アルジェのイタリア女》 1813 ヴェネツィア のイザベッラ、《シジスモンド》 1814 ヴェネツィア のタイトルロールを創唱した。卓越したコントラルトだったのはロッシーニが彼女のために書いた音楽だけでもよく分かる。彼女は男装役を得意としたことで知られるが、《アルジェのイタリア女》のイザベッラは美女役で当たりを取った。
パオロ・ロジク 1780―? はスペイン生まれのバス。本名はパブロ・ロジク Pablo Rosich。バッソブッフォとして有名で、ロッシーニのオペラでは、《ひどい誤解》のブラリッキーノ と《アルジェのイタリア女》のタッデーオを創唱したことで知られている。もう一つロッシーニ絡みでは、1816年にフィレンツェで《セビリアの理髪師》が上演された際に、第1幕のバルトロのアリア A un dottor della mia sorte の代わりにピエトロ・ロマーニ Pietro Romani という作曲家が書いた差し替えアリア Manca un foglio を歌ったのがロジクである。当然これら以外にもロッシーニのバッソブッフォ役で活躍した。1825年以降は米国でも活動した。
初演は大成功だった。5月24日付のジョルナーレ・ディパルティメンターレ Giornale dipartimentale dell'Adriatico 紙では
このロッシーニ氏の音楽は、最も輝かしい経歴で始まったこの熱烈な才能による多くの実例に 【また一つ】 加えられ、全速力で 最も卓越した芸術の名人の足跡を残しに行っている。
La musica del Sig. Rossini va aggiunta a' tanti saggi che abbiam di questo fervido genio, che iniziato nella più brillante carriera, va di galoppo a premer l'orme de' più sublimi Maestri dell'arte.
公演は初日の後、マルコリーニが不調になり一旦中断する。5月29日から公演が再開、6月30日にシーズンが終わるまでに少なくとも30公演が行われたと考えられている。
※普請中※
なお後述するように、今日一般的な《アルジェのイタリア女》はこの初演の時のままではなく、後のいくつかの改変が反映されたものである。
初演後
7月に入り、一座はヴェネツィアから西北西に60kmほど離れたヴィチェンツァへの楽旅に出た(彼らはさらにトレヴィーゾに向かった)。建築家アンドレア・パッラーディオ 1508―1580の数々の名建築で知られるこの都市には、ヴェネツィアの貴族、商人たちの別荘が多くあり、夏の避暑地になっていたので、夏にシーズンが催された。
ヴィチェンツァでの《アルジェのイタリア女》は、1813年7月、エレテーニョ劇場 で上演された。
ムスタファ
Mustafàドメニコ・ヴァッカーニ
Domenico Vaccaniバス
basso
エルヴィーラ
Elviraルットガルド・アンニバルディ
Luttgard Annibaldiソプラノ
soprano
ズルマ
Zulmaアンヌンツィアータ・ベルニ・ケッリ
Annunziata Berni Chelliソプラノ
soprano
アリ
Halyジュゼッペ・スピーリト
Giuseppe Spiritoバス
basso
リンドーロ
Lindoroラッファエーレ・モネッリ
Raffaele Monelliテノール
tenore
イザベッラ
Isabellaマリア・マルコリーニ
Maria Marcoliniソプラノ
soprano
タッデーオ
Taddeoパオロ・ロジク
Paolo Rosichバス
basso
ムスタファが ドメニコ・ヴァッカーニ に、リンドーロが ラッファエーレ・モネッリ に代わっているが、他はヴェネツィアと同じままである。
この時、あるいは既にヴェネツィア公演の途中で、第1幕のイザベッラのカヴァティーナが Cimentando i venti e l'onde に差替えられた。
このカヴァティーナについては 音楽 の項で改めて説明するとして、これはオリジナルの Cruda sorte! Amor tiranno! とはまったく趣の異なる曲である。レチタティーヴォを前においた、緩 Maestoso/急 Allegretto/急 Allegro のような大規模な作りで、最後の Allegro を除くとかなりオペラセリア的な音楽である。部分的に《タンクレーディ》の有名な Di tanti palpiti を思い起こさせるのは、詞を書いたのが同じガエターノ・ロッシだったからかもしれない。Allegretto での Gli chiederò, mi guarderà, のように、両者で似た表現はいくつかみられる。
マルコリーニは数年後の公演ではどちらのカヴァティーナも退け、第三者の曲に差替えてしまった。彼女は Cruda sorte! を気に入ってなかったようだ。
一方ロッシーニは、Cimentando i venti e l'onde をあくまでマルコリーニのための特別措置と考えていたようで、後述する1814年 ミラノでの上演では Cruda sorte! を手直しして復活させている。
初演直後の《アルジェのイタリア女》の主だった公演は次の通り。
1813年秋 トリノ カリニャーノ劇場 Teatro Carignano。ムスタファはガッリ。イザベッラは ローザ・モランディ Rosa Morandi、《結婚手形》初演 1810 ヴェネツィア のファンニ。
1814年 カーニヴァル・シーズン トリエステ ヌオーヴォ劇場 Teatro Nuovo。ムスタファはボローニャ生まれのバス、ラニエーロ・レモリーニ 1783―1827、《トルヴァルドとドルリスカ》初演 1815 ローマ の ジョルジョ、《エジプトのモゼ》(初稿) 初演 1818 ナポリ のファラオーネ。タッデーオは創唱者ロジク。
春、フィレンツェ ペルゴラ劇場 Teatro della Pergola。イザベッラは マルコリーニ。ムスタファは ルイージ・ザンボーニ Luigi Zamboni 1767―1837、彼は《セビリアの理髪師》 1816 ローマ 初演のフィガロとして名高い。タッデーオは ルイージ・パチーニ Luigi Pacini 1767―1837、当時の高名なバッソブッフォで、《成り行き泥棒》初演 1812 ヴェネツィア の ドン・パルメニオーネ、《イタリアのトルコ男》 初演 1814 ミラノ の ドン・ジェローニオ。
これらの公演は基本的にロッシーニは関与していないと思われる。
1814年4月、ミラノ レ劇場 Teatro Re で《アルジェのイタリア女》がミラノ初演された。
ムスタファ
Mustafàジョヴァンニ・ボッターリ
Giovanni Bottariバス
basso
エルヴィーラ
Elviraマッダレーナ・モンティチェッリ
Maddalena Monticelliソプラノ
soprano
ズルマ
Zulmaジュゼッパ・スコッティ
Giuseppa Scotti ソプラノ
soprano
アリ
Halyガエターノ・マルコーニ
Gaetano Marconiバス
basso
リンドーロ
Lindoroセラフィーノ・ジェンティーリ
Serafino Gentiliテノール
tenore
イザベッラ
Isabellaカロリーナ・バッシ
Carolina Bassiソプラノ
soprano
タッデーオ
Taddeoバルトロメオ・ボッティチェッリ
Bartolomeo Botticelliバス
basso
リンドーロは初演と同じセラフィーノ・ジェンティーリだった。そしてロッシーニは彼のために、ヴェネツィアでの初演時には第三者によって代筆された 第9番 リンドーロのカヴァティーナ Oh come il cor di giubilo を、自作の新たなアリア Concedi, amor pietoso に差替えた。カヴァティーナの前のレチタティーヴォ(イザベッラが現れるところから)も新しいものになり、カヴァティーナは緩 カンタービレ/急 カバレッタ。急 カバレッタ Voce che tenera は、《タンクレーディ》のヴェネツィア初演で歌われたタンクレーディのアリア Dolci d'amor parole のカバレッタ Voce che tenera を僅かに手直ししただけで更生したもの。高いハ音が頻出する難易度の高い音楽だが、充実度は Oh come il cor di giubilo よりずっと高い。近年では Concedi, amor pietoso をオペラ本体で採用することも稀にある。
イザベッラは、1810、20年代に活躍したコントラルト、カロリーナ・バッシ Carolina Bassi 1781―1862。ナポリの生まれ。彼女はこの5か月前の1813年12月18日、同じレ劇場のこけら落とで上演された《タンクレーディ》のタイトルロールで大成功を収めた。後に《ビアンカとファッリエーロ》初演 1819 ヴェネツィア のファッリエーロでもある。彼女はマルコリーニとほぼ同世代だが、難役ファッリエーロを創唱したことからもおそらく彼女の方がロッシーニの時代の最先端を行く音楽に技術的にも精神的にも対応したコントラルトのようで、このレ劇場での《アルジェのイタリア女》でロッシーニは第4番 イザベッラのカヴァティーナ Cruda sorte! Amor tiranno! と、第11番 イザベッラのカヴァティーナ Per lui che adoro, がどちらもいくらか手直しされた。前者は、前述の通り、ヴェネツィアの段階で差替えられていたと思われるので、復活させた上での手直しである。両曲とも現在一般的に聞けるのはこのミラノでの手直しされたものである。
1814年秋には、ロッシーニの両親が住むボローニャの市立劇場で公演。イザベッラが マルコリーニ、ムスタファが レモリーニ、タッデーオがロジク、リンドーロが アメリゴ・ズビゴーリ Almerigo Sbigoli 。アリは創唱者スピーリトだった。
1815年になると公演は急増する。重要な二公演だけ取り上げる。
8月9日、ミラノ スカラ座で《アルジェのイタリア女》が初めて上演された。イザベッラが マルコリーニ、ムスタファが ガッリ、リンドーロが ジェンティーリ と創唱者たちが起用され、さらにタッデーオは パチーニ と豪華な面々が揃った。この公演は大成功を収め、実に49回もの公演があったという。この公演にはロッシーニは関与していない。
スカラ座での《アルジェのイタリア女》の前の6月にロッシーニはナポリに短期滞在し、この時にナポリでの活動を契約し、そしてスカラ座公演の後の9月に本格的にナポリに腰を据えて拠点とした。その最初の新作《エリザベッタ、イングランドの女王》が10月4日 サン・カルロ劇場で初演さえされた。そして10月末に、ロッシーニはナポリのフィオレンティーニ劇場で《アルジェのイタリア女》と《幸福な間違い》を上演する。
ムスタファ
Mustafàフェリーチェ・ペッレグリーニ
Felice Pellegriniバス
basso
エルヴィーラ
Elviraフランチェスカ・ケッケリーニ
Francesca Checcheriniソプラノ
soprano
ズルマ
Zulmaフランチェスカ・カルディーニ
Francesca Cardiniソプラノ
soprano
アリ
Halyジョヴァンニ・パーチェ
Giovanni Paceバス
basso
リンドーロ
Lindoroジョヴァンニ・バッティスタ・ルビーニ
Giovanni Battista Rubiniテノール
tenore
イザベッラ
Isabellaジャチンタ・グイーディ・カノーニチ
Giacinta Guidi Canoniciソプラノ
soprano
ポンペーオ
Pompeoガエターノ・カブラン
Gaetano Chabranバス
basso
ナポリでの《アルジェのイタリア女》は様々に改変されている。第9番 リンドーロのカヴァティーナ Oh come il cor di giubilo と、第13番 アリのアリア Le femmine d'Italia (どちらも第三者による代筆曲)は削除された。タッデーオは名前を ポンペーオ Pompeo に変えられた。
最大の改変は 第15番 合唱とイザベッラのロンド Pensa alla patria, e intrepido の差替えである。ナポリでは Sullo stil de'viaggiatori というレチタティーヴォとアリアに代わった。
クリティカルエディションの解説では、これは Pensa alla patria の愛国心を煽る歌詞がナポリでは問題になったからだろう、と推測している。
※普請中※
スペイン初演は、1815年、バルセロナ。リセウ大劇場の公式サイトの《アルジェのイタリア女》の上演記録のページによると、1815年8月29日、(リセウ大劇場ではなく)ラ・サンタ・クレウ劇場(今日のプリンシパル劇場)での公演だったという。これがスペインでの最初のロッシーニのオペラの上演だったようだ。
ドイツ語圏での初演は 1816年6月18日、ミュンヘン 宮廷劇場。バイエルン州立図書館のサイトのRossini's conquest of Munich in 1816. A virtual exhibitionというページには、これがドイツ語圏における《アルジェのイタリア女》初演というのみならず、あらゆるロッシーニのオペラで初めてドイツ語圏で上演された公演だったとある。
フランス初演は、1817年2月1日、パリ イタリア劇場 Théâtre Royal Italien, (会場はサル・ファヴァール Salle Favart)。リンドーロは高名な マヌエル・ガルシア Manuel Garcia だった。イザベッラは パオリーナ・モランディ Paolina Morandi と表記されているがこれはローザ・モランディのことである。ムスタファが マッテオ・ポルト Matteo Porto。ズルマの ラウラ・チンティ Laura Cinti 1801―1863 は 、後にロッシーニに見出されて、《試金石》 1821、《エリザベッタ》 1822、《エジプトのモゼ》 1822 のいずれもパリ初演 に出演、そして《ランスへの旅》初演 1825 パリ のフォルヴィル伯爵夫人に大抜擢された。彼女はさらにフランス風にロール・サンティ・ダモロー と名乗り、《オリ伯爵》の伯爵夫人、《ギヨーム・テル》のマティルドを創唱している。
オーストリア初演は、1817年2月15日、ウィーン、宮廷劇場。イザベッラは ジェンティーレ・ボルゴンディオ Gentile Borgondio、彼女については 1780年、ブレッシャ生まれという他は情報が乏しいが、ウィーンを中心としたドイツ語圏で活躍し、タンクレーディを特異としたという。ムスタファは ニコラ・デ・グレチス、ロッシーニ《結婚手形》初演 1810 ヴェネツィア のスルック、《絹のはしご》初演 1812 ヴェネツィア のジェルマーノ、《ブルスキーノ氏》初演 1813 ヴェネツィア のガウデンツィオ。リンドーロが ジョヴァンニ・デ・ヴェッキ Giovanni De Vecchi。タッデーオが ヴィンチェンツォ・グラツィアーニ Vincenzo Graziani。
英国初演は、おそらく1819年1月26日、ロンドン ヘイマーケット国王劇場 King's Theatre in the Haymarket。リンドーロがマヌエル・ガルシアだった。イザベッラは テレーザ・ベッロク(=ジョルジ) Teresa Belloc(-Giorgi) 1784―1855、《幸福な間違い》初演 1812 ヴェネツィア のイザベッラ、そしてとりわけ《泥棒かささぎ》初演 1817 ミラノ のニネッタとして名高い。彼女はソプラノだったが、しばしばコントラルト役も手掛けた。
北米初演は、1832年4月24日、ルイジアナ州 ニューオリンズ オルレアン劇場 Théâtre d'Orléans。ニューオリンズは1803年にフランスが合衆国に譲渡するまで80年ほどフランス領ルイジアナの首都だったので、オペラもフランスオペラもしくはフランス語訳のオペラが上演されており、この時の《アルジェのイタリア女》もフランス語訳上演だったという。
そのおよそ半年後、北米におけるイタリア語での初上演が、1832年11月5日、ニューヨーク、バワリー劇場 Bowery Theatre で催された。ヘンリー・チャールズ・レイヒー Henry Charles Lahee 著 Annals of Music in America A Chronological Record of Significant Musical Events によると、これはモーツァルトの台本作家、ロレンツォ・ダ・ポンテ Lorenzo da Ponte が率いる一座の北米での一連の公演の一つだったという。出演者は姓だけ ヴェルドゥッチ Verducci、ファネッティ Fanetti、フォルニサーリ Fornisari、指揮は ラペッティ Rapetti。このうち ヴェルドゥッチ Verducci は ピエトロ・ヴェルドゥッチ Pietro Verducci ではないかと思われる。1810、20年代にイタリア諸都市で専ら脇役テノールで活動した。
また W.G.アームストロング W. G. Armstrong 著 A record of the opera in Philadelphia によると、1833年2月4日 フィラデルフィア でも公演があった。ヴェルドゥッチは同じ、フォルナサーリFornasari、サピニョーリ Sapignoli、ペドロッティ Pedrotti。
日本初演は、1967年9月28、29日、東京 渋谷公会堂にて、第13回芸大オペラ定期発表の公演だったとされる。
《アルジェのイタリア女》は、大雑把に言って、1810年代後半から1820年代半ば頃まで頻繁に上演され、その後も1840年代まではしばしば上演があった。19世紀後半になっても散発的に上演があり、記録にある19世紀最後の上演は1880年春 トリノ スクリーベ劇場 Teatro Scribe だが、この後にもどこかで公演があっても不思議ではない。19世紀末から20世紀初頭にかけても《アルジェのイタリア女》は細々と生き長らえたのではないだろうか。
したがって20世紀の最初の上演もよく分からない。
米国のメトロポリタン歌劇場では1919年12月5日に初めて公演が行われたので、ヨーロッパではそれより前に上演があったと思われる。
ちなみにMETではこの時の4回の公演の後、5回目は1973年11月10日まで54年開くことになる。
《アルジェのイタリア女》のみならず、《セビリアの理髪》や《ラ・チェネレントラ》を20世紀に再興させたのは、バルセロナ生まれのメッゾソプラノ、コンチータ・スペルヴィア Conchita Supervia 1895―1936 の功績である。彼女はイザベッラ、ロジーナ、アンジェリーナを女声低声に取り戻し、その魅力を再発見させた。
彼女がいつ最初にイザベッラを歌ったかははっきりしなかったが、1925年11、12月、トリノ劇場 Il Teatro di Torinoでの上演がよく知られている。トリノ劇場での活動を紹介するサイトで紹介されており、公演は1925年11月26、28日、12月13、15日の4回。指揮はヴィットーリオ・グイ。スペルヴィアはイザベッラを当たり役とし、《アルジェのイタリア女》を各地で歌い広めた。
1933年2月16日、ミラノ スカラ座で20世紀初の上演。イザベッラが ブルーナ・カスターニャ Bruna Castagna、リンドーロが ジョヴァンニ・マヌリータ Giovanni Manurita、ムスタファが ヴィンチェンツォ・ベットーニ Vincenzo Bettoni、指揮はフランコ・ギオーネ。
《アルジェのイタリア女》は、1960年代に上演頻度が高まり始め、その潮流は1973年にアツィオ・コルギ Azio Corghi による校訂のクリティカルエディションの初版が成立してから加速している。
クリティカルエディションを用いた初の上演は、1973年12月7日(カーニヴァルシーズン開幕公演)、ミラノ スカラ座。イザベッラが Teresa Berganza、ムスタファが パオロ・モンタルソロ Paolo Montarsolo、リンドーロが ウーゴ・ベネッリ Ugo Benelli、タッデーオが エンツォ・ダーラ Enzo Dara、エルヴィーラが マルゲリータ・グリエルミ Margherita Guglielmi、ズルマが ラウラ・ザンニーニ Laura Zannini、アリが アンジェロ・ロメロ Angelo Romero。指揮が クラウディオ・アッバード。演出が ジャン=ピエール・ポネル Jean-Pierre Ponnelle。公演は1973年12月7、10、14、16、20、23、30日、1974年1月3、8、11日の10回。これは大成功を収めた。なお12月30日以降の4公演ではイザベッラがルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ Lucia Valentini-Terrani に代わった。
今日では《アルジェのイタリア女》はロッシーニのオペラブッファを代表する傑作として頻繁に上演されている。
あらすじ
第1幕
第1幕
アルジェのベイ(地方総督)、ムスタファの王宮。ムスタファの愛を失った彼の妻エルヴィーラを、宦官たちとズルマが慰めている。ムスタファが登場。エルヴィーラはなんとか夫の愛を取り戻そうとするが、傲慢なムスタファは彼女の話を聞こうともしない。ムスタファは、エルヴィーラをイタリア人奴隷のリンドーロに押し付けることに決めると、アリにイタリア美女を捕獲して来るよう命じる。
リンドーロは3ヶ月前から奴隷の身になっていた。彼は恋人イザベッラに思いを馳せる。だがムスタファからエルヴィーラを妻に押し付けられそうになり、なんとか言い逃れようとするものの、押し切られてしまう。
海岸。難破した船から海賊たちが乗客と荷物を奪って海岸に戻って来る。その中でひときわ目立つ美女が、行方不明のリンドーロを捜しに船に乗ったイザベッラだった。酷い運命を嘆くイザベッラだったが、すぐに気持ちを切り替えてこの困難を乗り切ろうと決意する。すると彼女の「追っかけ」タッデーオもアリに追われてやって来る。イザベッラはタッデーオを自分の叔父だと偽る。アリは、ムスタファに献上するイタリア女が見つかったと大喜び。タッデーオが筋違いの嫉妬をするので(彼はリンドーロの存在は知っているが彼の顔は知らない)、二人は喧嘩別れしそうになるが、しかしこの窮地には結託しなければならず、仲直りして叔父と姪として振る舞うことにする。
王宮。ムスタファはリンドーロに、エルヴィーラを連れてイタリアへと帰国することを許可する。複雑な思いのリンドーロだが、とにかくも帰国できることを喜ぶ。そこにアリが、イタリア美女を捕らえたと報告する。大喜びのムスタファ。通されたイザベッラは、ムスタファの珍妙な姿に笑い出し、ムスタファは彼女の美しさにのぼせ上がる。そこにタッデーオが姪に会わせろと押し入ってくる。怒るムスタファにイザベッラは、あれは叔父だと釈明する。今度はリンドーロ、エルヴィーラ、ズルマが、ムスタファへの別れの挨拶をしに来る。イザベッラとリンドーロは思いがけぬ再会に驚く。エルヴィーラがムスタファの妻だと知ったイザベッラは、妻を追い出す風習などとんでもないとムスタファを非難する。一同の混乱で幕となる。
第2幕
宦官たちが、イザベッラに腑抜けてしまったムスタファを驚いている。ムスタファはイザベッラをコーヒーに誘って陥落させようと企む(イスラム教ではお酒は飲めないので)。イザベッラは、リンドーロがエルヴィーラと結婚することになっていたことにショックを覚えているが、リンドーロが事情を説明し、誤解を晴らす。そして他のイタリア人たちと協力してアルジェから逃げることにする。
タッデーオが、アリに追いかけられているとムスタファに訴える。実はムスタファがタッデーオをカイマカン(君主の代理、補佐をする高官)に任命したのだ。仰々しいトルコの衣装を着せられた上、トルコ人たちに讃えられ、タッデーオは困惑する。しかし辞退を申し出るとムスタファが不機嫌になったので、しぶしぶカイマカンを引き受ける。
イザベッラは身支度をしながら、エルヴィーラにもコーヒータイムに参加するよう説得する。いとしい人のためにもっと美しくなりたいと歌うイザベッラを、ムスタファ、リンドーロ、タッデーオの三人が陰から覗き見る。ムスタファはタッデーオに、くしゃみをしたらイザベッラと二人きりにさせるよう命じるが、タッデーオはそれを無視。しかもイザベッラがエルヴィーラを呼び、妻には優しくするべきだと諌めるので、ついにムスタファの怒りが爆発。それを見ていたアリは、イタリア女のしたたかさに感心する。
タッデーオはリンドーロに、実は自分はイザベッラの叔父ではなく恋人だと言い出し、リンドーロを呆れさせる。そこに気分を害したムスタファが文句を言いに来る。しかしリンドーロから、彼女はもう少しで陥落するところだったと言われると、すぐ機嫌を直す。リンドーロはさらに、イザベッラから「パッパターチ」という、食べて飲んで寝ることを信条とする結社を作るよう求められたことを告げ、ムスタファもそれを受け入れる。
イザベッラは囚われのイタリア男たちに、祖国を思って勇気を奮おうと呼びかける。タッデーオは、彼女が自分のために奔走しているのだと勘違いしてほくそえむ。
ムスタファのパッパターチ入会の儀式が始まる。ムスタファは、見ても見ず、聞いても聞かず、黙って食べるという誓いを立てる。食事が始まると、イザベッラは検定と称してリンドーロと愛を語り合う。ムッとするムスタファにタッデーオが誓いを思い出させると、ムスタファも気にせず食事をするようになる。その隙にイタリア男たちが船を用意し、イザベッラとリンドーロも乗船する。タッデーオはようやく、あの青年こそイザベッラの恋人リンドーロだったと気付き、ムスタファに裏切りだと告げるが、すっかり「パッパターチ」に乗せられてしまったムスタファはそれを気にしない。悩んだ末に、タッデーオも船に乗り込む。
イタリア人たちが逃亡したとの知らせにすら気にかけないムスタファだが、イザベッラも一緒だと聞いてようやく我に返る。しかしトルコ人たちは皆酒に酔いつぶれて使い物にならない。ムスタファは、もうイタリア女は懲り懲りだとエルヴィーラと縒りを戻す。一同が、女はすべての男を虜にすると唱和して幕となる。
音楽
序曲
作曲に時間の余裕がなかったにもかかわらず、この序曲は完全な新作で、また後に更生されることもなかった。序奏を持つ 展開部のないソナタ形式。主部は Allegro 4/4 ハ長調。非常に快活な第1主題と、おどけたような第2主題、ロッシーニクレシェンドの効いたコデッタと、実によくできている。なお楽譜には大太鼓と併せてトルコ風楽団 Banda Turca が指定されいる。この扱いは指揮者の裁量に任されており、時にトルコ風の打楽器が賑やかに加えられることもあるが、ごく控えめのこともあり、マチマチである。
第1幕
第1番 導入 Introduzione は、開幕の合唱(エルヴィーラとズルマの小二重唱を含む)と、ほぼムスタファの登場のアリア という作りになっている。合唱 Serenate il mesto ciglio: は Andantino 4/4 ト長調。ここは穏やかな曲想だが、アリがムスタファの到着を告げるとやおらオタオタした音楽になる。ムスタファの登場 Delle donne l'arroganza, は Andantino 4/4 ホ長調。バスの華麗な装飾歌唱が披露される。Allegro に転じ、エルヴィーラが恐る恐る声をかけると、ムスタファは Cara m'hai rotto il timpano: (ト長調に転じる)の威嚇的な音楽で応え、すぐに Più mosso のストレッタに入る。次々と音楽が変化しつつ、どれも実に効果的で、たいへん充実した導入である。
第2番 リンドーロのカヴァティーナ Cavatina Lindoro は、緩 カンタービレ/急 カバレッタ の二部構成のカヴァティーナ。前奏には美しいホルン独奏が与えられている。緩 カンタービレ Languir per una bella は Andantino 6/8 変ホ長調。前奏のホルンの旋律を受け継いで、捕らわれ奴隷になったリンドーロの嘆きが高い音域で綴られている。イ音や変ロ音が頻出し、それを柔らかく歌う必要がある。Allegro のテンポ・ディ・メッゾ(中間部)を経て、急 カバレッタ Contenta quest'almaは装飾歌唱も高度なら、高いハ音も頻出し、ロッシーニのテノールのためのアリアの中でもきついものの一つである。
第3番 リンドーロとムスタファの二重唱 Duetto [Lindoro - Mustafa] Se inclinassi a prender moglie は Allegro 4/4 ト長調。オペラブッファではおなじみの早口の二重唱。16分音符が密に詰まって言葉がぎっしり並び、猛烈なスピード感を生んでいる。
第4番 合唱と イザベッラのカヴァティーナ Coro e Cavatina Isabella は、合唱を前に置いた 緩 カンタービレ/急 カバレッタ の二部構成のカヴァティーナ。このカヴァティーナはイザベッラの人物像をよく提示しているもの。合唱 Quanta roba! quanti schiavi! は Allegro 4/4 ハ長調。ザワザワした音楽で比類ない美女を見付けた海賊たちの喜びを表している。緩 カンタービレ Cruda sorte! Amor tiranno! は、船が難破し海賊に捕らわれるという運命を嘆きながらも、しかし嘆きの歌ではなく、彼女の強い気質が感じられる。Allegro に転じ、テンポ・ディ・メッゾを経て、急 カバレッタ Già so per pratica では 弦のピッツィカートの連なりに乗って、イザベッラの魅力と自信がが見事に描かれている。なお最後近くの2小節(129、130小節)は、自筆筆は鉛筆で打ち消しの×が引かれているという。クリティカルエディションでは含められているものの、多くの場合この2小節は省略される。なお前述の通り、現在一般的に聞けるこのアリアは1814年のミラノでの上演の際に手直しされたもの。初演時のものと基本は同じだが、歌の旋律やオーケストレーションが微妙に異なっている。
第5番 イザベッラとタッデーオの二重唱 Duetto [Isabella - Taddeo]は、急/さらに急の二部構成。Ai capricci della sorte は Allegro 4/4 ト長調。軽快に弾む旋律とそれに合いの手を打つ弦のピッツィカートは、一度聞けば忘れられないほどシンプルかつ強力な魅力を持っている。喧嘩別れになりそうになった二人が我に返る様子を6小節のヴァイオリンの単旋律で素晴らしく描いている。テンポが Allegro vivace に上がり、二人は Ah no: per sempre uniti, と楽し気に一緒に歌うのだが、タッデーオは何度も Ma quel Bey, Signora, としつこくぼやく。これに対するイザベッラの なるようになる sarà quel che sarà という気風の良さには、誰でも魅了されざるを得ないだろう。
第6番 ムスタファのアリア Aria Mustafa、Gia d'insolito ardore nel petto は Allegro 4/4 変ロ長調。ムスタファ唯一のアリア。美女が見つかったと聞いてニタニタムラムラしているムスタファの緩んだ顔が浮かぶ音楽だが、バスにとってやっかいな装飾歌唱が頻出し、技術の高さが求められる。
第7番 第1幕フィナーレ Finale Primno は6つの部分からなり、それぞれがたいへんに充実している。合唱 Viva, viva il flagel delle donne, は Allegro 4/4 ハ長調。活気ある合唱の後、比類ない美女の姿を見ようと一同が固唾を飲んで待っていると、イザベッラが現れ、音楽は Andantino 4/4 変ホ長調 に変わる。これは雰囲気を一転させるだけの変化で、イザベッラはムスタファを見て (Oh! che muso, che figura!... と吹き出す。展開と音楽の両面で大きな落差を作って笑わせている。後半ではイザベッラは一転してムスタファに誘いをかけるかのように救いを求める。ムスタファは強調記号の付いた16分音符部分4つの音型を繰り返すが、これは抑え切れずにこぼれる笑いだろう。タッデーオが闖入、Vo' star con mia nipote, は Allegro 4/4 ハ長調。彼は英雄よろしくイザベッラを取り戻しに駆け付けたつもりなのだろう、音楽はまるでセリアのように颯爽と始まるが、二人の親し気な様子にたちまち音楽が揺らぎ、そしてオペラブッファ的なアンサンブルに至る(タッデーオは当然早口)。この短い場面にタッデーオの人物像が手際よく示されている。リンドーロ、エルヴィーラ、ズルマが出発を告げに来る。Pria di dividerci da voi, Signore, は Andantino 3/4 ハ長調。ここはコンチェルタートに当たる。心臓の鼓動を模した8分音符に乗って7人の思いが絡む。見事なアンサンブルは、しかしタッデーオの ムスタファは なんて 酷い顔を しているのだ。 che brutto muso fa Mustafa. という間抜けな一言で締め括られる。Allegro の経過区を経て、ストレッタ Va sossopra il mio cervello になる。Allegro vivace 4/4 ハ長調。ロッシーニは元の台本のストレッタ部分を始めのほうで片付けてしまい、新たに付け加えられたほとんどみのない擬音語で猛烈な混乱の音楽を作っている。このストレッタはこれはオペラブッファの歴史でも一つの頂点に達していると言ってよい、抱腹絶倒の音楽である。
第2幕
第8番 導入 Itroduzione は、第1幕 第1番の導入の冒頭の合唱と設定はほぼ同じ、宦官たちの合唱とエルヴィーラ、ズルマ、これにアリが加わる なのだが、状況がまったく変わってしまったことが詞でも音楽でも表されている。宦官たちは Uno stupido, uno stolto とムスタファを嘲り、Allegro 2/4 イ長調 の小気味よい音楽にはもはや哀れみも緊張もない。
第9番 リンドーロのカヴァティーナ Cavatina [Lindoro] Oh come il cor di giubilo は、ロッシーニの作曲した曲ではなく、第三者の代筆したもの。Allegro 4/4 ハ長調 の単一構成。総じて素直な音楽で、装飾歌唱は限定的。しかし簡素ながらもそれなりに魅力のある音楽なのは否定できない。前述の通り、ロッシーニは1814年、ミラノでの公演に際し自作のアリア Concedi, amor pietoso に差替えているのだが、今日でも Oh come il cor di giubilo の方が一般的に用いられている。
第10番 合唱、レチタティーヴォとタッデーオのアリア Coro, Rcitativo e Aria Taddeo はタッデーオ唯一のアリア。合唱 Viva il grande Kaimakan, は Allegro 4/4 ニ長調。賑やかなほどにタッデーオを困惑させる。レチタティーヴォを挟んで、アリア Ho un gran peso sulla testa; は Allegro 4/4 ニ長調。基本的にバッソ・ブッフォの嘆き、ぼやきの歌なのだが、ああ! タッデーオよ、これは なんという 岐路だ! Ah! Taddeo, che bivio e questo! というところで音楽が強い憂いを見せる(ロッシーニはこの音楽を後に《湖の美女》などでも用いている)。終盤は合唱と掛け合いながらやけっぱちに駆け抜ける。
第11番 イザベッラのカヴァティーナ Cavatina Isabella は、化粧のアリア として知られているもの。A/B/A’/B’ の構成。A Per lui che adoro, は Andante grazioso 2/4 ヘ長調。美女の優美さをしっとりと描いている、のだが、B (Guarda, guarda, aspetta, aspetta... では Allegro に上がって覗き見しているムスタファを小馬鹿にする。これが2回繰り返され、対比の強い音楽で女の裏表が露わにされている。B’では男三人が多く参加し、三人とも彼女に夢中になっている様子が分かる。なおこのカヴァティーナも現在一般的なものは1814年 ミラノでの公演で手直しされたもの。初演稿ではオブリガートはフルートではなくチェロだった。
第12番 五重唱 Quintetto は第2幕の前半の締め括りの役目がある。緩/急/さらに急 といった三部構成。緩 Ti presento di mia man は Andantino 4/4 ハ長調。これも前半と後半に分かれ、後半 Ah! mio caro. がイザベッラとムスタファの逢引きの場面。ムスタファが人払いの合図にするくしゃみと、それを無視するタッデーオの駆け引きはたいへんに滑稽だ。イザベッラがエルヴィーラを招き、中間部 Allegro 3/4 ハ長調 になる。イザベッラの魂胆を理解したムスタファは Andate alla malora. と激怒。Allegro molto 4/4 ハ長調。ここではオーケストラでカトゥーバ Catuba が打ち鳴らされる。これは大太鼓とシンバルを組み合わせたもので、トルコ軍楽風の響きを轟かす。ムスタファが喚き立てるも、すぐに急速な五重唱になる。ヴァイオリンとヴィオラがスル・ポンティチェッロ(駒の近くを弓で弾く)でシャリシャリと奏で、そこに管楽器が急速に上行下行する、これはおそらく嵐の描写だろう。
第13番 アリのアリア Aria Haly、Le femmine d'Italia も第三者による代筆曲。Allegro giusto 4/4 ト長調。いわゆるアリア・ディ・ソルベート/シャーベット・アリアで、オーケストラは弦群とホルン2本だけ。歌もオーケストラもいたって簡素だが、その限りではそれなりによくできた曲だろう。
第14番 三重唱 Terzetto は、パッパターチの三重唱として名高い曲。緩/急 の二部構成。緩 Pappataci! che mai sento! は Moderato 4/4 変ロ長調。ムスタファにパッパターチなる結社への参加を勧めるもので、音楽も大人しい。これが 急 Fra gli amori e le bellezze, で Allegro に速度が上がると、スタッカートの付いた弦群の伴奏で音楽が浮き立つ。パッパターチというわけの分からない言葉の連呼も相まって、素晴らしく愉快な音楽になっている。
第15番 合唱、レチタティーヴォとイザベッラのロンド Coro, Recitativo e Rondo [Isabella]は、この作品の核となる名アリア。合唱を前に置いた緩 カンタービレ/急 カバレッタ のロンド。活気ある男声合唱 Pronti abbiamo e ferri e mani は Allegro 4/4 イ長調。イタリア男たちが、アルジェ脱出の用意ができていることを歌う。ここにはラ・マルセイエーズの一節が巧みに混ぜ込まれていることが指摘されている。レチタティーヴォ、シェーナ Allegro 4/4 ハ長調 を経て、ロンドの緩 カンタービレ Pensa alla patria, e intrepido になる。Andante 4/4 ホ長調。僅か25小節の短い箇所だが、イザベッラの意志の強さが音楽となって強烈な印象を与える。テンポ・ディ・メッゾ Allegro 4/4 ホ長調 を経て、急 カバレッタ Qual piacer! Fra pochi istanti に至る。装飾歌唱をたっぷり盛り込んだ音楽には、脱出(それはリンドーロと結ばれることでもある)へのイザベッラの喜びと自信に溢れている。
第16番 第2幕フィナーレ Finale Secondo は5つの部分からなる。オペラブッファの第2幕フィナーレは締め括りだけの簡潔な物(《セビリアの理髪》のような)の場合も多い中、《アルジェのイタリア女》ではパッパターチの儀式を据えることでもう一波乱を巻き起こし、したがって音楽的にも盛りだくさんのフィナーレになっている。前半がパッパターチの儀式、後半が脱出、といった作り。まず Dei Pappataci s'avanza il coro: で儀式の始まりが告げられる。Allegro 3/4 ヘ長調 の音楽は、ホルンが鳴り響いて厳かな雰囲気、のはずが、浮き浮きとしてどこかインチキ臭さを醸している。イザベッラが現れ Non sei tu che il grado eletto、宣誓の場面となる。Moderato maestoso 4/4 変ロ長調。タッデーオの言葉をムスタファが復唱するのだが、8分音符の棒読みの後に突然バス二人がト音(ほぼバスの最高音、というよりも普通はバスには用いられない)を歌う。驚かされると同時に、やはりインチキ臭い。その後のパッパターチの試験も愉快だ。Allegro 6/8 ニ長調 に変わり、音楽は浜風を感じさせる。イタリア男たちが Son l'aure seconde, tranquille son l'onde. とすぐに出航しようと促す。ここは経過的な個所だが、あの青年こそリンドーロだと気付いたタッデーオの哀れなぼやきが効いている。4/4 に転じ、なおもパッパターチの儀式に没頭するムスタファもようやく事態に気付く。ヴァイオリンの上行がムスタファの焦りを描くも、トルコ人たちは皆酔っぱらっていると聞き、ついにムスタファもイタリア女はコリゴリとエルヴィーラに泣きつく。最後は Allegro 6/8 ニ長調の陽気な Andiamo Padroni, で幕となる。
対訳付き音楽設計図
登場人物
ムスタファ
MUSTAFÀ,アルジェのベイ もしくは デイ
Bey o Day d'Algeriバス
basso
エルヴィーラ
ELVIRA,ムスタファの妻
mogliedi Mustafàソプラノ
soprano
ズルマ
ZULMA,エルヴィーラの 腹心の友の奴隷女
schiava confidente d'Eliviraメッゾソプラノ
mezzosoprano
アリ【注】
HALY,アルジェの海賊の隊長
Capitano de' Corsari Algeriiバス
basso
リンドーロ
LINDORO, 若いイタリア男、ムスタファの気に入りの奴隷男
giovane Italiano, schiavo favorito di Mustafàテノール
tenmore
イザベッラ
ISABELLA,イタリアの女性
Signora Italianaコントラルト
contralto
タッデーオ
TADDEO,イザベッラの仲間
compagno d'Isabellaバス
basso
注 -ly にアクセントが入る
。
日本語訳は極力文学的色づけをしない直訳にしてある。
歌詞とト書きは、によるクリティカルエディション総譜に基づいている。
※左右対訳に表示されない場合は、ブラウザの幅を広げるか、文字サイズを小さくするか。
| Sinfonia |
Andante 3/4 C major |
序奏を持つ 展開部のないソナタ形式の序曲。 | |
| Allegro 4/4 C major |
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| ATTO Ⅰ | |||
| N. 1 Introduzione Mustafà Haly Elvira Zulma Coro |
Andantino 4/4 G Major |
SCENA Ⅰ第1場 (Piccola sala comune agli appartamenti del Bey e a quelli di sua Moglie. Un sofà nel mezzo. Elvira seduta sul sofà. Presso a lei Zulma. All'intorno un coro di Eunuchi del serraglio. Indi Haly, poi Mustafà)(小広間 ベイの居所と その妻のそれらと 共有の。中央に長椅子。エルヴィーラ 長椅子の上に 座った。彼女の傍らに ズルマ。周りに 後宮の宦官たちの合唱。それから アリ、その後に ムスタファ) CORO合唱 Serenate il mesto ciglio:悲し気な 眼を 静めなさい: del destin non vi lagnate.運命を 嘆くでない。 Qua le femmine son nateここでは 女たちは 生まれる solamente per soffrir.ただ 苦しむため だけに。 ELVIRAエルヴィーラ Ah comprendo, me infelice!ああ 私は 分かっている、私は 不幸だ! che il mio sposo or più non m'ama.私の夫は 今や もう 私を 愛していない ことを。 ZULMAズルマ Ci vuol flemma: a ciò ch'ei brama忍耐が 必要だ: 彼が 切望する ことに ora è vano il contraddir.今は 反論することは 無駄だ。 CORO合唱 Qua le femmine son nateここでは 女たちは 生まれる solamente per servir.ただ 苦しむため だけに。 |
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| Più mosso 4/4 G major |
HALYアリ (voce interna)(内側の声【≒ 舞台裏からの声】) Il Bey.殿様が。 ZULMAズルマ Deh! Signora...ああ! 女主人よ… vi scongiuro...私は あなたに 懇願する… ELVIRAエルヴィーラ Che ho da far?私は 何を すべきなのか? (esce Mustafà)(ムスタファが 出る) CORO合唱 (Or per lei quel muso duro(今や 彼女に対する あの固い顔は mi dà poco da sperar.)私に ほとんど 希望することを もたらさない【≒ 彼女に対して あんな厳しい顔をしては 彼女には ほとんど 希望が ないと 私には 思われる】。) |
Il Bey. このオペラでの Bey は、アルジェの君主を指している。江戸時代の日本の藩主に相当すると思って大きくは外れていない。ここでは 殿様 で訳す。 |
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| Andantino 4/4 E major |
MUSTAFÀムスタファ Delle donne l'arroganza,女の 傲慢さが、 il poter, il fasto insano,力が、正気でない 豪奢が【≒ 非常識な 贅沢が】 qui da voi s'ostenta invano,ここで あなたによって 虚しく 誇示されている、 lo pretende Mustafà.そのことを ムスタファは 主張している。 |
lo pretende Mustafà. この pretendere は 主張する。asserire と同義。 |
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| Allegro 4/4 E major |
ZULMAズルマ Su: coraggio, o mia Signora.さあ: 勇気を出して、ああ 私の 女主人よ。 HALYアリ È un cattivo quarto d'ora.四分の一時間は 悪い【≒ しばらくの間 ひどいことになる】。 ELVIRAエルヴィーラ Di me stessa or più non curo;今は もう 私自身には かまわない【≒ 今は なりふり かまっていられない】; tutto omai degg'io tentar.今や 私は すべてを 試みなければ ならない。 CORO合唱 (Or per lei quel muso duro(今や 彼女に対する あの固い顔は mi dà poco da sperar.)私に ほとんど 希望することを もたらさない【≒ 彼女に対して あんな厳しい顔をしては 彼女には ほとんど 希望が ないと 私には 思われる】。) ZULMAズルマ Su: coraggio, mia Signora.さあ: 勇気を出して、ああ 私の 貴女よ。 ELVIRAエルヴィーラ Signor, per quelle smanie殿様よ、その不安について che a voi più non nascondo...それを 私は もはや あなたに 隠していない【≒ もはや あなたに 隠していられない この 【私の】 不安について】… |
È un cattivo quarto d'ora. quarto d'ora 四分の一時間 = 15分 だが、これで 短時間,束の間 を意味する。 |
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| (Allegro) 4/4 G major |
MUSTAFÀムスタファ Cara m'hai rotto il timpano:いとしい女よ 君は 私の鼓膜を 破った: ti parlo schietto e tondo.私は 君に 言う 率直に そして 素直に。 ELVIRAエルヴィーラ Ohimè...ああ… MUSTAFÀムスタファ Non vo' più smorfie:私は もう しかめっ面を 望んでいない: di te non so che far.私は 分からない 君に 何をすればいいのか。 ELVIRAエルヴィーラ Signor... ma... se...殿様… しかし… もし… |
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| Più mosso 4/4 major |
ELVIRA, ZULMA, HALY E COROエルヴィーラ,ズルマ,アリ と 合唱 (Oh! che testa stravagante!(ああ! なんと 気紛れな 頭だ! Oh! che burbero arrogante!)ああ! なんと 気難し屋の 尊大な人だ! Più volubil d'una foglia一枚の葉よりも 落ち着きなく va il suo cor di voglia in voglia彼の心は 思い付きから 思い付きへと delle donne calpestando le踏みにじって 【↑】行く 女たちの lusinghe e la beltà.ご機嫌取りと 美を。 MUSTAFÀムスタファ Più volubil d'una foglia一枚の葉よりも 落ち着きなく va il mio cor di voglia in voglia私の心は 思い付きから 思い付きへと delle donne calpestando le踏みにじって 【↑】行く 女たちの lusinghe e la beltà.ご機嫌取りと 美を。 ELVIRAエルヴィーラ Signor... sentite... se mai...殿様… 聞きなさい… もし… MUSTAFÀムスタファ Cara m'hai rotto il timpano:いとしい女よ 君は 私の鼓膜を 破った: di te non so che far.私は 分からない 君に 何をすればいいのか。 |
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| [Recitativo Dopo l'Introduzione] | 4/4 (C Major) |
MUSTAFÀムスタファ Ritiratevi tutti. Haly, t'arresta.全員 身を引きなさい【≒ 皆 下がりなさい】。アリよ、立ち止まりなさい。 ZULMAズルマ (Che fiero cor!)(なんという 残酷な心だ!) ELVIRAエルヴィーラ (Che dura legge è questa!)(これは なんという 厳しい 法だ!) SCENA Ⅱ第2場 (Mustafà e Haly)(ムスタファと アリ) MUSTAFÀムスタファ Il mio schiavo italian farai che tosto私の イタリア人奴隷男に させなさい すぐに venga, e m'aspetti qui... Tu sai che sazio来るように、そして ここで 私を 待つように 【↑】と… 君は 知っている io son di questa moglie,私は あの妻に 【↑】飽き飽きして いる 【↑】ことを、 che non ne posso più. Scacciarla... è male.私は もう 我慢できない ことを。彼女を 追い出すことは… 悪い。 Tenerla... è peggio. Ho quindi stabilito彼女を 取っておくことは… より悪い。そこで 私は 決めた ch'ella pigli costui per suo marito.彼女が その男を 彼女の夫に 取る ことを。 HALYアリ Ma come?しかし どうやって? Ei non è Turco.彼は トルコ人では ない。 MUSTAFÀムスタファ Che importa a me? Una moglie come questa,何が 私に 重要なのか 【≒ それが どうしたというのか】? あの女のような 妻は dabben, docil, modesta,善良な、従順な、控えめな、 che sol pensa a piacere a suo marito,その者は 彼女の夫に 気に入る ことだけを 考える、 per un turco è un partito assai comune;トルコ男には とても ありきたりの 結婚相手である; ma per un italian (almen per quantoしかし イタリア男にとっては(少なくとも intesi da lui stesso a raccontare)私が 彼自身から 語るのを 聞き及ぶ 【↑】限りでは) una moglie saria delle più rare.【そのような】 妻は 最も 稀だろう。 Sai che amo questo giovine:君は 知っている 私が あの若者を 愛していることを: vo' premiarlo così.私は こうして 彼を 褒賞したい。 HALYアリ Ma di Maomettoしかし マオメットの la legge non permette un tal pasticcio.法は そうした 混乱を【≒ 異教徒との結婚を】 許していない。 MUSTAFÀムスタファ Altra legge io non ho, che il mio capriccio.他の法を 私は 持っていない、私の気紛れの他には【≒ 私の気紛れだけが 私の法だ】。 M'intendi?私【の言ったこと】を 理解したか? HALYアリ Signor sì...殿様 はい… MUSTAFÀムスタファ Sentimi ancora.もう一度 私【の言うこと】を 聞きなさい。 Per passar bene un'ora io non ritrovo1時間 素敵に 過ごすために 私は 見つけ【られ】ない una fra le mie schiave私の 女奴隷たちの中で 一人も che mi possa piacer. Tante carezze,その者は 私に 気に入る ことができる【≒ 私の奴隷の女たちの中には、私が一時 ひととき 楽しく過ごすために 私が 気に入ることのできる 奴隷の女は 一人も 見付けられない】。たくさんの愛撫は、 tante smorfie non son di gusto mio.たくさんの愛想笑いは 私の好み ではない。 HALYアリ E che ci ho da far io?それで 私は それについて 何を しなくてはならないのか? MUSTAFÀムスタファ Tu mi dovresti君は 私に trovar un'Italiana. Ho una gran vogliaイタリア女を 見つけ 【↑】なくてはならないだろう。私は 大きな欲求を 持っている d'aver una di quelle Signorine,そのお嬢さんたちの 一人を 持つ という che dan martello a tanti cicisbei.その者は たくさんの 伊達男たちに 鉄槌を 与える【≒ 彼女は 多くの伊達男たちを ↑】。 HALYアリ Io servirvi vorrei, ma i miei Corsari...私は あなたの 任務を果たしたい、しかし 私の 海賊が… l'incostanza del mar...海の 変わりやすいことが… MUSTAFÀムスタファ Se fra sei giorniもし 6日の間に non me la trovi, e segui a far lo scaltro,君が 私に 彼女を 見つけなければ、そして 君が 抜け目ない男の 役割を果たすことを 遂行しなければ、 io ti faccio impalar.私は 君を 串刺しの刑に させる。 (si ritira nel suo appartamento)(彼の居所に 下がる) HALYアリ Non occorr'altro.他のことを 要しない【≒ それ以上の言葉は 必要ない】。 (via)(去る) |
che non ne posso più. Scacciarla... è male. non poterne più もう我慢できない,もう耐えられない。 la legge non permette un tal pasticcio. pasticcio は食べ物の パイ のことで、転じて ごたごた,混乱 を意味する。この場合は異教徒同士が結婚することを指す。 non me la trovi, e segui a far lo scaltro, この seguire は eseguire 実行する,遂行する の意味。こちらにも non がかかる。 |
| N. 2 Cavatina Lindoro Lindoro |
Andantino 6/8 E-flat major |
SCENA Ⅲ第3場 (Lindoro solo, indi Mustafà)(リンドーロ一人、それから ムスタファ) LINDOROリンドーロ Languir per una bella一人の美女に 焦がれることは e star lontan da quella,そして その女から 遠くに いることは、 è il più crudel tormento,最も つらい 苦悩だ、 che provar possa un cor.心が 感じることができる ところの。 Forse verrà il momento:おそらく 【再会の】瞬間は 来るだろう: ma non lo spero ancor.けれども 私は まだ それを 期待していない。 |
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| Allegro 4/4 E-flat major |
Forse verrà il momento:おそらく 【再会の】瞬間は 来るだろう: ma non lo spero ancor.けれども 私は まだ それを 期待していない。 |
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| (Allegro) 4/4 E-flat major |
Contenta quest'alma満ち足りた この魂は in mezzo alle pene苦悩の 只中にあって【≒ 苦悩の 只中にあっても 満ち足りている この魂は】 sol trova la calma平安を 見出している ただ pensando al suo bene,その最愛の人に 思いを馳せて 【↑】のみ、 che sempre costanteその者は ずっと si serba in amor.愛において 【↑】誠実で あり続けている。 |
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| [Recitativo] Dopo la Cavatina [di] Lindoro |
4/4 (C Major) |
LINDOROリンドーロ Ah, quando fia ch'io possaああ、いつ になるだろうか、私が in Italia tornar? Ha omai tre mesi,イタリアに 戻ることが 【↑】できるのは? 今や 3か月だ che in questi rei paesiこの 邪な国で già fatto schiavo, e dal mio ben lontano...既に 奴隷男に なって、そして 私の最愛の人から 遠くに… MUSTAFÀムスタファ Sei qui? Senti, Italiano,君は ここに いるのか? 聞きなさい、イタリア男よ、 vo' darti moglie.私は 君に 妻を 与えたい。 LINDOROリンドーロ A me?... Che sento!.. (oh Dio!)私に?… 私は 何を 聞いているのだ!…(ああ 神よ!) Ma come?...in questo stato...しかし どうやって?… この身分で… MUSTAFÀムスタファ A ciò non déi pensar. Ebben?...そのことについて 君は 考える 必要はない。それで? LINDOROリンドーロ Signore,殿様、 come mai senza amoreいったい どうやって 愛なしで si può un uomo ammogliar?男が 妻をめとる ことが できるだろうか? MUSTAFÀムスタファ Bah!... bah!... in Italiaもういい!… もういい!… イタリアでは s'usa forse così? L'amor dell'oroことによると 常に そのように するのか? 金の愛は Non c'entra mai?...決して そこに 入らないのか【≒ お金への愛が そこに 入り込むことは ないのか】?… LINDOROリンドーロ D'altri non so: ma certo他の人については 私は 分からない: しかし 確実に per l'oro io no'l potrei...私は 金のためには そのことを できないのだが【≒ 私は 金目当てで 結婚することは できないのだが】… MUSTAFÀムスタファ E la bellezza?それでは 美しさは? LINDOROリンドーロ Mi piace: ma non basta...それは 私に 気に入っている【≒ 私は 美しさは 好きだ】、しかし それは 十分ではない… MUSTAFÀムスタファ E che vorresti?それで 君は 何を 望んでいるのだろうか? LINDOROリンドーロ Una donna che fosse a genio mio.一人の女性を その者が 私の 好みで あれば。 MUSTAFÀムスタファ Orsù: ci penso io. Vieni, e vedraiよし 私が そのことについて 考える。来なさい、そして 君は 見るだろう un bel volto, e un bel cor con tutto il resto.美しい顔を、そして 良い心を すべての残りと 共に【≒ 他も すべて 君の好みどおりだ】。 LINDOROリンドーロ (Oh pover amor mio! che imbroglio è questo!) (ああ 哀れな 私の愛よ! これは なんという 陰謀だ!) |
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| N. 3 Duetto [Lindoro - Mustafà] [Lindoro Mustafà |
Allegro 4/4 G major |
LINDOROリンドーロ Se inclinassi a prender moglieもし 私が 妻を 迎える 気になるならば ci vorrebber tante cose.たくさんのことが 必要だろう。 Una appena in cento spose百人の花嫁たちの中で かろうじて 一人の女【= 一人の花嫁】【だけ】 が le potrebbe combinar.それらを【= たくさんのことを】 取りまとめることが できるだろうに【≒ 百人の花嫁候補の中でも 多くの条件を満たす妻は 一人しかいないだろう】。 Le può tutte combinar.彼女は それらを【= たくさんのことを】 すべて 取りまとめることが できるだろう。 MUSTAFÀムスタファ Vuoi bellezza? vuoi ricchezza?君は 美女を 望むのか? 君は 裕福さを 望むのか? Grazie?... amore?... ti consola:愛らしさか?… 愛か?… 安心しなさい: trovi tutto in questa sola.君は その女一人に すべてを 見出す。 È una donna singolar.彼女は 並外れた女だ。 LINDOROリンドーロ Per esempio, la vorreiたとえば、私は 彼女に 望みたいのだが schietta... e buona...純粋であることを… そして 善良であることを… MUSTAFÀムスタファ È tutta lei.まさに 彼女だ。 LINDOROリンドーロ Per esempio, io vorreiたとえば、私は 望みたいのだが due begli occhi.二つの 美しい目を。 MUSTAFÀムスタファ Son due stelle.【彼女の両目は】 2つの星だ。 LINDOROリンドーロ Chiome...髪の毛は… MUSTAFÀムスタファ Nere.黒色だ。 LINDOROリンドーロ Guance...頬は… MUSTAFÀムスタファ Belle.美しい。 LINDOROリンドーロ Volto...顔は… MUSTAFÀムスタファ Bello.美しい。 LINDOROリンドーロ (D'ogni parte io qui m'inciampo,(私は あらゆる側で ここで 私に つまずいている【≒ 私は ここで 八方塞がりになっている】、 che ho da dire? che ho da fare?)私は 何を 言うべきなのか? 私は 何を するべきなのか?) MUSTAFÀムスタファ Caro amico, non c'è scampo;親愛なる友よ、逃げ道は ない。 se la vedi, hai da cascar.君が 彼女を 見れば、君は 倒れるに違いない。 LINDOROリンドーロ (D'ogni parte io mi confondo,(私は あらゆる側で 混乱している、 che ho da dire? che ho da fare?)私は 何を 言うべきなのか? 私は 何を するべきなのか?) LINDOROリンドーロ (Ah, mi perdo: mi confondo.(ああ、私は 頭が混乱している: 私は 混乱している。 Quale imbroglio maledetto:なんという 忌々しい策略だ: sento amor, che dentro il petto私は 感じている 愛を、それが 胸の中で martellando il cor mi va.)私の心を 激しく打ちつつあるのを。) MUSTAFÀムスタファ Persto andiamo!すぐに 行こう! Sei di ghiaccio? sei di stucco?君は 氷でできているのか【≒ 君は 凍り付いているのか】? 君は 漆喰でできているのか【≒ 君は 固まっているのか】? Vieni, vieni: che t'arresta?来なさい、来なさい: 何が 君を 止めている【≒ なぜ ぐずぐずしているのか】? Una moglie come questa,あの女のような 妻は、 credi a me, ti piacerà.私を 信頼しなさい、君に 気に入るだろう。 (viano)(【二人とも】 去る) |
le potrebbe combinar. この cambinare は自動詞 (性格が)合う。 D'ogni parte io qui m'inciampo, da ogni parte 四方八方から。inciampare は (物に)つまづく の意味だが、比喩的に しくじる,うまくいかない の意味で用いられている。 |
| N. 4 Coro e Cavatina Isabella Isabella Coro |
Allegro 4/4 C major |
SCENA Ⅳ第4場 (Spiaggia di mare. In qualche distanza un vascello rotto ad uno scoglio e disalberato dalla burrasca che viene di mano in mano cessando.Varie persone sul bastimento in atto di disperazione. Arriva il legno dei Corsari: altri Corsari vengono per terra con Haly e cantano a vicenda i cori. Indi Isabella, e poi Taddeo)(海の浜辺。いくらかの距離に 一隻の船 岩礁のところで壊れた そして 時化 しけ で マストの折れた それは 手から手へと 退きつつある【≒ 徐々に 沈みつつある】。様々な人々が 船の上で 絶望の動作をしている。海賊の船が到着する: 別の海賊たちが アリと共に 陸地に向かって 行く そして 代わる代わる 合唱を 歌う。それから イザベッラ、そいて その後に タッデーオ) CORO TENORI合唱 テノール Quanta roba! quanti schiavi!なんと多くの 物品だ! なんと多くの 奴隷だ! HALY E CORO BASSIアリ と 合唱 バス Buon bottino! Viva, bravi!良質の 略奪物だ! 万歳、素晴らしい! Ci son belle?美女たちは いるか? CORO TENORI合唱 テノール Non c'è male.悪くない。 HALY E CORO BASSIアリ と 合唱 バス Starà meglio Mustafà.ムスタファは 機嫌が良くなるだろう。 CORO TENORI合唱 テノール Ma una bella senza ugualeそれどころか 匹敵する者のない 美女だ è costei che vedi qua.この女は その者を 君は ここで 見る。 (Tra lo stuolo degli schiavi e persone che sbarcano, comparisce Isabella. Haly co'suoi osservandola cantano a coro:)(奴隷たちと 人々の 一団の 間に その者たちは 下船している、イザベッラが 現れる。アリは 彼の者たちと共に【≒ 手下の海賊たちと一緒に】 彼女を見て 一斉に 歌う:) CORO合唱 È un boccon per Mustafà.彼女は ムスタファのための 美女だ。 |
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| [Andante] 4/4 F major |
ISABELLAイザベッラ Cruda sorte! Amor tiranno!酷い運命よ! 暴虐な愛の神よ! Questo è il premio di mia fé:これが 私の誠実の 褒美なのだ: non v'è orror, terror, né affanno恐れはない、恐怖は、苦悩もない pari a quel ch'io provo in me.私が 私の中に 感じているものに 匹敵する【≒ 私が 自分に感じている 恐怖や苦悩に 匹敵する 恐怖や苦悩は ない】。 Per te solo, o mio Lindoro,ただ 君のためだけに、ああ 私のリンドーロよ、 io mi trovo in tal periglio.私は このような危険に 晒されている。 Da chi spero, oh Dio! consiglio?私は 誰から 期待するのか、ああ 神よ! 助言を? chi confort mi darà?誰が 私に 慰めを 与えるのだろうか? |
Per te solo, o mio Lindoro, / io mi trovo in tal periglio. torovarsi in pericolo で 危険に晒されている の意味があり、torovarsi in periglio も同様だろう。イザベッラは行方不明のリンドーロを探しに船に乗ってこのような目に遭っている。 |
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| Allegro 4/4 F major |
CORO合唱 È un boccon per Mustafà.彼女は ムスタファのための 美女だ。 ISABELLAイザベッラ Qua ci vuol disinvoltura,ここでは 動じないことが 必要だ、 non più smanie, né paura:もう 不安ではなく、心配でもなく: di coraggio è tempo adesso,今は 勇気の時だ、 or chi sono si vedrà.今こそ 私が 誰であるか 見られるだろう。 |
Qua ci vuol disinvoltura, disinvoltura は 気後れのなさ と言った意味だが、この台本では、形容詞の disinvolto 共々、動じないことを意味していると思われる。 |
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| (Allegro) 4/4 F major |
Già so per pratica私は 既に 分かっている 経験から qual sia l'effetto効力が どのようなものであるか d'un sguardo languido,切なげな眼差しの、 d'un sospiretto...溜め息の… so a domar gli uomini come si fa.私は 分かっている 男たちを 従順にさせるために どうすればよいか を。 Sian dolci o ruvidi,彼らが 優しくても あるいは 荒っぽくても、 sian flemma o foco,彼らが 冷淡でも あるいは 火でも【≒ 彼らが 冷静であっても 情熱的であっても】、 son tutti simili a' presso a poco...彼らは 皆 だいたい 同様だ【≒ 男たちなんて 似たり寄ったりだ】… Tutti la chiedono, tutti la bramano皆が それを【= 次行の 幸せ 女性名詞単数】 求めている、皆が それを 熱望している da vaga femmina felicità.優美な女性から 幸せを。 |
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| [Recitativo] Dopo la Cavatina d'Isabella |
4/4 (C Major) |
ISABELLAイザベッラ Già ci siam. Tanto fa. Convien portarla既に 私たちは ここにいる。同じことだ【≒ ここに来たところで 同じことだ】。私は それを【= 幸せ 女性名詞単数】を もたらさなければ ならない con gran disinvoltura.大きな 動じないことをもって【≒ まったく 動じることなく】。 Io degli uomini alfin non ho paura.私は 結局 男たちを 恐れていない。 (alcuni Corsari scoprono ed arrestano Taddeo)(何人かの海賊が タッデーオを 見つける そして 捕らえる) TADDEOタッデーオ Misericordia... aiuto... compassione...慈悲を… 助けて… 同情を… Io son...私は… HALYアリ Taci, poltrone.黙りなさい、臆病者め。 Uno schiavo di più.もう一人 奴隷だ。 TADDEOタッデーオ (Ah! son perduto!)(ああ! 私は 絶望している【= 私は もう おしまいだ】!) ISABELLAイザベッラ Caro Taddeo...親愛なる タッデーオよ… TADDEOタッデーオ Misericordia...aiuto!慈悲を… 助けて… ISABELLAイザベッラ Non mi conosci più?君は もう 私を 認識しないのか? TADDEOタッデーオ Ah!... sì... ma...ああ!… そうだ… しかし… HALYアリ Dimmi.私に 言いなさい。 Chi è costei?この女は 誰なのか? TADDEOタッデーオ (Che ho da dir?)(私は 何を 言うべきなのか?) ISABELLAイザベッラ Son sua nipote.私は 彼の 姪だ。 TADDEOタッデーオ Sì, nipote... Per questoそうだ、姪だ…だから io devo star con lei.私は 彼女と一緒に いなくては ならない。 HALYアリ Di qual paese?どの国から? TADDEOタッデーオ Di Livorno ambedue.二人とも リヴォルノからだ。 HALYアリ Dunque Italiani?それでは イタリア人たちか? TADDEOタッデーオ Ci s'intende.それについて もちろん。 ISABELLAイザベッラ E me ne vanto.そして 私は それを 誇りに思っている。 HALYアリ Evviva, amici,万歳、友たちよ、 evviva.万歳。 ISABELLAイザベッラ E perché mai tanta allegria?それで いったい なぜ それほどたくさんの喜びを? HALYアリ Ah! non so dal piacer, dove io mi sia.ああ! 私は 分かっていない 喜びによって、私が どこに いるのか。 D'un' Italiana appuntoまさに イタリア女の ha una gran voglia il Bey. Con gli altri schiavi強い欲求を 殿様が 持っている。他の奴隷たちと 一緒に parte di voi, compagni,君たちの一部は、仲間たちよ、 venga con me; l'altra al Bey, fra poco私と一緒に 行くように: 他のものは【= 他の一部は】 殿様に、もうすぐ condurrà questi due. Piova, o signora,これらの二人を 連れて行くだろう。降るように、ああ 婦人よ、 la rugiada del cielo天の露が sopra di voi. Presceltaあなたの上に。選り抜かれて da Mustafà...sarete, se io non sbaglio,ムスタファによって… あなたは なるだろう、もし 私が 間違っていなければ、 la stella e lo splendor del suo serraglio.彼の後宮の 星に そして 輝きに。 (via con alcuni Corsari)(去る 何人かの海賊たちと共に) SCENA Ⅴ第5場 (Taddeo, Isabella e alcuni Corsari indietro)(タッデーオ、イザベッラと 何人かの海賊 後ろに) TADDEOタッデーオ Ah! Isabella...ああ! イザベッラよ… siam giunti a mal partito.私たちは 状況が悪く着いた【≒ 私たちは 最悪のところに 来てしまった】。 ISABELLAイザベッラ Perché?なぜ? TADDEOタッデーオ Non hai sentito君は 聞かなかったのか quella brutta parola?あの 嫌な 言葉を? ISABELLAイザベッラ E qual?それで どんな? TADDEOタッデーオ Serraglio.後宮だ。 ISABELLAイザベッラ Ebben?...それで?… TADDEOタッデーオ Dunque bersaglioしたがって 【↓】君は 【↓】殿様の 標的となる人に tu sarai d'un Bey? d'un Mustafà?なるのではないか? ムスタファの? ISABELLAイザベッラ Sarà quel che sarà. Io non mi voglioなるようになるだろう。私は per questo rattristare.そのために 悲嘆に暮れ 【↑】たくは 【↑】ない。 TADDEOタッデーオ E la prendi così?それでは 君は そのように それを 受け入れるのか? ISABELLAイザベッラ Che ci ho da fare?それについて 私は 何を すればいいのか? TADDEOタッデーオ O povero Taddeo!ああ 哀れなタッデーオ! ISABELLAイザベッラ Ma di me non ti fidi?それにしても 君は 私を 信頼していないのか? TADDEOタッデーオ Oh! veramente.ああ! 実際のところは。 Ne ho le gran prove.そのことについては 私は 大きな証拠を 持っている。 ISABELLAイザベッラ Ah! maledetto, parla.ああ! 忌々しい、話しなさい。 Di che ti puoi lagnar?君は 何に 不平をこぼすことが できるのか? TADDEOタッデーオ Via: via: che serve?さて: さて: それが 何の 役に立つのか? Mutiam discorso.話題を 変えよう。 ISABELLAイザベッラ No: spiegati.いいや: 説明しなさい。 TADDEOタッデーオ Preso【↓】君は 思って M'hai forse, anima mia, per un babbeo?いたのか ことによると、私の魂の人よ、私が 間抜けだと? Di quel tuo cicisbeo...あの 君の 伊達男について… di quel Lindoro... Io non l'ho visto mai,あの リンドーロについて… 私は 彼の顔を ぜんぜん 知らない【が】、 ma so tutto.しかし 私は すべてを 知っている。 ISABELLAイザベッラ L'amai私は 彼を 愛した prima di te: no'l nego. Ha molti mesi君より前に: 私は そのことを 否定しない。多くの月々である ch'ei d'Italia è partito; ed ora...彼が イタリアから 去って; そして 今は… TADDEOタッデーオ Ed oraそして 今は se ne gia la Signora婦人は 既に 【行っている】 a cercarlo in Galizia...ガリシアに 彼を 捜しに… ISABELLAイザベッラ E tu...そして 君は… TADDEOタッデーオ Ed ioそして 私は col nome di compagno友の 名をもって【≒ 彼女の友という名目で】 gliela dovea condur...それに【≒ ガリシアに】 彼女を 連れて行かなくては ならなかった… ISABELLAイザベッラ E adesso?...そして 今は?… TADDEOタッデーオ E adessoそして 今は con un nome secondo,第2の名前と共に、 vò in un serraglio a far... Lo pensi il mondo.私は 後宮に 行く するために… 世界が そのことを 考えるように【≒ それが何を意味するのか推測するように ≒ 皆に 察してほしいものだ】。 |
Ci s'intende. s'intende もちろん。 E me ne vanto. ne = di ciò。vantare di ―を名誉とする。つまり vantare di ciò そのこと=自分がイタリア人であること を 誇りに思う。 E la prendi così? この la は大雑把に前の内容を受ける語。 Via: via: che serve? che serve? 正しくは a che serve? Preso / M'hai forse, anima mia, per un babbeo? prender per - ―とみなす,思う con un nome secondo, un nome secondo 第2の名前 が何を意味するか、正確には分からないが、何か不名誉な異名を与えられることを意味することは間違いない。次項の内容からすると、宦官になることに関係すると思われる。 vò in un serraglio a far... Lo pensi il mondo. vò = vado。男が後宮に行くというのは、去勢されて宦官 eunuco にされることを意味する。イスラム社会では非イスラム教徒の奴隷、捕虜を去勢して宦官にすることが頻繁に行われた。タッデーオはそれをはっきり言わず、皆に 察してもらいたい と自分が去勢されるであろうことを仄めかしている。 |
| N. 5 Duetto [Isabella - Taddeo] Isabella Taddeo |
Allegro 4/4 G major |
ISABELLAイザベッラ Ai capricci della sorte運命の 気紛れには io so far l'indifferente.私は 素知らぬ顔をすることが できる。 Ma un geloso impertinenteけれど 無礼な やきもち焼き男を io son stanca di soffrir.我慢するのに 私は うんざりしている。 TADDEOタッデーオ Ho più flemma, e più prudenza私は より 冷静さを 持っている、そして より 慎重さを di qualunque innamorato.【他の】 どんな恋人よりも。 Ma comprendo dal passatoしかし 過去から 私は 理解している tutto quel che può avvenir.起こり得る すべてのことを ISABELLAイザベッラ Sciocco amante è un gran supplizio.馬鹿な恋人は 大きな 耐えられない苦痛だ。 TADDEOタッデーオ Donna scaltra è un precipizio.抜け目のない女は 絶壁だ【≒ 狡猾な女は 油断ならない】、 ISABELLAイザベッラ Meglio un Turco che un briccone.小悪党より トルコ男の方がより良い。 TADDEOタッデーオ Meglio il fiasco che il lampione.街灯より 瓶の方が より良い【≒ 恋の協力者を演じるより 破局する方がよい】。 ISABELLAイザベッラ Vanne al diavolo in malora!破滅の【≒ 地獄の】 悪魔のところに 行ってしまえ【≒ くたばってしまえ】! Più non vo' con te garrir.私は もう 君と 激しく言い合い たくない。 TADDEOタッデーオ Buona notte: sì... Signora,おやすみなさい: そうだ… 婦人よ、 ho finito d'impazzir.私は 夢中になるのを 終える止めた【≒ 私は 君に 熱を上げるのは もうやめた】。 ISABELLAイザベッラ (Ma in man de' barbari... senza un amico(けれども 野蛮人たちの手中にあって… 一人の友も無しに come dirigermi?... Che brutto intrico!どうやって 進むというのだ?… なんと ひどい もつれだ【≒ なんと ひどい ゴタゴタだ】 Che ho da risolvere? che deggio far?私は 何を 決心しなくては ならないのか? 私は 何を すべきか? che ho da risolvere? che brutto affar!)私は どう 解決する べきか? なんと ひどい 問題だ!) TADDEOタッデーオ (Ma se al lavoro poi mi si mena...(けれども その後に【≒ イザベッラと別れて一人になった後に】 もし 私が 労働へと 連れて行かれたら… come resistere, se ho poca schiena?)どうやって 抵抗するのか、私は ほとんど 背中を 持っていない ならば【≒ 私は ひ弱だというのに】?) ISABELLA E TADDEO (Che ho da risolvere? che deggio far?)(私は 何を 決心しなくては ならないのか? 私は 何を すべきか?) TADDEOタッデーオ Donna Isabella?...イザベッラ婦人よ?… ISABELLAイザベッラ Messer Taddeo...タッデーオ殿よ… TADDEOタッデーオ (La furia or placasi.)(激怒は 今は 静まっている。) ISABELLAイザベッラ (Ride il babbeo.)(間抜けが 笑っている。) TADDEOタッデーオ Staremo in collera?私たちは 【さらに】 怒りに 留まるか【≒ お互い まだ 怒り続けるかね】? ISABELLAイザベッラ Che ve ne par?そのことについて あなたには どう 思われるか? |
Meglio il fiasco che il lampione. fiasco に瓶 は 失敗 という意味もあり、この場合は恋人の 破局 を意味する。lampione 灯り は別のところで述べたように 逢引きを照らす灯り ⇒ 恋の協力者。 come resistere, se ho poca schiena?) avere schiena のような成句は見当たらなかった。だが、背中に力が入らないと背中が曲がって胸が張れないので、avere poca schiena はおそらく 力強さがない,ひ弱な という意味だと思われる。 |
| Allegro vivace 4/4 G major |
ISABELLA E TADDEOイザベッラ と タッデーオ Ah no: per sempre uniti,ああ いいや: 永遠に 一致して、 senza sospetti e liti,疑いと 口論 無しに con gran piacer, ben mio,大きな喜びと共に、私の良い人よ、 sarem nipote e zio;私たちは 姪と 叔父に なろう; e ognun lo crederà.そして 誰もが そのことを 信じるだろう。 TADDEOタッデーオ Ma quel Bey, Signora,だけど あの殿様が、ご婦人よ、 un gran pensier mi dà.大きな心配を 私に 与えている。 ISABELLAイザベッラ Non ci pensar per ora,今のところは それについて 考えるでない、 sarà quel che sarà.なるようになる。 (viano)(【二人とも】 去る) |
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| [Recitativo Dopo il Duetto] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅵ (Piccola sala, come alla Scena Prima. Elvira, Zulma e Lindoro)(小さな広間、第1場と同様に。エルヴィーラ、ズルマと リンドーロ) ZULMAズルマ E ricusar potrestiそれで あなたは 拒むことが できるというのか una sì bella e sì gentil Signora?これほどに 美しい そして これほどに 愛らしい 婦人を? LINDOROリンドーロ Non voglio moglie, io te l'ho detto ancora.私は 妻を ほしくない、私は ずっと そのことを 君に 言った。 ZULMAズルマ E voi, che fate là? Quel giovinottoそれで あなたは そこで 何をするのか? あの若者は non vi mette appetito?あなたに 欲求を 引き起こさないのか? ELVIRAエルヴィーラ Abbastanza provai, cosa è marito.私は かなり 証明した、夫とは 何であるか を。 ZULMAズルマ Ma già non c'è riparo. Sposo e sposaしかし もう 遮蔽物は ない【≒ もう 邪魔なものは ない】。花婿と 花嫁に vuol che siate il Bey. Quando ha decisoあなたたちが なることを 殿様は 望んでいる。彼が 決定した時は obbedito esser vuole ad ogni patto.彼は どんなことがあっても 服従されることを 望む。 ELVIRAエルヴィーラ Che strano umor!なんて 異様な 気質だ! LINDOROリンドーロ Che tirannia da matto!なんという 狂気の暴虐だ! ZULMAズルマ Zitto. Ei ritorna.黙って。彼が 戻って来る。 SCENA Ⅶ第7場 (Mustafà e detti)(ムスタファと 前の場の人たち) MUSTAFÀムスタファ Ascoltami, Italiano,私を 聞きなさい、イタリア男よ、 un vascel Veneziano一隻のヴェネツィアの船が riscattato pur or deve a momenti解放されて おそらく 今 すぐに di qua partir. Vorrestiここから 出発する 【↑】はずだ。 あなたは in Italia tornar?...イタリアに 帰り 【↑】たいか?… LINDOROリンドーロ Alla mia patria?...私の祖国に?… Ah! qual grazia, o signor!... Di più non chiedo.ああ! なんという 寛大さだ、ああ 殿様!… さらに 私は 求めない 【≒ これ以上 求めはしない】。 MUSTAFÀムスタファ Teco Elvira conduci, e tel concedo.君と一緒に エルヴィーラを 連れて行きなさい、そして 私は そのことを 君に 許可する。 LINDOROリンドーロ (Che deggio dir[e]?)(私は 何を 言うべきなのか?) MUSTAFÀムスタファ Con essa avrai tant'oro彼女と一緒に 君は たくさんの金 きん を 手に入れるだろう che ricco ti farà.それは 君を 裕福に するだろう。 LINDOROリンドーロ Giunto che io sia私が nel mio paese... allor... forse sposare私の国に 【↑】いる 【↑】に至れば たぶん【≒ 私が 私の祖国に 着いたならば ひょっとしたら】 io la potrei...私は 彼女と 【↑】結婚する かもしれないのだが… MUSTAFÀムスタファ Sì, sì: come ti pare.そうだ、そうだ: 君の 欲する ように 【≒ 君の 好きなように しなさい】。 Va intanto del vascelloとりあえず 行きなさい 船の il capitano a ricercare, e digli船長を 探し求めに、そして 彼に 言いなさい in nome mio, ch'egli di qua non parta私の名前において、彼が ここから 出発しないように と senza di voi.君たち無しでは。 LINDOROリンドーロ (Pur ch'io mi tolga omai(私が 今 去る ためには da sì odiato soggiorno...これほどに 嫌われた 滞在から… tutto deggio accettar.) Vado e ritorno.私は すべてを 受け入れなくては ならない。) 私は 行く そして 私は 戻る。 (via)(去る) SCENA Ⅷ第8場 (Mustafà, Elvira, Zulma, indi Haly)(ムスタファ、エルヴィーラ、ズルマ、それから アリ) ELVIRAエルヴィーラ Dunque degg'io lasciarvi?それでは 私は あなたと 別れなくては ならないのか? MUSTAFÀムスタファ Nell'Italiaイタリアでは tu starai bene.君は 居心地がいいだろう。 ELVIRAエルヴィーラ Ah! dovunque io vadaああ! 私が どこに 行こうとも il mio cor...私の心は… MUSTAFÀムスタファ Basta, basta:もうたくさんだ、もうたくさんだ: del tuo cor e di te son persuaso.君の心に そして 君に 私は 納得させられた【≒ 私は 君の心も 君も 承知している】。 ZULMAズルマ (Se c'è un burbero egual, mi caschi il naso.)(もし 同等の ぶっきらぼうな人が いたら、私の鼻が 落ちるように。) HALYアリ Viva: viva il bey.万歳: 殿様 万歳。 MUSTAFÀムスタファ E che mi rechi, Haly?それで 君は 何を 私に 持って来ているのか、アリよ? HALYアリ Liete novelle.喜ばしい 知らせだ。 Una delle più belle最も美しい spiritose Italiane...生気に満ちた イタリア女たちの 【↑】一人が… MUSTAFÀムスタファ Ebben?...それで?… HALYアリ Qua spintaここに 導かれた da una burrasca...時化 しけ によって… MUSTAFÀムスタファ Sbrigati...急いでしなさい【≒ 早く 続きを 言いなさい】… HALYアリ Caduta落ちた testé con altri schiavi è in nostra mano.いましがた 他の奴隷たちと 一緒に 彼女は 私たちの手の中に。 MUSTAFÀムスタファ Or mi tengo da più del gran sultano.今や 私は 最も偉大な スルタンよりも まさって いる。 Presto: tutto s'aduni il mio serraglio急いで: 全員を 私の後宮に 集まるように nella sala maggior. Ivi la bella大広間に。そこで 美女を riceverò... ah! ah!... cari galanti,私は 迎えよう… ああ! ああ!… 親愛なる 伊達男たちよ、 vi vorrei tutti quanti私は 君たち 皆に presenti al mio trionfo. Elvira, adesso私の勝利に 居合わせて 【↑】ほしい。エルヴィーラよ、今 con l'Italian tu puoiイタリア男と一緒に 君は affrettarti a partir. Zulma, con essi急いで 出発することが 【↑】できる。ズルマよ、彼らと一緒に tu pure andrai. Con questa signorina君も 行くように。あのお嬢さんと一緒に me la voglio goder, e agli uomin tutti私は 楽しく過ごし たい、そして すべての男たちに oggi insegnar io voglio今日 私は 教えたい di queste belle a calpestar l'orgoglio.これらの美女たちの 高慢さを 踏みにじることを。 |
Sì, sì: come ti pare. この parere は 欲する。 me la voglio goder, e agli uomin tutti godersela 大いに楽しむ,楽しく過ごす。 |
| N. 6 Aria Mustafà Mustafà |
Allegro 4/4 B-flat major |
MUSTAFÀムスタファ Già d'insolito ardore nel petto既に 胸の中で ただならぬ熱情に agitare, avvampare mi sento:高ぶり 興奮しているのを 私は 感じている: un ignoto soave contento未知の 甘美な満足が【≒ 今まで感じたことのない 甘美な喜びが】 mi trasporta, brillare mi fa.私を うっとりさせている、私を 輝かせている。 (ad Elvira)(エルヴィーラに) Voi partite... Né più m'annoiate.あなたは 出発しなさい… もう 私を うんざりさせないように。 (a Zulma)(ズルマに) Tu va seco. Che smorfie... Obbidite.君は 彼女と一緒に 行きなさい。【二人とも】 なんという 嫌そうな顔だ… 従いなさい。 (ad Haly)(アリに) Voi la bella al mio seno guidate,あなたは 美女を 私の胸に 案内しなさい、 v'apprestate a onorar la beltà.美女を 称える 準備をしなさい。 Al mio foco, al trasporto, al desio,私の火に、私の有頂天に、私の欲望に、 non resiste l'acceso cor mio:私の 興奮した心は 抵抗しない: questo caro trionfo novelloこの 新たな 愛する 大勝利は quanto dolce a quest'alma sarà.私の魂に どれほど 甘美であろうことか。 (parte con Haly e seguito)(去る アリと 従者の一行と共に) |
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| [Recitativo Dopo l'Aria di Mustafà] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅸ第9場 (Elvira, Zulma, indi Lindoro)(エルヴィーラ、ズルマ、それから リンドーロ) ZULMAズルマ Vi dico il ver. Non so come si possa私は あなたに 真実を 言う。私は 分からない どのように voler bene ad un uom di questa fatta...この種の男に 愛を 望むことが 【↑】できるのか【≒ 私には どうしたら この種の男を 愛せるものか 分からない】。 ELVIRAエルヴィーラ Io sarò sciocca e matta...私は 馬鹿に そして 狂気に なるだろう… ma l'amo ancor!けれども 私は 彼を まだ 愛している! LINDOROリンドーロ Madama, è già disposto奥様、既に 準備ができた il vascello a salpar, e non attende船が 出港する、そして それは 待っていない altri che noi... Voi sospirate?...私たちの他には 誰も【≒ 船は 私たちだけを 待っている】… あなたは 溜め息をついているのか?… ELVIRAエルヴィーラ Almenoせめて che io possa anco una volta私が もう一度 riveder Mustafà. Sol questo io bramo.ムスタファに 再び会 【↑】えるように。それだけを 私は 切望している。 LINDOROリンドーロ Pria di partir dobbiamo出発する前に 私たちは congedarsi da lui. Ma s'ei vi scaccia,彼に いとまを告げ 【↑】なくてはならない。しかし 彼が あなたを 追い出す ならば、 perchè l'amate ancor? Fate a mio modo:なぜ あなたは 彼を なおも 愛するのか? 私の流儀で やりなさい: affrettiamoci a partir allegramente.陽気に 急いで 出発しよう。 Voi siete finalmenteあなたは 完全に giovine, ricca e bella, e al mio paese若く、裕福で そして 美しい、そして 私の国で voi troverete quantiあなたは 見つけるだろう può una donna bramar mariti e amanti.一人の女が 切望する ことができる 【↑】だけの 夫たちを そして 恋人たちを。 S |
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| N. 7 Finale Primno |
Allegro 4/4 C major |
SCENA Ⅹ第10場 (Sala magnifica. A destra, un sofà pe'l bey. In prospetto una ringhiera praticabile, sulla quale si vedono le femmine del serraglio. Mustafà seduto. All'intorno, Eunuchi che cantano il coro, indi Haly)(立派な 広間。右に、殿様のための長椅子。正面の景色に 通行可能な 手すり【のある露台】、その上には 後宮の女たちが 見える。ムスタファ 座った。周りに 宦官たち その者たちは 合唱を 歌う、それから アリ) CORO合唱 Viva, viva il flagel delle donne,万歳、女たちの 鞭 万歳、 che di tigri le cangia in agnelle.それは 彼女たちを トラたちから 雌羊たちに 変える。 Chi non sa soggiogar queste belleこれらの 美女たちを 服従させることが できない者は venga a scuola dal gran Mustafà.偉大なムスタファの学校に 来るように。 HALYアリ Sta qui fuori la bella Italiana...ここの 外に 美しい イタリア女が いる… MUSTAFÀムスタファ Venga... venga...彼女が 来るように…彼女が 来るように… CORO合唱 Oh! che rara beltà.ああ! なんという 滅多にない 美しさだ! |
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| Andantino 4/4 E-flat major |
SCENA ⅩⅠ第11場 (Isabella, Mustafà, Gli Eunuchi)(イザベッラ、ムスタファ、宦官たち) ISABELLAイザベッラ (Oh! che muso, che figura!...(ああ! なんという顔だ、なんという容姿だ!… Quali occhiate!... Ho inteso tutto.あの 一瞥【≒ あの 目つき】!… 私は すべてを 理解した。 Del mio colpo or son sicura.私の打撃について 今や 私は 確信している。 Sta' a veder quel ch'io so far.)見ていなさい 私が することができる ことを。) MUSTAFÀムスタファ (Oh! Che pezzo da sultano!(ああ! なんという スルタンに相応しい 人だ! Bella taglia!...viso strano...美しい 身長【≒ 美しい 立ち姿】!… 奇妙な顔【≒ 非凡な 顔】… Ah! m'incanta...m'innamoraああ! 彼女は 私を 魅惑する… 彼女は 私を 夢中にさせる… Ma convien dissimular.)だが 私は 【気持ちを】 包み隠さねば ならない。) ISABELLAイザベッラ Maltrattata dalla sorte,運命に ひどい目に遭わされて、 condannata alle ritorte...枝帯に 強いられて【≒ 束縛を 強いられて】… Ah, voi solo, o mio diletto,ああ、あなただけが、ああ 私の 愛する人よ、 mi potete consolar.私を 慰めることが できる。 MUSTAFÀムスタファ (Mi saltella il cor nel petto.(胸の中で 私の心臓が 飛び跳ねている。 Che dolcezza di parlar!)話すことの なんという甘美さだ【≒ なんと 甘美な 話しっぷりだ】!) ISABELLAイザベッラ (In gabbia è già il merlotto,(阿呆は もう 檻の中に いる、 né più mi può scappar!)もう 私から 逃げることは できない!) MUSTAFÀムスタファ (Io son già caldo e cotto,(私は もう 熱い そして 煮えた【≒ 私は もう 彼女に熱を上げて そして ぞっこんになっている】、 né più mi so frenar.)私は もう 私を 抑え【られ】ない。) |
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| Allegro 4/4 C major |
SCENA ⅩⅡ第13場 (Taddeo respingendo Haly, che vuole trattenerlo, e detti)(タッデーオ アリを 追い返して、その者は 彼を 引き留めたい、そして 前の場の人たち) TADDEOタッデーオ Vo' star con mia nipote,私は 私の姪と 一緒に いたい、 io sono il signor zio.私は 叔父氏だ。 M'intendi? sì, son io.私【の言うこと】を 分かっているか? そうだ、私だ。 Va' via: non mi seccar.行ってしまいなさい: 私を 煩わせるでない。 Signor... Monsieur... Eccellenza...殿様… 君主殿… 閣下… (Ohimè!... qual confidenza!...(ああ! … なんという親密さだ【≒ なんと 打ちとけているのだ】!… Il Turco un cicisbeoトルコ男が 伊達男に comincia a diventar.なり始めている。 Ah, chi sa mai, Taddeo,ああ、いったい 誰が 知っているのか タッデーオよ、 quel ch'or ti tocca a far?)今 お前にとって すべき ことを【≒ ああ、タッデーオよ、いったい 誰が 今 お前が しなくてはならないことが 分かるというのか】?) HALYアリ Signor, quello sguajato...殿様、あの無作法な男は… MUSTAFÀムスタファ Sia subito impalato.彼は すぐに 串刺しの刑にされるように。 TADDEOタッデーオ Nipote... ohimè... Isabella...姪よ… ああ… イザベッラよ… senti, che bagatella?君は聞いているか、なんと 取るに足らないことを【≒ 君は この めちゃくちゃな話を 聞いたか】? ISABELLAイザベッラ Egli è mio zio.彼は 私の叔父だ。 MUSTAFÀムスタファ Cospetto!おやこれは驚いた! Haly, lascialo star.アリ、彼を 居させなさい。 ISABELLAイザベッラ (ムスタファに) Caro, capisco adessoいとしい人よ、私は 今 理解している che voi sapete amar.あなたが 愛することを 知っている ことを。 MUSTAFÀムスタファ Non so che dir, me stesso,私は 何を 言う【べき】か 分からない、私自身を cara, mi fai scordar.いとしい女よ、君は 私に 忘れさせている【≒ いとしい女よ、君は 私を 恍惚とさせている】。 TADDEOタッデーオ (Un palo addirittura?(棒くい さえも? Taddeo, che brutto affar!)タッデーオよ、なんと 酷いことだ!) HALYアリ (Costui dalla paura(この男は 恐怖から non osa più parlar.)もう 思い切って 話しはしない。) |
Signor... Monsieur... Eccellenza... Bey はオスマン帝国での 地方長官,州総督 なので、実質的にその地の君主であっても Eccellenza 閣下 が用いられる。 |
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| Andantino 3/4 C major |
SCENA ULTIMA最終場 (Lindoro, Elvira, Zulma, e detti)(リンドーロ、エルヴィーラ、ズルマ、そして 前の場の人たち LINDORO, ELVIRA E ZULMAリンドーロ,エルヴィーラ と ズルマ Pria di dividerci da voi, Signore,あなたから 別れる 前に、殿様、 veniamo a esprimervi il nostro core,私たちは 私たちの心の 気持ちを言い表しに 来ている、 che sempre memore di voi sarà.それは いつまでも あなたの 記憶に あるだろう。 ISABELLAイザベッラ (Oh ciel!)(ああ 天よ!) LINDOROリンドーロ (Che miro!)(私は 何を 見ているのだ!) ISABELLAイザベッラ (Sogno?)(私は 夢を見ているのか?) LINDOROリンドーロ (Deliro?(私は 錯乱しているのか? Quest'è Isabella!)あの人は イザベッラだ!) ISABELLAイザベッラ (Questi è Lindoro!)(あの人は リンドーロだ!) LINDOROリンドーロ (Io gelo.)(私は 凍りついている) ISABELLAイザベッラ (Io palpito.)(私は 心臓がどきどきしている。) ISABELLA E LINDOROイザベッラ と リンドーロ (Che mai sarà?(いったい どうなるのだろうか? Amore, aiutami per carità.)愛の神よ、私を 助けなさい 後生だから。) MUSTAFÀ E HALYムスタファ と アリ (Confusi, stupidi, incerti pendono;(彼らは 当惑して、唖然として、ためらって ぶら下がっている【≒ 彼らは 当惑して、唖然として、ためらった ままでいる】: non so comprendere tal novità.)私は このような 新しいものを 理解 できない【≒ 私は こうした 新たな展開は 理解 できない】。) ELVIRA E ZULMAエルヴィーラ と ズルマ (Confusi e stupidi, incerti pendono;(彼らは 当惑して そして 唖然として、ためらって ぶら下がっている【≒ 彼らは 当惑して、唖然として、ためらった ままでいる】: non so comprendere tal novità.)私は このような 新しいものを 理解 できない【≒ 私は こうした 新たな展開は 理解 できない】。) ISABELLA E LINDOROイザベッラ と リンドーロ (Oh! Dio, che fulmine! non so rispondere,(ああ! 神よ、なんという雷だ【≒ なんという 衝撃だ】! 私は 答えることが できない、 amore, aiutami per carità.)愛の神よ、私を 助けなさい 後生だから。) TADDEOタッデーオ (Oh! Dio, che fremito! oh! Dio, che spasimo!(ああ! 神よ、なんという戦慄だ! ああ! 神よ、なんという 精神的苦悩だ! che brutto muso fa Mustafà.)ムスタファは なんて 酷い顔を しているのだ。) |
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| Allegro 4/4 C major |
ISABELLAイザベッラ Dite: chi è quella femmina?言いなさい、あの女性は 誰なのか? MUSTAFÀムスタファ Fu sino ad or mia moglie.彼女は 今まで 私の妻だった。 ISABELLAイザベッラ Ed or?...それで 今は?… MUSTAFÀムスタファ Il nostro vincolo,私たちの 絆は、 cara, per te si scioglie:いとしい女よ、君のために 解かれた: questi, che fu mio schiavo,この人が、その者は 私の奴隷だった、 si dee con lei sposar.彼女と 結婚する はずである。 ISABELLAイザベッラ Col discacciar la moglie妻を 追い出すことで da me sperate amore?あなたは 私から 愛を 期待しているのか? Questi costumi barbariこれらの 野蛮な 風習を io vi farò cangiar.私は あなたから 変えさせよう。 Resti con voi la sposa...妻が あなたと一緒に 留まるように… MUSTAFÀムスタファ Ma questa non è cosa...だが この女は ことでは ない【≒ だが この女は そうはいかない】… ISABELLAイザベッラ Resti colui mio schiavo.この男は 私の 奴隷男に 留まるように。 MUSTAFÀムスタファ Ma questo non può star.だが この男は 居ることが できない。 ISABELLAイザベッラ Andate dunque al diavolo.では 悪魔のところに 行きなさい。 Voi non sapete amar.あなたは 愛することを 知らない。 MUSTAFÀムスタファ Ah! no... m'ascolta... acchetati...ああ! いいや… 落ち着きなさい… (Ah! costei mi fa impazzar.)(ああ! この女は 私の 気を狂わせる。) ELVIRA, ZULMA E LINDOROエルヴィーラ、ズルマ と リンドーロ (ridendo)(笑って) (Ah! di leone in asino(ああ! ライオンから ロバに lo fe' costei cangiar.)この女は 彼を 変えさせている。) |
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| Stretta del Finale Primo Allegro vivace 4/4 C major |
ELVIRA, ISABELLA, HALLY, TADDEO E MUSTAFÀエルヴィーラ、イザベッラ、アリ、タッデーオ と ムスタファ Va sossopra il mio cervello私の脳は 上下逆さまになる sbalordito in tanti imbrogli;たくさんの混乱に びっくり仰天させられて; qual vascel fra l'onde e i scogli波々と 岩礁の 間の 船のように io sto presso a naufragar.私は まさに 難破する ところだ。 ZULMA E LINDOROズルマ と リンドーロ Va sossopra il mio cervello私の脳は 上下逆さまになる sbalordito in tanti imbrogli;たくさんの混乱に びっくり仰天させられて; qual vascel fra l'onde e i scogli波々と 岩礁の 間の 船のように ei sta presso a naufragar.彼は まさに 難破する ところだ。 ELVIRA, ZULMA, ISABELLA, LINDORO, HALLY, TADDEO E MUSTAFÀエルヴィーラ、ズルマ,イザベッラ、リンドーロ,アリ、タッデーオ と ムスタファ Va sossopra il mio cervello私の脳は 上下逆さまになる sbalordito in tanti imbrogli;たくさんの混乱に びっくり仰天させられて; qual vascel fra l'onde e i scogli波々と 岩礁の 間の 船のように io son presso a naufragar.私は まさに 難破する ところだ。 CORO合唱 Va sossopra il suo cervello;彼のの脳は 上下逆さまになる; ei sta presso a naufragar.彼は まさに 難破する ところだ。 ELVIRAエルヴィーラ Nella testa ho un campanello私は 頭の中に 鐘を 持っている che suonando fa din din.それは ディン・ディン 鳴っている。 LINDORO E HALYリンドーロ アリ Nella testa un gran martello頭の中で 大きな槌 つち が mi percuote e fa tac tà.私を 打つ そして タク・タ する。 ZULMA E ISABELLAズルマ と イザベッラ La mia testa è un campanello私は 頭の中に 鐘を 持っている che suonando fa dindin.それは ディン・ディン 鳴っている。 TADDEOタッデーオ Sono come una cornacchia私は カラスのようだ che spennata fa crà crà.それは 羽根をむしられて クラ・クラ する。 MUSTAFÀムスタファ Come scoppio di cannone大砲の爆発のように la mia testa fa bum bum.私の頭は ブンブン する。 ELVIRA, ZULMA, ISABELLA, LINDORO, HALY E TADDEO Va sossopra il mio cervello私の脳は 上下逆さまになる sbalordito in tanti imbrogli;たくさんの混乱に びっくり仰天させられて; qual vascel fra l'onde e i scogli波々と 岩礁の 間の 船のように io sto presso a naufragar.私は まさに 難破する ところだ。 ELVIRA, ZULMA E ISABELLAエルヴィーラ,ズルマ と イザベッラ Nella testa ho un campanello私は 頭の中に 鐘を 持っている che suonando fa din din.それは ディン・ディン 鳴っている。 LINDORO E HALYリンドーロ と アリ Nella testa un gran martello頭の中で 大きな槌 つち が mi percuote e fa tac tà.私を 打つ そして タク・タ する。 TADDEO E MUSTAFÀタッデーオ と ムスタファ Va sossopra il mio cervello私の脳は 上下逆さまになる sbalordito in tanti imbrogli;たくさんの混乱に びっくり仰天させられて; qual vascel fra l'onde e i scogli波々と 岩礁の 間の 船のように io son presso a naufragar.私は まさに 難破する ところだ。 |
io sto presso a naufragar. essere presso a で まさに―するところだ の意味。この essere の代わりに stare を用いている。 |
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| ATTO Ⅱ | |||
| N. 8 Itroduzione Coro |
Allegro 2/4 A major |
SCENA Ⅰ第1場 (Piccola Sala come nell'Atto Primo. Elvira, Zulma, Haly e coro di Eunuchi)(小広間 第1幕と同様の。エルヴィーラ、ズルマ、アリ と 宦官たちの合唱) CORO合唱 Uno stupido, uno stolto馬鹿に、愚か者に diventato è Mustafà.ムスタファは なった。 Questa volta amor l'ha colto:今回は 愛の神が 彼を 【矢で】 射った: gliel'ha fatta come va.彼は 彼を からかった 彼が 行く とおりに【≒ 愛の神は 彼の思いのままに ムスタファを からかった】。 ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ L'Italiana è franca e scaltra.イタリア女は 開けっぴろげだ そして 狡猾だ。 La sa lunga più d'ogni altra.彼女は どんな 他の女よりも より 抜け目がない。 Quel suo far sì disinvoltoあの 彼女の あれほどに 動じない 態度は gabba i cucchi ed ei no'l sa.間抜けたちを からかう そして 彼は そのことを 分かっていない。 |
Questa volta amor l'ha colto: amore を 愛の神 すなわち キューピッド で採ったので、この cogliere 摘む は (矢を)射る の意味になる。なお amore を抽象的な 愛 と採って、愛が 彼を 捕らえた でも訳せる。 gliel'ha fatta come va. farla a ql.cu. 人をだます,人をからかう。4行下の gabbare と同義。come va 彼が行くとおりに は come vuole 彼が望む通りに ≒ 彼の思いのままに と同様。 La sa lunga più d'ogni altra. saperla lunga 抜け目がない,ずる賢い。 Quel suo far sì disinvolto この台本での disinvolto は基本的に 動じない で訳す。 |
| [Recitativo] Dopo l'Introduzione |
4/4 (C Major) |
ELVIRAエルヴィーラ Haly, che te ne par? avresti maiアリよ、君には そのことについて どのように思われるか? 君は 今までに in Mustafà credutoムスタファに 信じたか un sì gran cangiamento, e sì improvviso?あれほどに 大きな 変化を、そして あれほどに 突然の 【≒ 君は これまでに ムスタファが あれほどに 大きな、そして 突然の変化をすると 思ったことが あるか】? HALYアリ Mi fa stupore e insiem mi muove a riso.それは【= 変化は】 私を 仰天させ、そして 同時に 私に 笑いを 起こさせている。 ZULMAズルマ Forse è un bene per voi. Sua moglie intantoことによると それは あなたにとって【= エルヴィーラにとって】 よいことだ。今のところは 彼の妻だ voi siete ancor. Chi sa che dalla bellaあなたは まだ。誰が 知っているのか 美女によって dileggiato e schermito,愚弄されて そして ばかにされて、 egli alfin non diventi un buon marito?彼が 最後には 善良な夫に ならない 【↑↑】と【≒ 美女に 愚弄されて そして ばかにされて、結果 彼が 善良な夫に なるや否や、なんて 誰に 分かるものか】? HALYアリ Ei vien... Flemma... Per ora彼が 来る… 冷静さを… 今のところは secondate, o signora, i suoi capricci.彼の気紛れを、ああ 婦人よ、叶えなさい。 La bontà vostra, il tempo e la ragioneあなたの善良が、時が そして 理性が forse la benda gli trarran dal ciglio.ことによると 彼の眼から 目隠しを 引き出すだろう【≒ 彼の目から 目隠しを はずすだろう】。 ZULMAズルマ Tu parli ben[e].君は よいことを 言っている。 ELVIRAエルヴィーラ Mi piace il tuo consiglio.私には 君の助言は 気に入られている。 SCEMA Ⅱ第2場 (Mustafà e detti)(ムスタファと 前の場の人たち) MUSTAFÀムスタファ Amiche, andate a dir all'Italiana友の女たちよ、イタリア女に 言いに 行きなさい che io sarò tra mezz'ora私は 今から半時間後に a ber seco il caffè! Se mi riceve彼女と一緒に コーヒーを 飲みに 【↑】来るだろう 【↑】 と! もし 彼女が 私【の誘い】を 受け入れるならば a quattr'occhi... buon segno... il gioco è fatto.4つの目で【≒ 2人で】… 良い兆候だ… 勝負は 決まった。 Allor... Vedrete allor, com'io la tratto.その時には… その時には 君たちは 見るだろう、どうやって 私が 彼女を 扱うかを。 ZULMAズルマ Vi serviremo.私たちは あなたに 仕える。 ELVIRAエルヴィーラ Farò per compiacervi私は しよう あなたが 満足するために tutto quel che io potrò.私が できるであろう こと すべてを。 ZULMAズルマ Ma non crediateしかし 信じるでない così facil l'impresa. È finta...企てが そのように 容易だと。彼女は 装っている… ELVIRAエルヴィーラ È scaltra彼女は 狡猾だ più assai che non credete.もっと ずっと あなたが 思っているよりも。 MUSTAFÀムスタファ Ed io sono un baggian? sciocche che siete.それでは 私は ばか者 なのか? ばかなのは 君たちだ。 Dallo schiavo italian, che mi ha promessoイタリア人の奴隷男から、その者は 私に 約束した di servir le mie brame, ho già scoperto私の熱望に 仕えることを、私は 既に 見付けた l'umor di lei. Le brutte彼女の気性を【≒ 私の熱望に奉仕する と約束したイタリア人奴隷によって 私は もう 彼女の性格の 良さに気付いた】。嫌なことは non farian nulla, e prima d'avvilirsi何も しないだろう【≒ 彼女が嫌がることをしても どうにもならないだろう】、そして 【嫌がることによって】 屈辱を与えられる より 前に certo son io che si faria scannare.私は 確信している 彼女は 自分の 喉を切る ことを。 L'ambizion mi pare私には 思われる 野心である che possa tutto in lei. Per questa viaそれが 彼女において すべての 力を有している【≒ 野心こそが 彼女の 原動力だ】。この方策によって la piglierò. Quel goffo di suo zio私は 彼女を 掴もう【≒ そうやって 私は 彼女を 我が物にしよう】。あの 彼女の叔父である ぎこちない男を trar saprò dalle mie. Vedrete in somma私は 私の味方に 引き寄せることが できる。君たちは 見るだろう 結局 quel ch'io so far[e]. Haly, vien meco, e voi私が することが できる ことを。アリ、私と一緒に 来なさい、そして 君たちは recate l'ambasciata. Ah! se riesce伝言を 【イザベッラに】 運びなさい。ああ! もし うまくできる ならば quello che già pensai,私が 既に 考えた ことが、 la vogliam veder bella.たぶん 私たちは 信じられないことを 見る【≒ きっと 信じられないことが 起きるだろう】。 HALYアリ E bella assai.そして たいへんに 信じられないことを。 (via tutti)(全員 去る) SCENA Ⅲ第3場 (Isabella e Lindoro)(イザベッラと リンドーロ) ISABELLAイザベッラ Qual disdetta è la mia! Onor e patria私のものは なんという不幸だ【≒ 私は なんて 不幸なのだ】! 名誉と 祖国を e fin me stessa oblio; su questo lido自分自身さえ 私は 忘れている; この海岸で trovo Lindoro, e lo ritrovo infido!私は リンドーロを 見つけている、そして 彼が 不実であることを 認めている! LINDOROリンドーロ Pur ti riveggo...やっと 私は 君に 再び会っている… (ad Isabella che va per partire)(イザベッラに その者は 去ろうとする) Ah no, t'arresta,ああ いいや、止まりなさい、 adorata Isabella, in che peccai熱愛する イザベッラよ、私は 何において 過ちを犯したのか che mi fuggi così?君が このように 私を 避ける ような? ISABELLAイザベッラ Lo chiedi ancora?君は なおも そのことを 尋ねるのか? tu che sposo ad Elvira?...君が その者は エルヴィーラと 結婚する?… LINDOROリンドーロ Io! di condurla,私が! 【↓】私は 言った 彼女を 【イタリアに】 連れて行く と、 non di sposarla ho detto, e sol m'indussi彼女と 結婚する のではなく、そして 私は 心を決めた ただ per desio d'abbracciarti.君を 抱き締める 希求のため 【↑】だけに。 ISABELLAイザベッラ E creder posso?それで 私は 信じることが できるのか? LINDOROリンドーロ M'incenerisca un fulmine, se mai雷が 私を 灰にするがいい、もし pensai tradir la nostra fede.私が 私たちの絆に 不実であることを 考えた 【↑】のであれば。 ISABELLAイザベッラ (pensosa)(考え込んで) Hai core?君は 勇気を 持っているか? T'è caro l'amor mio, l'onor ti preme?私の愛は 君にとって いとしいか、名誉は 君には 重要か? LINDOROリンドーロ Che far degg'io?私は 何を しなくてはならないのか? ISABELLAイザベッラ Fuggir dobbiamo insieme.私たちは 一緒に 逃げなくてはならない。 Quell'istesso vascel... Qualche raggiroこの 同じ船が… なにか策略を qui bisogna intrecciar. Sai che una donnaここで 絡み合わせる 必要がある【≒ なにか 陰謀を 巡らす 必要がある】。君は 知っている non v'ha di me più intraprendente e ardita.私よりも さらに 何事にも積極的な そして大胆な 【↑】女は いない 【↑】と。 LINDOROリンドーロ Cara Isabella,いとしいイザベッラよ、 ah! tu mi torni in vita.ああ! 君は 私を 命に 戻した【≒ 君は 私を 生き返らせた ≒ 君のおかげで 私は 生気を 取り戻した】。 ISABELLAイザベッラ T'attendo nel boschetto. Inosservati私は 君を 林の中で 待つ。気付かれずに concerteremo i nostri passi insieme.私たちの 足の運びを 一緒に 集めよう【≒ 誰に見られずに 皆で 集まろう】。 Separiamci per or.今のところは 別れよう。 LINDOROリンドーロ Verrò, mia speme.私は 来よう、私の希望の人よ。 ISABELLAイザベッラ (parte)(去る) |
più assai che non credete. この non は冗語。 non farian nulla, e prima d'avvilirsi この avvlirire は mortificare 屈辱を与える と同義。 trar saprò dalle mie. Vedrete in somma mio は女性形 mia で名詞を伴わない場合 私の味方 の意味になることがある。例文 Stare / essere da mia ―は私の味方である。ここでの dalle mie も同様に 私の味方に の意味と思われる。 la vogliam veder bella. この bella は女性名詞 信じられないこと。伊和辞典の例文に verderne delle belle で 信じられないことを見る とあり、この la vogliam veder bella も同様の表現と思われる。この volere は たぶん―する。 |
| N. 9 Cavatina [Lindoro] Lindoro |
Allegro 4/4 C major |
LINDOROリンドーロ Oh come il cor di giubiloああ なんと 心が 歓喜に esulta in questo istante!狂喜していることか この瞬間に! Trovar l'irata amante,怒った恋人に 出くわし placar sua crudeltà.彼女の 残酷さを 静める【≒ 彼女の激昂を 静める】。 Son questi, amor, tuoi doni,これらは、愛の神よ、おまえの恵みだ、 son questi tuoi diletti.これらは おまえの 楽しみだ。 Ah! tu sostien gli affettiああ! おまえは 援助しなさい 情愛を di mia felicità.私の幸せの。 (parte)(去る) |
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| [Recitativo] [Recitativo] Dopo la Cavatina [di Lindoro] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅳ第4場 (Mustafà, indi TADDEO, poi HALY con due Mori, i quali portano un turbante, un abito turco, una sciabola, e coro di Eunuchi)(ムスタファ、それから タッデーオ、その後に アリ 二人のムーア人と共に、その者たちは ターバンと トルコの服、サーベルを 持って来る、そして 宦官たちの合唱) MUSTAFÀムスタファ Ah! se da solo a solaああ! もしも 二人きりで m'accoglie l'Italiana... Il mio puntiglioイタリア女が 私を 迎える 【↑】ならば… 私の熱意は con questa Signorinaこのお嬢さんとの è tale, che io ne sembro innamorato.そのようである、私が 彼女に 恋をした ように見える【≒ 私は あのお嬢さんに とても 執心しているので 傍から見たら 私が 彼女に 恋をしているように 見えるだろう】。 TADDEOタッデーオ Ah! Signor Mustafà.ああ! ムスタファ様。 MUSTAFÀムスタファ Che cosa è stato?何が あったのか? TADDEOタッデーオ Abbiate compassion d'un innocente.無実の者に 哀れみを 抱きなさい。 Io non v'ho fatto niente...私は あなたに 何もしていない… MUSTAFÀムスタファ Ma spiegati... cos'hai?さあ 説明しなさい… どうしたのか? TADDEOタッデーオ Mi corre dietro私の後を 走って来る quell'amico del palo.あの 棒くいの友が【≒ あの 棒くいを持った あなたの手下が 私を 追いかけて来る】。 MUSTAFÀムスタファ Ah!... ah... capisco.ああ!…ああ… 私は 理解している。 È questa la cagion del tuo spavento?そのことが 君の心配の 原因か? TADDEOタッデーオ Forse il palo in Algeri è un complimento?ことによると 棒くいは アルジェでは 挨拶なのか? Eccolo... Ohimè...ほらそこに彼が… ああ… MUSTAFÀムスタファ Non dubitar. Ei viene疑うでない。彼は 来ている d'ordine mio per onorarti. Io voglio君に 栄誉を与えるための 私の命令で。私は 【君に】 【↓】見せ たい mostrar quanto a me cara è tua nipote.私に 君の姪が どれほど いとしい かを。 Perciò t'ho nominatoそれゆえ 私は 君を 任命した mio gran[de] Kaimakan.私の 偉大な カイマカンに。 TADDEOタッデーオ Grazie, obbligato.ありがとう、感謝している。 |
è tale, che io ne sembro innamorato. ne = di quella = della signorina。innamorato di - ―に夢中になった,惚れた。したがって ne innamorato = innamorato della signorina。 mio gran[de] Kaimakan. カイマカン とは、オスマン帝国で大宰相不在時の代理。この場合はベイ = 君主ムスタファの次の地位だろう。なお日本語では カイマカム の表記が一般的。 |
| N. 10 Coro, Rcitativo e Aria Taddeo Taddeo |
Allegro 4/4 D Major |
(Haly mette l'abito turco a Taddeo, poi il turbante: indi Mustafà gli cinge la sciabola. Intanto i Turchi, con gran riverenza ed inchini, cantano il coro)(アリは タッデーオに トルコの服を 着させる、それから ターバンを。その後に ムスタファが 彼に サーベルを 巻き付ける。そうしている間に トルコ人たちは、大きなお辞儀と お辞儀と 共に 合唱を歌う) CORO合唱 Viva il grande Kaimakan,偉大な カイマカン 万歳、 protettor de' Mussulman.イスラム教徒の 守護者よ。 Colla forza dei leoni,ライオンの力と共に、 coll'astuzia dei serpenti,ヘビの狡猾さと共に、 generoso il ciel ti doni天が 君に 気前よく 与えるように faccia fresca e buoni denti.生気のある顔を そして 良い歯を。 Protettor del mussulman,イスラム教徒の 守護者よ。 viva il grande Kaimakan.偉大な カイマカン 万歳。 |
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| Recitativo 4/4 (C major) |
TADDEOタッデーオ Kaimakan! Io non capisco niente.カイマカンだって! 私は 何も 理解していない。 MUSTAFÀムスタファ Vuol dire Luogotenente.【君主の】代理を 意味する。 TADDEOタッデーオ E per i meritiそれで della nostra nipote a questo impiego私たちの姪の 【↑】おかげで この職に la vostra Signoria m'ha destinato?閣下は 私を 指名したのか? MUSTAFÀムスタファ Appunto, amico mio.そのとおりだ、私の友よ。 TADDEOタッデーオ Grazie, obbligato.ありがとう、感謝している。 (Oh povero Taddeo.) Ma io... Signore...(ああ 哀れな タッデーオよ。)しかし 私は… 殿様… se debbo aprirvi il core,もし 私が あなたに 心を 開かなくては ならない ならば、 son veramente un asino. V'accerto私は 本当に 愚か者だ。私は あなたに はっきりさせる che so leggere appena.私は ほとんど 読むことが できない と。 MUSTAFÀムスタファ Ebben[e]! che importa?それで! 何が 重要なのか? Mi piace tua nipote, e se saprai君の姪は 私に 気に入られている、そして もし 君が できるであろうならば mettermi in grazia a lei non curo il resto.彼女の好意に 私を 置くことが 【≒ もし 君が 彼女が 私に 好意を抱くよう 仕向けられるならば】 私は 残りに 気を配らない TADDEOタッデーオ (Messer Taddeo, che bell'impiego è questo!)(タッデーオ氏よ、これは なんと素晴らしい 職だ!)) |
Vuol dire Luogotenente. luogotenente 一般に君主制の場合で、君主が不在の時に君主の権力行使を代行する者。 |
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| [Aria Taddeo] Allegro 4/4 D major |
Ho un gran peso sulla testa;私は 頭の上に 大きな重さを 持っている【≒ 頭の上【のターバン】が とても 重い】; in quest'abito m'imbroglio.この服を着て 私は まごついている【≒ この服は 着心地が悪い】。 Se vi par la scusa onesta,もし 【私の】謝罪が あなたに 誠実であるように 見えるならば、 Kaimakan esser non voglio,私は カイマカンに なり たくない、 e ringrazio il mio Signoreそして 私は 私の殿様に 感謝の意を表する dell'onore che mi fa.栄誉に それを あなたは 私に している。 (Egli sbuffa!... Ohimè!... che occhiate!)(彼は 【怒りで】 鼻息を荒くしている!… ああ! 彼は 何を 見詰めているのだ【≒ 彼は どうして 睨んでいるのだ】!) Compatitemi... ascoltatemi...私を 大目に見なさい… 私【の言うこと】を 聞きなさい… (Spiritar costui mi fa.(この男は 私を 気がおかしくさせる。 Qua bisogna far un conto:ここで 勘定を する 必要がある【≒ ここで しっかりと 判断しなくてはならない】: se ricuso... il palo è pronto.もし 私が 拒否するならば… 棒くいは 準備のできた【≒ 串刺しの刑の 準備が 整ってしまう】。 E se accetto?... è mio dovereそれでは 私が 従ったならば?… 私の義務は di portargli il candeliere.彼に 燭台を 運ぶ ことだ【≒ 私は 逢引きを 手助けしなくてはならない】。 Ah! Taddeo, che bivio è questo!ああ! タッデーオよ、これは なんという 岐路だ! Ma quel palo?... che ho da far?)しかし あの 棒くいは?… 私は 何を すべきなのか?) Kaimakan, Signore, io resto,殿様、私は、カイマカンの ままでいる、 non vi voglio disgustar.私は あなたを 不愉快にし たくない。 CORO合唱 Viva il grande Kaimakan,偉大な カイマカン 万歳、 protettor de' Mussulman.イスラム教徒の 守護者よ。 TADDEOタッデーオ Quanti inchini!... quanti onori!...なんと多くの 挨拶!… なんと多くの 礼!… mille grazie, miei Signori,どうもありがとう、私の 紳士よ、 non vi state a incomodar.気を遣うでない。 Per far tutto quel ch'io posso,私が できる すべてのことを するために、 Signor mio, col basto indosso,私の殿様よ、荷鞍を 身に着けて【≒ 重責を 担って】、 alla degna mia nipote私の 立派な姪のところに or mi vado a presentar.今 私は 現れに 行く。 (Ah Taddeo! quant'era meglio(ああ タッデーオよ! どれほど より 良かったか che tu andassi in fondo al mar.)おまえが 海の底に 行くことは【≒ 海の底に 行く方が よっぽど ましだった】。) CORO合唱 Viva,万歳、 TADDEOタッデーオ Grazie,ありがとう、 CORO合唱 viva,万歳、 TADDEOタッデーオ quanti onori!...なんと多くの 礼!… alla degna mia nipote私の 立派な姪のところに or mi vado a presentar.今 私は 現れに 行く。 (via)(去る) CORO合唱 viva il grande Kaimakan偉大な カイマカン 万歳、 protettor de' Mussulman.イスラム教徒の 守護者よ。 |
di portargli il candeliere. イタリア語には portare candeliere 燭台を持って行く という成句は見当たらなかった。一方、フランス語には tenir la chandelle ロウソクを持つ という成句がある。夜二人で愛を語り合う恋人たちのためにロウソクを持って明るく照らすことを意味し、つまり恋の協力者という意味になる(逆に 恋の邪魔者 の意味になることもある)。portare candeliere はフランス語から派生した表現なのかもしれない。この場合、タッデーオがムスタファの逢引きに協力させられることを意味している。 Quanti inchini!... quanti onori!... この onore は inchino お辞儀 と対になるように 敬意,礼 で採った。 alla degna mia nipote この degno は 立派な,称賛に値する |
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| [Recitativo Dopo l'Aria di Taddeo] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅴ第5場 (Appartamento magnifico a pian terreno con una loggia deliziosa in prospetto, che corrisponde al mare. A destra l'ingresso a varie stanze. Isabella innanzi ad uno specchio grande portatile, che finisce d'abbigliarsi alla Turca. Elvira e Zulma, poi Mustafà, Taddeo e Lindoro)(立派な居所 地上階の【≒ 1階の】 正面に うっとりせるような開廊のある、それは 海に 面している。右手に 様々な部屋の 入り口。イザベッラ 持ち運びのできる 大きな鏡の 前で、その者は トルコ風に着飾るのを 済ませている。エルヴィーラと ズルマ、それから ムスタファ、タッデーオと リンドーロ) ZULMAズルマ (Buon segno pe'l Bey.)(殿様への 良い兆候だ。) ELVIRAエルヴィーラ (Quando s'abbiglia,(ドレスアップすると、 La donna vuol piacer.)女は 楽しみを 望む【≒ 女は 楽しみたくなる】。) ISABELLAイザベッラ Dunque a momentiそれでは すぐに il Signor Mustafà mi favorisceムスタファ殿は 私に してくれるのか a prender il caffè? Quanto è graziosoコーヒーを 飲むのを【≒ ムスタファ様は すぐに 私と一緒に コーヒーを 飲んでくださるのか】? どれほど 優しいのだ il Signor Mustafà.ムスタファ殿は。 Ehi... Schiavo... Chi è di là?えい… 奴隷男よ… 誰が そこに いるのか? LINDOROリンドーロ Che vuol, Signora?あなたは 何を 望んでいるのか、婦人よ? ISABELLAイザベッラ Asinaccio, due volte愚か者よ、2回【も】 ti fai chiamar?... Caffè.君は 【私に】 君を 呼ばさせるのか【≒ 君は 2度も 呼ばれなくは ならないのか】?… コーヒーを。 LINDOROリンドーロ Per quanti?何人分? ISABELLAイザベッラ Almen per tre.すくなくとも 3人分。 ELVIRAエルヴィーラ Se ho bene inteso私が 十分に 理解したのであれば con voi da solo a solaあなたと 二人きりで vuol prenderlo il Bey.殿様は それを 飲みたい。 ISABELLAイザベッラ Da solo a sola?...二人きりで?… E sua moglie mi fa tali ambasciate?それで 彼の妻が 私に そのような伝言をするのか? ELVIRAエルヴィーラ Signora...婦人よ… ISABELLAイザベッラ Andate... andate...なんと… なんと… arrossisco per voi.あなたのために 私が 顔が赤くなっている。 ELVIRAエルヴィーラ Ah se sapesteああ もし あなたが 知っていたならば che razza d'uomo è il mio!私の男が【= 私の夫が = ムスタファが】 どんな種の人間か! Più di piacergli彼に 気に入るよう si studia, e più disprezzo ei le dimostra.努める 【↑】ほどに、すると 彼は ますます 彼女に 侮蔑を 表すのだ。 ISABELLAイザベッラ Finché fate così la colpa è vostra.あなたが そんなふうに する 限り 過ちは あなたのものだ。 ELVIRAエルヴィーラ Ma che cosa ho da fare?しかし 私は 何を すべきなのか? ISABELLAイザベッラ Io v'insegnerò. Va in bocca al lupo私が あなたたちに 教えよう。オオカミの口の中に 行く chi pecora si fa. Sono le mogliヒツジに なる 者は【≒ 羊になったら 狼に 喰われてしまう ≒ 臆病者は 強い者の 言いなりになる】。妻たちである tra noi quelle che formano i mariti.私たち 【イタリア人】の間では 夫たちを 育成する者は。 Orsù: fate a mio modo. In questa stanzaさあ 私の流儀で しなさい。この部屋に ritiratevi.身を引きなさい【≒ この部屋に 下がっていなさい】。 ELVIRAエルヴィーラ E poi?そして それから? ISABELLAイザベッラ Vedrete comeあなたたちは 見るだろう どうやって a Mustafà farò drizzar la testa.ムスタファに 私が 頭を まっすぐに させるか【≒ どうやって ムスタファの考えを 改めさせるか】。 ZULMAズルマ (Che spirito ha costei!)(この女は なんという才気を 持っているのだ!) ELVIRAエルヴィーラ (Qual donna è questa!)(この女は なんという女だ!) ISABELLAイザベッラ (alle schiave)(奴隷の女たちに) Voi restate: (a momenti君たちは 残りなさい: (すぐに ei sarà qui) finiamo d'abbigliarsi.彼は ここに 来るだろう) 着飾るのを 済ませよう。 Ch'egli vegga... ah! se n' viene:彼が 見るがいい… ああ! 彼が やって来る: or tutta l'arte a me adoprar conviene.)今こそ すべての 私の技を 用いる 必要がある。 ([Isabella] si mette ancora allo specchio abbigliandosi, servita dalle schiave. Mustafà, Taddeo, Lindoro restano indietro, ma in situazione di veder tutto)([イザベッラは] 再び 着飾りながら 鏡のところに 身を置く、女奴隷たちに 奉仕されて。ムスタファ、タッデーオ、リンドーロは 後ろに いる、しかし すべてを 見る 状況に ある)。 |
Andate... andate... andare 由来の va' という間投詞が なんと という意味を持つので、この andate も同様だろうと理解した。 |
| N. 11 Cavatina Isabella Isabella Lindoro Taddeo Mustafà |
Andante grazioso 2/4 F Major |
ISABELLAイザベッラ Per lui che adoro,彼のために その者を 私は 熱愛している、 ch'è il mio tesoro,その者は 私の宝である、 più bella rendimi,私を より 美しく しなさい、 madre d'amor.愛の母よ。 Tu sai se l'amo,君は 知っている 私が 彼を 愛しているのかどうかを、 piacergli io bramo:私は 彼に 気に入られることを 切望している: grazie, prestatemi魅力を、【愛の母よ、】私に 提供しなさい vezzi e splendor.愛らしさを そして 華麗を。 |
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| Allegro 2/4 F major |
(Guarda, guarda, aspetta, aspetta...(見なさい、見なさい、待ちなさい、待ちなさい… tu non sai chi sono ancor.)君は まだ 知らない 私が 誰であるか【≒ 君は まだ 私が どんな女なのか 分かっていない】。) MUSTAFÀムスタファ (Cara!...(いとしい女よ!… TADDEOタッデーオ (Furba!...(抜け目のない女だ!… MUSTAFÀムスタファ Bella!美女よ! LINDOROリンドーロ (Ingrata!(恩知らずの女め! LINDORO, TADDEO E MUSTAFÀリンドーロ、タッデーオ と ムスタファ Una donna【↓】彼女のような 女を come lei non vidi ancor.)私は かつて 見なかった。) ISABELLAイザベッラ Questo velo è troppo basso...このヴェールは 低過ぎる… quelle piume un po' girate...その羽根を すこし 回しなさい… no, così... voi m'inquietate...いいや、このように… あなたは 私を そわそわさせている… meglio sola saprò far.私は 一人で より良く することが できるだろう。 Bella quanto io bramerei私が 切望したい だけの 美女であると temo a lui di non sembrar.彼に 思われないのではないかと 私は 心配している【≒ 私は 私の 望む とおりの 美女だと 彼に 思われないのではと 心配している】。 |
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| Primo Tempo 2/4 F major |
Per lui che adoro,彼のために その者を 私は 熱愛している、 ch'è il mio tesoro,その者は 私の宝である、 più bella rendimi,私を より 美しく しなさい、 madre d'amor.愛の母よ。 |
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| Allegro 2/4 F major |
(Turco caro, già ci sei,(いとしい トルコ男よ、君は もう そこに いる、 un colpetto e dei cascar.)小さな一撃【を加えれば】 そして 君は 倒れるに 違いない。) LINDORO, TADDEO E MUSTAFÀ (Oh che donna è mai costei...(ああ この女は いったい なんという女なのだ… faria ogn'uomo delirar.彼女は あらゆる男を 夢中にさせるだろうに。 Oh che donna è mai costei...ああ この女は いったい どんな女なのだ faria ogn'uomo innamorar.)あらゆる男を 惚れさせるだろうに。) (Isabella parte, le schiave si ritirano)(イザベッラは 去る、奴隷の女たちは 下がる) |
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| [Recitativo] Dopo la Cavatina d'Isabella |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅵ第6場 (Mustafà, Taddeo, Lindoro, poi [Isabella e] Elvira)(ムスタファ、タッデーオ、リンドーロ、それから [イザベッラと] エルヴィーラ) MUSTAFÀムスタファ Io non resisto più: questa Isabella私は もう耐え【られ】ない: この イザベッラは è un incanto: io non posso魅惑だ【≒ あのイザベッラは うっとりさせる女だ】: 私は star più senza di lei...彼女なしでは い 【↑】られない… Andate... conducetela.行きなさい… 彼女を 連れて来なさい。 LINDOROリンドーロ Vò tosto.私は すぐに 行く。 (Così le parlerò.)(そうして 私は 彼女に 話すだろう【≒ そうすれば 私は 彼女と 話ができるだろう】。)) (esce)(出る) MUSTAFÀムスタファ (a Taddeo)(タッデーオに) Vanne tu pure...君も 行きなさい… fa' presto... va'... che fai?急ぎなさい… 行きなさい… 君は 何をしているのか? TADDEOタッデーオ Ma adesso... or io,しかし 今は… 今や 私は、 Che son Kaimakan... vede...カイマカンであるのを… あなたは 見ている… MUSTAFÀムスタファ Cercarla,彼女を 捜し、 chiamarla e qui condurla è tuo dovere.彼女を 呼び出し そして ここに 連れて来ることが 君の職務だ。 TADDEOタッデーオ Isabella... Isabella... (Oh che mestiere!)イザベッラよ… イザベッラよ…(ああ なんという仕事だ!)) LINDOROリンドーロ [rientra][再び入る] Signor, la mia padrona殿様、私の主人の女は a momenti è con voi.すぐに あなたと一緒に なる。 MUSTAFÀムスタファ (Dimmi: scoperto(私に 言いなさい: 君は 発見し hai qualche cosa?)たか 何か【≒ 何か 君が 気が付いたことが あるか】?) LINDOROリンドーロ (In confidenza... acceso(内密に… 火が点いている è il di lei cor: ma ci vuol flemma.)彼女の心は: しかし 冷静さが 必要だ。) MUSTAFÀムスタファ (Ho inteso.)(私は 理解した。) Senti, Kaimakan, quando io starnuto聞きなさい、カイマカンよ、私が くしゃみをする時には levati tosto, e lasciami con lei.すぐさま 遠ざかりなさい、そして 私を 彼女と一緒に 残しなさい。 TADDEOタッデーオ (Ah! Taddeo de' Taddei, a qual cimento...(ああ! タッデーオたちの中の タッデーオよ、なんという試練に… a qual passo sei giunto!...)なんという一歩に【≒ なんという状況に】 おまえは 到達したのだ!… MUSTAFÀムスタファ Ma che fa questa bella?ところで あの美女は 何を しているのか? LINDOROリンドーロ Eccola appunto.ちょうど ほらあそこに彼女が。 [entra Isabella][イザベッラが 入る] |
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| N. 12 Quintetto Elvira Isabella Lindoro Taddeo Mustafà |
Andantino 4/4 C major |
MUSTAFÀムスタファ Ti presento di mia man私は 君に 紹介する 私の手で【≒ 私から 直々に 君に 紹介しよう】 Ser Taddeo Kaimakan.カイマカンのタッデーオ氏を。 Da ciò apprendi quanta stimaそのことから 君は 分かる どれほどの 尊重を di te faccia Mustafà.ムスタファが 君に しているか を【≒ このことから ムスタファが どれほど 君を 大切に思っているか 君は 分かってくれるだろう】。 ISABELLAイザベッラ Kaimakan? a me t'accosta.カイマカン? 私に 近付きなさい。 Il tuo muso è fatto a posta.君の顔は わざわざ 作られている【≒ 君は 【カイマカンに】 打って付けの顔をしている】。 Aggradisco, o mio Signore私は 喜んで受ける、ああ 私の殿様よ questo tratto di bontà.この 親切心の行為を。 TADDEOタッデーオ Pe' tuoi meriti, nipote,君のおかげで、姪よ son salito a tanto onore.私は これほどの名誉に 昇った。 Hai capito? Questo core君は 分かったのか? この心が pensa adesso come sta.考えなさい 今 どのように あるのか【≒ 私が 今 どんな気持ちでいるのか 考えておくれ】。 LINDOROリンドーロ (a Mustafà in disparte)(ムスタファに 傍らで) Osservate quel vestito気付きなさい あの服は parla chiaro a chi l'intende,明白に 語っている そのことが 分かる 人に、 a piacervi adesso attende,あなたに 気に入るために 彼女は 今 待っている、 e lo dice a chi no'l sa.そして そのことを 語っている そのことを 分からない 人に。 |
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| (Andantino) 4/4 C major |
ISABELLAイザベッラ Ah! mio caro.ああ! 私の いとしい男よ。 MUSTAFÀムスタファ Eccì.ハクション。 ISABELLA E LINDOROイザベッラ と リンドーロ Viva.お大事に。 TADDEOタッデーオ (Ci siamo.)(そらきたぞ。) ISABELLAイザベッラ Ah!...ああ!… MUSTAFÀムスタファ Eccì.ハクション。 TADDEOタッデーオ (Crepa, crepa.(くたばれ、くたばれ。 MUSTAFÀムスタファ Eccì, eccì...ハクション、ハクション… TADDEOタッデーオ Fo il sordo.)私は 耳の聞こえない人の ふりをする【≒ 聞こえない ふりをしよう】。) MUSTAFÀムスタファ (Maledetto quel balordo(忌々しい あの馬鹿な男は non intende e ancor qui sta.)聞いていない そして まだ ここに いる。) Eccì...ハクション… TADDEOタッデーオ (Ch'ei starnuti finché scoppia:(彼が 【感情を】爆発させるまで 彼が くしゃみを するように: non mi muovo via di qua.)私は ここから よそへ 動いて行かないぞ。) LINDOROリンドーロ (Di due sciocchi uniti insieme(二人の間抜けが 一緒に 結び付けられて oh! che rider si farà!)ああ! なんと 笑わせるだろうか!) (L'uno spera, l'altro freme.)(一人は 期待ししている、もう一人は 怒りで震えている。) ISABELLAイザベッラ (L'uno spera, l'altro freme,(一人は 期待ししている、もう一人は 怒りで震えている、 di due sciocchi uniti insieme一緒に 結び付けられた 二人の間抜けに oh! che rider si farà!)ああ! なんと 笑わせられるだろう ことか【≒ ああ! 二人の間抜けが 一緒になって なんて 笑わせられることか】!) Ehi!...Caffè...えい!… コーヒーを… |
Viva. イタリアではくしゃみをした人に対して一般的に Salute! 健康を!と声をかけ、これは お大事に と訳される。この viva も同様に理解した。 (Ci siamo.) ci siamo には様々な意味があるが、この場合は 予期していたことが実現した時に言う決まり文句。そらきたぞ。 |
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| Allegro 3/4 C major |
(due Mori portano il caffè)(2人のムーア人が コーヒーを 持って来る) LINDOROリンドーロ Siete servita.あなたは 仕えられている【≒ コーヒーを どうぞ】。 ISABELLAイザベッラ Mia signora, favorite.私の婦人よ、どうぞ来なさい。 (va a levar Elvira)(エルヴィーラを 移動しに 行く) È il marito che v'invita:あなたを 招いているのは 【あなたの】夫だ: non vi fate sì pregar.そのように 自身を 懇願させるでない【≒ そんなに 尻込みするでない】。 MUSTAFÀムスタファ (Cosa viene a far costei?)(この女は【= エルヴィーラは】 何を しに来ているのか?) ISABELLAイザベッラ Colla sposa sia gentile...妻に 優しくあるように… MUSTAFÀムスタファ (Bevo tosco...sputo bile.)(私は 毒を 飲んでいる… 私は 怒りを 吐き出している【≒ 私は 怒っている】。) TADDEOタッデーオ (Non starnuta certo adesso.)(彼は 今は 確実に くしゃみをしない) LINDOROリンドーロ (È ridicola la scena.)(【この】光景は 滑稽た。) MUSTAFÀムスタファ (Io non so più simular.)(私は もう 【平静を】装うことが できない。) ISABELLAイザベッラ Via guardatela...さあ 彼女を 見なさい… MUSTAFÀムスタファ (sottovoce ad Isabella)(イザベッラに 小声で) (Briccona!)(小悪党の女め!) ISABELLAイザベッラ È sì cara!...彼女は あれほどに かわいい!… MUSTAFÀムスタファ (E mi canzona!)(そうやって 彼女は 私を ばかにしている!) ELVIRAエルヴィーラ Un'occhiata...一瞥を… MUSTAFÀムスタファ Mi lasciate.私を 放っておきなさい。 LINDOROリンドーロ Or comanda?...さて 命じているか【≒ ご注文は】?… ISABELLAイザベッラ Compiacenza...親切を【≒ 彼女に 優しくしなさい】… ELVIRAエルヴィーラ Sposo caro...いとしい夫よ… ISABELLAイザベッラ Buon padrone...心優しい 主人よ… TADDEOタッデーオ (Non starnuta, non starnuta.)(彼は くしゃみをしない、彼は くしゃみをしない。) ELVIRAエルヴィーラ Ci dovete consolar.あなたは 私たちを 慰めなくてはならない。 ISABELLA, LINDORO E TADDEOイザベッラ、リンドーロ と タッデーオ La dovete consolar.あなたは 彼女を 慰めなくてはならない。 |
Mia signora, favorite. この favorire 不定詞 で ―してください という丁寧な言い方になり、さらに 来る venire などの移動の動詞の場合はこれを省略して favorire だけで丁寧な移動の言い方になる。 (va a levar Elvira) この levare は togliere と同義で、この場合は (ある場所から)動かす,移す の意味。エルヴィーラは隠れて見ていたので、そこから引っ張り出して来させる という意味。 non vi fate sì pregar. farsi pregare 直訳 自らに懇願させる にはいろいろな意味があるようだが、この場合はおそらく 気乗りしない,尻込みする のような意味で用いられていると思われる。 |
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| Allegro molto 4/4 C major |
MUSTAFÀムスタファ Andate alla malora.破滅に 行きなさい【≒ 地獄に 落ちろ】。 Non sono un babbuino...私は ばかではない… Ho inteso, mia Signora,私は 理解した、私の婦人よ、 la noto a taccuino.私は そのことを 手帳に 書きつけている【≒ 私は そのことに 気が付いている】。 Tu pur mi prendi a gioco,君も 私を 戯れに 連れて行った【≒ 君も 私を からかった】、 me la farò pagar.私は そのことの 報いを受けさせるだろう。 Ho nelle vene un foco,私は 血管の中に 火を 持っている【≒ 私の血は 燃えるように熱い】、 più non mi so frenar.もう 私は 自制することが できない。 |
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| (Allegro molto) 4/4 C major |
ELVIRA E ISABELLAエルヴィーラ と イザベッラ Sento un fremito... un foco, un dispetto...私は 戦慄を 感じている… 火を、苛立ちを… agitata, confusa... fremente...取り乱して、混乱して… ぶるぶる震えて… il mio core... la testa... la mente...私の心は… 頭は… 頭脳は… delirando... perdendo si va.錯乱し… 迷いつつある。 In sì fiero contrasto e periglioこれほど 激しい 不和と 危険の中で chi consiglio, conforto mi dà?誰が 助言を、心の支えを 私に 与えるだろうか? LINDORO, TADDEO E MUSTAFÀリンドーロ、タッデーオ と ムスタファ Sento un fremito... un foco, un dispetto...私は 戦慄を 感じている… 火を、苛立ちを… agitato, confuso... fremente...取り乱して、混乱して… ぶるぶる震えて… il mio core... la testa... la mente...私の心は… 頭は… 頭脳は… delirando... perdendo si va.錯乱し… 迷いつつある。 In sì fiero contrasto e periglioこれほど 激しい 不和と 危険の中で chi consiglio, conforto mi dà?誰が 助言を、心の支えを 私に 与えるだろうか? |
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| [Recitativo] Dopo il Quartetto |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅶ第7場 (Piccola Sala, come alla Scena Prima dell'atto Ⅱ. Haly solo)(小広間、第2幕第1場と同様の。アリ一人) HALYアリ Con tutta la sua boriaすべての 彼の尊大をもって questa volta il Bey perde la testa.今回は 殿様は 頭を 失っている。 Ci ho gusto. Tanta smaniaそのことに 私は 楽しみを 持った。あれほどたくさんの いらだちを avea d'una Italiana... Ci vuol altro彼は イタリア女に 持った… 他のものが 必要だ colle donne allevate in quel paese,あの国で 育てられた 女たちには【≒ イタリアで 育った女たちには もっと別の楽しみ方も 必要だ】、 ma va ben ch'egli impari a proprie spese.しかし よいことだ 彼が 自分自身の出費で 学ぶことは【≒ 彼が 身をもって 思い知ることは】。 |
avea d'una Italiana... Ci vuol altro altro は男性単数形なので、直前の男性単数形 gusto を受けていると理解した。 ma va ben ch'egli impari a proprie spese. imparare a proprie spese 痛い目をして思い知る,身をもって思い知る。 |
| N. 13 Aria Haly Haly |
Allegro giusto 4/4 G major |
HALYアリ Le femmine d'Italiaイタリアの女たちは son disinvolte e scaltre,動じず そして 狡猾だ、 e sanno più dell'altreそして 彼女たちは 他の女たちよりも より多く 知っている l'arte di farsi amar.自らを 愛 させる 術を。 Nella galanteria色ごとにおいて【≒ 恋の駆け引きにおいて】 l'ingegno han raffinato:彼女たちは 才能に 磨きをかける: e suol restar gabbatoそして 騙されるのが 常である chi le vorrà gabbar.彼女たちを 騙す つもりである 者が。 (via)(去る) |
Nella galanteria galanteria は伊和辞典では 女性に対する親切,いんぎん; いんぎんな行為[言葉] とあるが、フランス語の galanterie ではこれらに加えて古めかしい用法として 色事,情事 もあり、ここではそちらの方が近いと思われる。 |
| [Recitativo] Dopo l'Aria di Haly |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅷ第8場 (Taddeo e Lindoro)(タッデーオと リンドーロ) TADDEOタッデーオ E tu speri di togliere Isabellaそれで 君は 期待しているのか イザベッラを 取り戻すことを dalle man del Bey?殿様の手から? LINDOROリンドーロ Questa è la trama,これが 筋立てだ、 ch'ella vi prega e brama,彼女が あなたに 懇願する そして 切望する ところの、 che abbiate a secondar.それを【= 筋立てを】 あなたは 叶えてやら なくてはならない。 TADDEOタッデーオ Non vuoi?... per bacco!君は 望まないのか?… なんとまあ! già saprai chi son io.もはや【= いよいよ】 君は 知るだろう 私が 何者だか。 LINDOROリンドーロ Non siete il signor zio?あなたは 叔父氏では ないのか? TADDEOタッデーオ Ah! ah! ti pare?ああ! ああ! 君には 【そのように】 思われたか? LINDOROリンドーロ Come?...come?...なんと?… なんと?… TADDEOタッデーオ Tu sai quel che più importa君は 知っているのか 最も 重要であることを e ignori il men? D'aver un qualche amanteそして 君は 気づいていないのか より少ないことを【≒ 君は 最も 重要であることを 知っているけれど、あまり重要でないことには 気付いていないのか】? 誰か 恋人を 持っていると non t'ha mai confidato la Signora?婦人は 君に 打ち明けなかったか? LINDOROリンドーロ So che un amante adora:私は 知っている 彼女が 一人の恋人を 熱愛していることを: è per lui solo彼だけに対してだ ch'ella...彼女が… TADDEOタッデーオ Ebben. Sono quell'io.よかろう。私が その男だ。 LINDOROリンドーロ Me ne consolo.私は そのことについて 喜んでいる。 (Ah, ah.)(ハ、ハ!) TADDEOタッデーオ Ti giuro, amico,私は 君に 誓う、友よ、 che in questo brutto intrico altro confortoこの ひどい もつれの中で 他の 心の支えを io non ho che il suo amore. Prima d'adesso私は 持たなかった 彼女の愛の他に【≒ この ごたごたの中で 彼女の愛だけが 私の 心の支えだった】。今より前は non era, te'l confesso,私は、私は 君に そのことを 打ち明ける、 di lei troppo contento. Avea sospetto彼女に あまり 満足 【↑】しなかった。私は 疑ったので che d'un certo Lindoro,リンドーロとかいう人に、 suo primo amante innamorata ancora,彼女の 最初の恋人である まだ 恋している 【↑】と、 volesse la Signora婦人は farsi gioco di me. Ma adesso ho visto私を からかい 【↑】たかったのだ と。しかし 今や 私は 理解した che non v'ha cicisbeo伊達男は いない ことを che la possa staccar dal suo Taddeo.その者は タッデーオから 彼女を 引き離せる。 LINDOROリンドーロ Viva, viva; (ah!... ah!...) ma zitto: appunto万歳、万歳;(ハ!… ハ!…) それはそうと 静かに: ちょうど vien Mustafà. Coraggio,ムスタファが 来る。頑張って、 secondate con arte il mio parlare.術 すべ をもって 私の話を 手助けしなさい【≒ うまいこと 私が話したことを 手助けしなさい。】。 Vi dirò poi quello che avete a fare.私は あなたに 話すだろう それから あなたが すべきことを。 SCENA Ⅸ第9場 (Mustafà e detti)(ムスタファと 前の場の人たち) MUSTAFÀムスタファ Orsù: la tua nipote con chi credeさて: 君の姪は 誰と d'aver che far? Preso m'avria costei悶着を起こしたと 【↑】思っているのか? この女は 私を みなしたというのか per un de' suoi babbei?彼女の間抜けたちの 一人と 【≒ 彼女は 私を 彼女を取り巻く馬鹿どもの一人だとでも 思ったのか】? LINDOROリンドーロ Ma perdonate.しかし 容赦しなさい。 Ella a tutto è disposta.彼女は すべての 用意ができている。 TADDEOタッデーオ E vi lagnate?それでも あなたは 不平を言うのか? MUSTAFÀムスタファ Dici davver[o]!君は 本当に 言っているのだ 【≒ 君の言っていることは 本当なのか】! LINDOROリンドーロ Sentite. In confidenza聞きなさい。内密に ella mi manda a dirvi彼女は 私を 派遣している あなたに 言うために che spasima d'amor.彼女が 愛に 苦しんでいる と。 MUSTAFÀムスタファ D'amor[e]?愛に? TADDEOタッデーオ E quanto!...そして どれだけ 【彼女が 愛に 苦しんでいる と】!… LINDOROリンドーロ Che si crede altrettanto彼女は 思っている 自分は 【愛に苦しんでいる のと】同じだけ corrisposta...【愛に】 報いられた と… MUSTAFÀムスタファ Oh, sì, sì.ああ、そうか、そうか。 [per partire][去ろうとする] LINDOROリンドーロ Ma dove andate?ところで あなたは どこに 行くのか? MUSTAFÀムスタファ Da lei.彼女のところに。 TADDEOタッデーオ No, no: aspettate.いいや、いいや: 待ちなさい。 LINDOROリンドーロ Sentite ancora.また 聞きなさい。 MUSTAFÀムスタファ Ebben?それで? LINDOROリンドーロ M'ha detto infin,最後に 彼女は 私に 言った、 che a rendervi di lei sempre più degno,あなたを 彼女に よりいっそう 相応しく する ために、 ella ha fatto il disegno,彼女は 企画を した、 con gran solennità fra canti e suoni,歌と調べの中の 素晴らしい盛大さをもって e al tremolar dell'amorose faci,そして 恋心を誘う 松明 たいまつ の ゆらめきで、 di volervi crear suo Pappataci.あなたを 彼女の パッパターチに 選びたい という【計画を】。 |
Orsù: la tua nipote con chi crede / d'aver che far? Preso m'avria costei avere che far con ql.cu. 人と悶着を起こす d'aver che far? Preso m'avria costei / per un de' suoi babbei? prendere per - ―とみなす,思う |
| N. 14 Terzetto Lindoro Taddeo Mustafà |
Moderato 4/4 B-flat major |
MUSTAFÀムスタファ Pappataci! che mai sento!パッパターチだって! いったい 私は 何を 聞いたのだ! La ringrazio. Son contento.私は 彼女に 感謝する。私は 嬉しい。 Ma di grazia, Pappataciしかし どうか、パッパターチは che vuol poi significar?要するに 何を 意味しようとするのか? LINDOROリンドーロ A color che mai non sanno決して できない人たちに disgustarsi col bel sesso,美しい性と 仲違いすることが【≒ 女性と 反目することなど 決して できない 男たちに】、 in Italia vien concessoイタリアでは 授けられる questo titol singolar.この 変わった称号が。 TADDEOタッデーオ Voi mi deste un nobil posto.あなたは 私に 高貴な地位を 与えた。 Or ne siete corrisposto.今 そのことについて あなたは 応えられている。 Kaimakan e Pappataciカイマカンと パッパターチ siamo là: che ve ne par?私たちは そこに いる: それについて あなたには どう 思われるか? MUSTAFÀムスタファ L'Italiane son cortesi,イタリア女たちは 愛想が良い、 nate son per farsi amar.彼女たちは 自らを 愛させる ために 生まれた【≒ 彼女たちは 男たちから 愛される ために 生まれた】。 LINDORO E TADDEOリンドーロ と タッデーオ (Se mai torno a' miei paesi,(もし 私が 私の国に 帰ったならば、 anche questa è da contar.)これも 話して聞かせる べきだ。) MUSTAFÀムスタファ Pappataci...パッパターチ… LINDOROリンドーロ È un bell'impiego.それは 素晴らしい職だ。 TADDEOタッデーオ Assai facil da imparar.習うに とても 簡単だ。 MUSTAFÀムスタファ Ma spiegatemi, vi prego:だが 私に 説明しなさい、私は 君たちに 懇願する: Pappataci, che ha da far?パッパターチ、彼は 何を すればよいのか? |
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| Allegro 4/4 B-flat major |
LINDOROリンドーロ Fra gli amori e le bellezze,愛と 美女の 間で、 fra gli scherzi e le carezze,戯れと 愛撫の 間で dee dormir, mangiare e bere,寝なくてはならない、食べなくては そして 飲まなくては、 ber, dormir, e poi mangiar.飲む、寝る、そして それから 食べる。 Pappataci dee mangiar,パッパターチは 食べなくてはならない、 Pappataci dee dormire.パッパターチは 寝なくてはならない。 TADDEOタッデーオ Pappataci dee mangiar,パッパターチは 食べなくてはならない、 Pappataci dee dormire.パッパターチは 寝なくてはならない。 e poi mangiar.そして それから 食べる。 MUSTAFÀムスタファ Bella vita!.. oh che piacere!...素晴らしい人生だ!… ああ なんという 楽しみだ!… Io di più non so bramar.私は さらに 切望することが できない。 Bella vita!.. bel piacere!...素晴らしい人生だ!… 素晴らしい 楽しみだ!… Pappataci dee mangiar,パッパターチは 食べなくてはならない。 Pappataci dee dormire.パッパターチは 寝なくてはならない。 or di più non so bramar.今や 私は さらに 切望することは できない。 (via tutti)(全員 去る) |
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| [Recitativo] Dopo il Terzetto |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅹ第10場 (Haly e Zulma)(アリと ズルマ) HALYアリ E può la tua padronaそれで 君の 主人の女は【= エルヴィーラは】 credere all'italiana?イタリア女を 信じている 【↑】かもしれないのか? ZULMAズルマ E che vuoi fare?それで 君は 何を したいのか? Da tutto quel che pare, ella non cura思われること すべてから、彼女は 配慮していない gli amori del Bey; anzi s'impegna殿様の愛を【≒ 彼女の あらゆる様子からすると、彼女は 殿様の求愛を 気にしていない】:それどころか 彼女は 身を入れている di regolarne le sue pazze voglieそれの【= 殿様の愛の】 彼の狂おしい欲求を 管理することに sì, che torni ad amar la propria moglie.そうだ、彼が 再び 自身の妻を 愛するようになる ために。 Che vuoi di più?...君は さらに 何を 望むのか?… HALYアリ Sarà. Ma a quale oggettoそうなるだろう。しかし どのような目的で donar tante bottiglie di liquori蒸留酒の瓶を 提供するのか agli Eunuchi ed ai Mori?宦官たちに そして ムーア人たちに? ZULMAズルマ Per un giuoco,戯れのためだ anzi per una festa,それどころか 祝宴のためだ、 che dar vuole al Bey.それを 彼女は 殿様に 与えたい。 HALYアリ Ah! Ah! scommettoハ! ハ! 私は 断言する che costei gliela fa.あの女は 彼を 騙す【≒ イザベッラは 殿様に 一杯食わす】 と。 ZULMAズルマ Suo danno. Ho gusto.彼の損害だ【≒ 彼は 痛い思いを するだろう】。私は 楽しみを 持っている【≒ 私には 楽しい】。 Lascia pur che il babbeo faccia a suo modo.どうぞ 間抜けが 彼の流儀で する ように させなさい。 HALYアリ Per me... vedo, non parlo e me la godo.私に関しては… 私は 見る、話さない そして それを 楽しむ。 (via)(去る) SCENA ⅩSCENA Ⅰ第11場 (Appartamento magnifico come alla Scena Ⅴ. Taddeo, Lindoro, indi Isabella, e un coro di schiavi Italiani)(豪華な居室 第5場と同様の。タッデーオ、リンドーロ、それから イザベッラ、そして イタリア人の奴隷たちの合唱) TADDEOタッデーオ Tutti i nostri Italiani私たちのイタリア人たち全員を ottener dal Bey spera Isabella?イザベッラは 殿様から 得ることを 期待しているのか? LINDOROリンドーロ E li ottiene senz'altro.そして もちろん 彼女は 彼らを 得る。 TADDEOタッデーオ Ah! saria bella!ああ! それは 素晴らしいだろうに! ma con qual mezzo termine?しかし どのような手段で 彼女は 【計画を】 完了するのか? LINDOROリンドーロ Per fareすることによって la cerimonia.儀式を。 TADDEOタッデーオ Ih... ih... ih...ヒ… ヒ… ヒ… LINDOROリンドーロ Di loro彼らのうちの altri saran vestitiある人たちが 衣装を着るだろう da Pappataci, ed altriパッパターチとして、そして 別の人たちが qui a suo tempo verran sopra il vascello.然るべき時に ここの 船の上に 来るだろう。 TADDEOタッデーオ Ih... ih... gioco più belloヒ… ヒ… さらに 素晴らしい 戯れは non si può dar. Ma eccola...Per bacco!起こり得ないだろう。それはそうと ほらここに彼女が… なんとまあ! seco ha gli schiavi ancor.彼女と一緒に 彼女は もう 奴隷たちを 獲得している。 LINDOROリンドーロ N'ero sicuro.そのことについて 私は 確信していた【≒ こうなると 思っていた】 。 TADDEOタッデーオ Quanto è brava costei!この女は どれほど 素晴らしいのだ! LINDOROリンドーロ Con due parole二言で agli sciocchi fa far quello che vuole.彼女は 馬鹿者たちに 彼女が 望むことを するように させる。 |
sì, che torni ad amar la propria moglie. カンマのない sì che torni [...] となっている台本もあるが、初演時の印刷台本でもクリティカルエディション総譜でもカンマありである。 che costei gliela fa. farla a ql.cu. 人を騙す,人を ペテンにかける,人を からかう。 |
| N. 15 Coro, Recitativo e Rondò [Isabella] Isabella Coro |
Allegro 4/4 A major |
CORO合唱 Pronti abbiamo e ferri e mani私たちは 剣も 手も 用意してある per fuggir con voi di qua,あなたと共に ここから 急いで立ち去るために、 quanto vaglian gl'Italianiそれらが【剣と手が】 どれほど イタリア人たちを ふるいにかけているか al cimento si vedrà.試練において 見られるだろう【≒ 試練に際して イタリア人たちが 剣と 手において いかに 選りすぐられているか 分かるだろう】。 |
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| Recitativo 4/4 (C major) |
ISABELLAイザベッラ Amici, in ogni evento友たちよ、あらゆる出来事において m'affido a voi. Ma già fra poco io spero,私は 君たちを 信頼している。そして 本当に 間もなく 私は 期待している、 senza rischio e contesa,危険と 争い なしに、 di trarre a fin la meditata impresa.熟慮の末の 企てを 終わりに 引っ張ることを【≒ 私は 考え抜いた計画を 危険も 争いもないままに すぐに 完遂することを 期待している】 。 |
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| Allegro 4/4 (C major) |
Perché ridi, Taddeo? Può darsi ancoraなぜ 君は 笑っているのか、タッデーオよ? おそらく また ch'io mi rida di te.私は 君を 嘲笑する 【↑】だろう。 (a Lindoro)(リンドーロに) Tu impallidisci,君は 青ざめているのか、 schiavo gentil? ah! se pietà ti desta愛らしい 奴隷男よ? ああ! もし 哀れみを 君に 引き起こすならば il mio periglio, il mio tenero amore,私の危険が、私の優しい愛が、 se parlano al tuo coreもし 君の心に 語るならば patria, dovere e onore, dagli altri apprendi祖国が、義務が そして 名誉が、他の人たちから 学び取りなさい a mostrarti Italiano; e alle vicende君に イタリア男を 見せることを【≒ 他の人たちから 自分がイタリア男であることを 示すことを 学びなさい】; そして 変遷に della volubil sorte気の変わりやすい運命の una donna t'insegni ad esser forte.一人の女が 君に 教えるように 強くなることを【≒ 気紛れな運命のおこす 様々な出来事に対して 君が 強くなるよう 一人の女が 教えるだろう】。 |
Può darsi ancora / ch'io mi rida di te. può darsi che 接続法 ―かもしれない,おそらく―だろう。 |
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| Rondò Andante 4/4 E major |
ISABELLAイザベッラ Pensa alla patria, e intrepido祖国のことを 考えなさい、そうすれば 大胆不敵に il tuo dover adempi:君は 君の義務を 果たす。 vedi per tutta Italia見なさい 全イタリア中で rinascere gli esempi模範たちが 再び生まれている d'ardire e di valor.大胆の そして 勇気の 【模範たちが】 |
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| Allegro 4/4 E major |
ISABELLAイザベッラ (a Taddeo)(タッデーオに) Sciocco! tu ridi ancora?馬鹿者め! まだ 笑っているのか? vanne, mi fai dispetto.行ってしまいなさい、君は 私に 苛立ちを している【≒ 君は 私を いらいらさせる】。 (a Lindoro)(リンドーロに) Caro, ti parli in pettoいとしい男よ、君の胸に 語りなさい amore, dovere, onor.愛を、義務を、名誉を。 Amici in ogni evento...友たちよ、あらゆる出来事において… CORO合唱 Andiam. Di noi ti fida.行こう。私たちを 信頼しなさい。 ISABELLAイザベッラ Vicino è già il momento...【その】瞬間は もう 近くだ… CORO合唱 Dove ti par ci guida.君に 思われる 場所に 私たちを 案内しなさい【≒ 君が 思う ところに 私たちを 連れて行きなさい】。 ISABELLAイザベッラ Se poi va male il gioco...もし それから 勝負が うまくいかないならば… CORO合唱 L'ardir trionferà.大胆が 勝利を収めるだろう。 |
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| (Allegro) 4/4 E major |
ISABELLAイザベッラ Qual piacer! Fra pochi istantiなんという 喜びだ! 僅かな瞬間の後に rivedrem le patrie arene.私たちは 祖国の海岸を 見るだろう。 (Nel periglio del mio bene,(私の最愛の人の 危険に coraggiosa amor mi fa.)愛の神は 私を 勇敢にする。) (via)(去る) CORO合唱 Quanto vaglian gl'Italianiそれらが どれほど イタリア人たちを ふるいにかけているか al cimento si vedrà.試練において 見られるだろう【≒ 試練に際して イタリア人たちが 剣と 手において いかに 選りすぐられているか 分かるだろう】。 (via)(去る) |
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| [Recitativo Dopo il Rondò d'Isabella] |
4/4 (C Major) |
SCENA ⅩSCENA Ⅱ第12場 (Taddeo, indi Mustafà)(タッデーオ、その後に ムスタファ) TADDEOタッデーオ Che bel core ha costei! Chi avria mai dettoあの女は なんと 素晴らしい心を 持っているのだ! かつて 誰が 言っただろうか che un sì tenero affettoこれほどに 優しい情愛を portasse al suo Taddeo!.. Far una trama,彼女が 彼女のタッデーオに 持って来る 【↑】と!… 彼女は 陰謀を なして、 corbellar un Bey, arrischiar tutto殿様を からかい、すべてを 危険にさらす per esser mia...私の女に なる ために… MUSTAFÀムスタファ Kaimakan...カイマカンよ… TADDEOタッデーオ Signor?殿様? MUSTAFÀムスタファ Tua nipote dov'è?君の姪は どこにいるのか? TADDEOタッデーオ Sta preparando quello ch'è necessario彼女は 準備をしている per far le cerimonie. Ecco il suo schiavo,儀式を 行う ために。ほらそこに 彼女の奴隷男が、 che qui appunto ritorna, e ha seco il coroその者は ここに ちょうど 戻っている、そして 彼は 彼と共に 持っている de' Pappataci.パッパターチの 【↑】合唱を。 MUSTAFÀムスタファ E d'onorarmi adunqueそれで そういうわけで 私に 名誉を与えるのを la bella ha tanta fretta?美女は 大いに 急いで したいのか? TADDEOタッデーオ È l'amor che la sprona.愛だ 彼女に 拍車をかけているのは。 MUSTAFÀムスタファ Oh! benedetta.ああ! 尊い女だ! |
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| N. 16 Finale Secondo Elvira Zulma Isabella Lindoro Taddeo Mustafà Haly Coro |
Allegro 3/4 F major |
SCENA ⅩSCENA Ⅲ第13場 (Lindoro con un coro di Pappataci, e detti)(リンドーロ パッパターチの合唱と共に、そして 前の場の人たち) LINDOROリンドーロ Dei Pappataci s'avanza il coro:パッパターチの合唱が 近づいている: la cerimonia con gran decoro大きな威厳をもった 儀式を adesso è tempo di cominciar.今は 始める時だ。 CORO合唱 I corni suonino, che favoriti角笛が 鳴るように、それは 【↓】より 気に入りで son più dei timpani nei nostri riti,ある【≒ より好ましい】 太鼓よりも 私たちの儀式においては。 e intorno facciano l'aria echeggiar.そして 辺りに 歌を 鳴り響か せるように。 TADDEOタッデーオ Le guance tumide, le pancie piene【彼らの】 はれあがった頬【≒ 膨らんだ頬】が、【彼らの】 はちきれそうな腹が fanno conoscere che vivon bene.知ら させる 彼らが 良く 生きていることを。 LINDORO E TADDEOリンドーロ と タッデーオ (Ih... ih... dal ridere sto per schiattar.)(ヒ… ヒ… 笑うことによって 私は まさに 爆発しようと している。) MUSTAFÀムスタファ Fratei carissimi, tra voi son lieto.親愛なる兄弟よ、君たちの間で 私は 嬉しい。 Se d'entrar merito nel vostro cetoもし 私が 君たちの階級に 加わることに 値する ならば sarà una grazia particolar.それは 並々ならぬ厚情だ。 CORO合唱 Cerca i suoi comodi chi ha sale in zucca.頭が切れる者は 彼の快適さを 追求しなさい Getta il turbante, metti parrucca,ターバンを ン投げ【捨て】なさい、かつらを つけなさい、 leva quest'abito che fa sudar.この服を 取り除きなさい それは 汗をかか せる。 (levano il turbante e l'abito a Mustafà e gli mettono in testa una parrucca e l'abito di Pappataci)(彼らは ターバンと 服を ムスタファから 取り除く そして 彼らは 彼の頭に かつらを そして パッパターチの服を 着させる) MUSTAFÀムスタファ Questa è una grazia particolar.これは 並々ならぬ厚情だ。 LINDORO E TADDEOリンドーロ と タッデーオ (Ih... ih... dal ridere sto per schiattar.)(ヒ… ヒ… 笑うことによって 私は まさに 爆発しようと している。) |
Cerca i suoi comodi chi ha sale in zucca. avere sale in zucca 直訳 かぼちゃに塩を持っている ≒ 頭が切れる |
| Moderato maestoso 4/4 B-flat major |
SCENA ⅩⅣ第14場 (Isabella, e detti)(イザベッラ、そして 前の場の人たち) ISABELLAイザベッラ Non sei tu che il grado eletto君では ないのか 【↓】パッパターチの 選り抜きの地位を brami aver di Pappataci?獲得することを 切望している 【↑】者は? Delle belle il prediletto美女たちの お気に入りの男に questo grado ti farà.この地位は 君を するだろう。 Ma bisogna che tu giuriだが 必要である 君が 宣誓する ことが d'eseguirne ogni dovere.そのことについての あらゆる義務を 遂行すると。 MUSTAFÀムスタファ Io farò con gran piacere私は するだろう 大きな 喜びをもって tutto quel che si vorrà.すべての 要求されることを。 CORO合唱 Bravo, ben: così si fa.素晴らしい、いいぞ: そのように しなさい。 LINDOROリンドーロ Siate tutti attenti e cheti皆 注意深く そして 静かに なるように a sì gran solennità.これほどに 大きな 儀式では【≒ このように 重要な 儀式では】。 (a Taddeo, dandogli un foglio da leggere)(タッデーオに、彼に 読む書類を 与えて) A te: leggi.君に: 読みなさい。 (a Mustafà)(ムスタファに) E tu ripetiそれから 君は 繰り返しなさい tutto quel ch'ei ti dirà.彼が 君に 言うであろうこと すべてを。 (Taddeo legge e Mustafà ripete tutto verso per verso)(タッデーオは 読む そして ムスタファは 行ごとに すべての行を 読む) TADDEO E MUSTAFÀタッデーオ と ムスタファ Di veder e non veder,見ることを そして 見ないことを、 di sentir e non sentir,聞くことを そして 聞かないことを、 per mangiare e per goder食べるために そして 楽しむために di lasciare e fare e dirすることも 言うことも やめることを io qui giuro e poi scongiuro私は ここに 宣誓する そして それから 懇願する Pappataci Mustafà.パッパターチ ムスタファ。 CORO合唱 Bravo, ben: così si fa.素晴らしい、いいぞ: そのように しなさい。 TADDEO E MUSTAFÀタッデーオ と ムスタファ (leggendo come sopra)(上と同様に 読んで) Giuro inoltre all'occasion私は さらに 宣誓する 状況においては di portar torcia e lampion.たいまつと 灯りを 持って来ることを【≒ 逢引きがある時には 協力することを】。 E se manco al giuramentoそして もし 私が 誓いを 怠るならば più non abbia un pel sul mento.もはや 1本の毛が 顎の上に 持たないように【≒ 私の顎髭が 1本も 残らないように】。 Io qui giuro e poi scongiuro私は ここに 宣誓する そして それから 懇願する Pappataci Mustafà.パッパターチ ムスタファ。 CORO合唱 Bravo, ben: così si fa.素晴らしい、いいぞ: そのように しなさい。 LINDOROリンドーロ Qua la mensa.ここに 食卓を。 (si porta un tavolino con vivande e bottiglie)(小テーブルが 持って来られる 食べ物と 瓶 のある) ISABELLAイザベッラ Ad essa siedanoそれ【= 食卓 mensa 女性名詞単数】のところに 座るように Kaimakan e Pappataci.カイマカンと パッパターチは。 CORO合唱 Lascia pur che gli altri facciano:どうか 放っておきなさい 他の人たちが することを: tu qui mangia, bevi e taci.君は ここで 食べて、飲んで そして 黙っている。 Questo è il rito primo e massimoこれが 基本の そして 最大の 慣習だ della nostra società.私たちの 結社の。 [il coro parte][合唱は 去る] TADDEO E MUSTAFÀタッデーオ と ムスタファ Buona cosa è questa qua.ここでは これが 正しいことだ。 ISABELLAイザベッラ Or si provi il candidato.今 志願者を 試験しよう。 Caro...いとしい男よ… LINDOROリンドーロ Cara...いとしい女よ… MUSTAFÀムスタファ Ehi!... che cos'è?えい!… それは 何だ? TADDEOタッデーオ Tu non fai quel ch'ai giurato!君は 君が 宣誓したことを していない! Or t'insegno. Bada a me.今こそ 私は 君に 教える。私に 注目しなさい。 ISABELLAイザベッラ Vieni, o caro.来なさい、ああ いとしい男よ。 TADDEOタッデーオ Pappataci.パッパターチ。 (mangia di gusto senza osservar gli altri)(喜んで 食べる 他の人たちを じっと見ること なしに) LINDOROリンドーロ Io t'adoro.私は 君を 熱愛している。 TADDEOタッデーオ Mangia e taci.食べなさい そして 黙りなさい。 MUSTAFÀムスタファ Basta, basta. Ora ho capito.もういい、もういい。今や 私は 理解した。 saper far meglio di te,君より さらにうまく することができる。 aver capito,理解した、 saper far meglio di te.君より さらにうまく することができる。 LINDORO E TADDEOリンドーロ と タッデーオ (Che babbeo, che scimunito!(なんという 間抜けだ、なんという ばかだ! me la godo per mia fé.)私は 大いに楽しんでいる 私の名誉にかけて。) ISABELLAイザベッラ Così un vero Pappataciこのようにして 真のパッパターチに tu sarai da capo a piè.君は なるだろう 頭から 足まで。 |
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| Allegro 6/8 D major |
SCENA ⅩSCENA Ⅴ第15場 (Comparisce un vascello, che s'accosta alla loggia con marinari, e schiavi Europei, che cantano il coro)(船が 現れる、それは 近付く 開廊に 船乗りたち、そして ヨーロッパ人の奴隷たちのいる、その者たちは 合唱を 歌う) CORO合唱 Son l'aure seconde, son placide l'onde, tranquille son l'onde.微風は 順調だ、波は 穏やかだ、波は 静かだ。 Su presto salpiamo: non stiamo più a tardar.さあ 急いで 出帆しよう: さらに 遅くなるでない。 LINDOROリンドーロ Andiam, mio tesoro.行こう、私の宝よ。 ISABELLAイザベッラ Son teco, Lindoro.私は 君と 一緒だ、リンドーロよ。 ISABELLA E LINDOROイザベッラ と リンドーロ C'invitano adesso la patria e l'amor.今 祖国と 愛が 私たちを 招いている。 TADDEOタッデーオ Lindoro!.. che sento? quest'è un tradimento...リンドーロだって!… 私は 何を 聞いているのか?これは 裏切りだ… Gabbati, burlati, noi siamo, o Signor.欺かれた、騙された、私たちは、ああ 殿様。 MUSTAFÀムスタファ Io son Pappataci.私は パッパターチだ。 TADDEOタッデーオ Ma quei...しかし あの者たちは… MUSTAFÀムスタファ Mangia e taci.食べなさい そして 黙りなさい。 TADDEOタッデーオ Ma voi...しかし あなたは… MUSTAFÀムスタファ Lascia fare.させておきなさい。 TADDEOタッデーオ Ma io...しかし 私は… MUSTAFÀムスタファ Lascia dir.言わせておきなさい TADDEOタッデーオ Ohimè! che ho da fare? restare o partir?ああ! 私は 何を すべきなのか? 留まる あるいは 離れる? V'è il palo, se resto: se parto, il lampione.棒くいが ある、もし 私が 留まるならば: もし 私が 離れるならば、灯りだ【≒ イザベッラとリンドーロの恋に 協力しなくてはならない】。 Lindoro, Isabella: son qua colle buone,リンドーロ、イザベッラ: 私は ここに 礼儀正しい態度で いる【≒ 私は 【まだ】 ここに おとなしく 【留まって】いる】。 a tutto m'adatto, non so più che dir.私は すべてを 受け入れる、私は 知らない さらに 言うことを【≒ 私は 他に 何を言えばよいのか 分からない】。 ISABELLA E LINDOROイザベッラ と リンドーロ Fa' presto, se brami con noi di venir.急ぎなさい、もし 君が 私たちと一緒に 来ることを 切望しているならば。 |
Lindoro, Isabella: son qua colle buone, colle buone は おそらく後に来る maniere 仕方,やり方,態度 など が省略されているのだろう。buone maniere で 礼儀正しい態度 のような意味で用いられる。ここでは、イザベッラとリンドーロがムスタファを騙して逃亡を企てているに対して、自分はまだ 礼儀正しい態度で ≒ おとなしく ここに 残っている という意味で用いられていると思われる。 a tutto m'adatto, non so più che dir. a tutto m'adatto |
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| Allegro 4/4 D major |
SCENA ULTIMA最終場 (Elvira, Zulma, Haly, Mustafà, e coro d'Eunuchi)(エルヴィーラ、ズルマ、アリ、ムスタファ、そして 宦官たちの合唱) ZULMA E HALYズルマ と アリ Mio Signore.私の 殿様よ。 ELVIRA Mio marito.私の 夫よ。 ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ Cosa fate?あなたは 何を しているのか? MUSTAFÀムスタファ Pappataci.パッパターチ。 ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ Non vedete?あなたは 見えないのか? MUSTAFÀムスタファ Mangia e taci.食べなさい そして 黙りなさい。 Di veder e non veder,見ることを そして 見ないことを、 di sentir e non sentir,聞くことを そして 聞かないことを、 io qui giuro e poi scongiuro私は ここに 宣誓する そして それから 懇願する Pappataci Mustafà.パッパターチ ムスタファ。 ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ Egli è matto.彼は 気が狂った。 ISABELLA, LINDORO E TADDEO Il colpo è fatto.打撃は なされた。 ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ L'Italiana se ne va.イタリア女は 行ってしまった。 MUSTAFÀムスタファ Come... come... ah! traditori.なんだって… なんだって…… ああ! 裏切者たちめ! Presto Turchi... Eunuchi... Mori.急いで トルコ人たちよ… 宦官たちよ… ムーア人たちよ。 ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ Son briachi tutti quanti.彼らは 皆 酔っぱらった。 MUSTAFÀムスタファ Questo scorno a Mustafà?この恥辱を ムスタファに? CORO合唱 Chi avrà cor di farsi avanti前に出る 勇気がある 者は trucidato qui cadrà.惨殺されて ここに 倒れるだろう。 MUSTAFÀムスタファ Sposa mia; non più Italiane.私の妻よ: イタリア女たちは もういい。 Torno a te. Deh! mi perdona...私は 君の元に 変える。ああ! 私を 容赦しなさい… ELVIRA, ZULMA E HALYエルヴィーラ、ズルマ と アリ Amorosa, docil, buona情愛深く、優しく 善良だ vostra moglie ognor sarà.ろう あなたの妻は いつまでも。 |
Chi avrà cor di farsi avanti これはイタリア男たちの合唱。 |
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| Allegro 6/8 D major |
ISABELLA, LINDORO, TADDEO E COROイザベッラ、リンドーロ、タッデーオ と 合唱 Andiamo Padroni,行こう 主 あるじ たちよ、 possiamo contenti lasciar queste arene.私たちは 満足して この海岸を 離れることが できる。 Timor, né periglio per noi più non v'ha.不安は、私たちへの 危険も もう ない。 La bella Italiana venuta in Algeriアルジェに 来た 美しいイタリア女が insegna agli amanti gelosi ed alteri,嫉妬深く 尊大な 恋人たちに 教える、 che a tutti la Donna, se vuole, la fa.女は、もし 彼女が 望めば、皆を 騙す【≒ 女は、その気になれば、男たち全員に 一杯食わせることができる】 と。 ELVIRA, ZULMA, HALY E MUSTAFÀエルヴィーラ、ズルマ、アリ と ムスタファ Buon viaggio, stian bene,良い旅を、元気でいるように、 potete contenti lasciar queste arene.君たちは 満足して この海岸を 離れることが できる。 Timor, né periglio per voi più non v'ha.不安は、君たちへの 危険も もう ない。 La bella Italiana venuta in Algeriアルジェに 来た 美しいイタリア女が insegna agli amanti gelosi ed alteri,嫉妬深く 尊大な 恋人たちに 教える、 che a tutti, se vuole, la Donna la fa.女は、もし 彼女が 望めば、皆を 騙す【≒ 女は、その気になれば、男たち全員に 一杯食わせることができる】 と。 |
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| APPENDICI | |||
| APPENDICE Ⅰ Due Cavatini d'Isabella nella versione originale |
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| N. 4a Cavatina Isabella nella versione originale | N. 4a Cavatina Isabella Isabella Coro |
Andante 4/4 F major |
ISABELLAイザベッラ Cruda sorte! Amor tiranno!酷い運命よ! 暴虐な愛の神よ! Questo è il premio di mia fé:これが 私の誠実の 褒美なのだ: non v'è orror, terror, né affanno恐れはない、恐怖は、苦悩もない pari a quel ch'io provo in me.私が 私の中に 感じているものに 匹敵する【≒ 私が 自分に感じている 恐怖や苦悩に 匹敵する 恐怖や苦悩は ない】。 Per te solo, o mio Lindoro,ただ 君のためだけに、ああ 私のリンドーロよ、 io mi trovo in tal periglio.私は このような危険に 晒されている。 Da chi spero, oh Dio! consiglio?私は 誰から 期待するのか、ああ 神よ! 助言を? chi confort mi darà?誰が 私に 慰めを 与えるのだろうか? |
第1番 第4番 イザベッラのカヴァティーナの初稿。歌詞はほとんど変わりない。 |
| Allegro 4/4 F major |
CORO合唱 È un boccon per Mustafà.彼女は ムスタファのための 美女だ。 ISABELLAイザベッラ Ma ci vuol disinvoltura.しかし 動じないことが 必要だ、 non più smanie, né paura:もう 不安ではなく、心配でもなく: di coraggio è tempo adesso,今は 勇気の時だ、 or chi sono si vedrà.今こそ 私が 誰であるか 見られるだろう。 |
イザベッラの Ma ci vuol disinvoltura. の Ma が一般的な稿では Qua に変わっている。 |
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| Allegro 4/4 F major |
Già so per pratica私は 既に 分かっている 経験から qual sia l'effettoどのようなものであるか d'un sguardo languido,切なげな眼差しの 【↑】効力が、 d'un sospiretto...溜め息の【効力が】… so a domar gli uomini come si fa.私は 分かっている 男たちを 従順にさせるために どうすればよいか を。 Sian dolci o ruvidi,彼らが 優しくても あるいは 荒っぽくても、 sian flemma o foco,彼らが 冷淡でも あるいは 火でも【≒ 彼らが 冷静であっても 情熱的であっても】、 son tutti simili a' presso a poco...彼らは 皆 だいたい 同様だ… Tutti la chiedono, tutti la bramano皆が それを【= 次行の 幸せ 女性名詞単数】 求めている、皆が 彼女を 熱望している da vaga femmina felicità.優美な女性から 幸せを。 |
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| N. 11a Cavatina [Isabella] nella versione originale |
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| N. 11a Cavatina [Isabella] Isabella Coro |
Andante grazioso 2/4 F major |
ISABELLAイザベッラ Per lui che adoro,彼のために その者を 私は 熱愛している、 ch'è il mio tesoro,その者は 私の宝である、 più bella rendimi,私を より 美しく しなさい、 madre d'amor.愛の母よ。 Tu sai se l'amo,君は 知っている 私が 彼を 愛しているのかどうかを、 piacergli io bramo:私が 彼に 気に入られることを 切望している 【かどうかを】: Grazie, prestatemi魅力を、【愛の母よ、】私に 提供しなさい vezzi e splendor.愛らしさを そして 華麗を。 |
第2幕 第11番 イザベッラのカヴァティーナの初稿。歌詞はまったく変わりない |
| Allegro 2/4 F major |
(Guarda, guarda, aspetta, aspetta...(見なさい、見なさい、待ちなさい、待ちなさい… tu non sai chi sono ancor.)君は まだ 知らない 私が 誰であるか。) MUSTAFÀムスタファ (Cara!...(いとしい女よ!… LINDORO E TADDEO (Furba!...(抜け目のない女だ!… MUSTAFÀムスタファ Bella!美女よ! LINDORO E TADDEOリンドーロ と タッデーオ (Ingrata! maledetta:(恩知らずの女め! 忌々しい: MUSTAFÀムスタファ Una donna女を LINDORO, TADDEO E MUSTAFÀリンドーロ、タッデーオ と ムスタファ come lei non vidi ancor.)彼女のような 私は いまだ 見なかった。) ISABELLAイザベッラ Questo velo è troppo basso...このヴェールは 低過ぎる… quelle piume un po' girate...その羽根を すこし 回しなさい… no, così... voi m'inquietate...いいや、このように… あなたは 私を そわそわさせている… meglio sola saprò far.私は 一人で より良く することが できるだろう。 Bella quanto io bramerei私が 切望したい だけの 美女であると temo a lui di non sembrar.彼に 思われないのではないかと 私は 心配している。 |
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| Primo Tempo 2/4 F major |
Per lui che adoro,彼のために、その者を 私は 熱愛している、 ch'è il mio tesoro,その者は 私の宝である、 più bella rendimi,私を より 美しく しなさい madre d'amor.愛の母よ。 |
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| Più mosso 2/4 F major |
(Turco caro, già ci sei,(いとしい トルコ男よ、既に 君は そこに いる、 un colpetto e dei cascar.)小さな一撃を すると 君は 倒れるに違いない。) LINDORO, TADDEO E MUSTAFÀリンドーロ、タッデーオ と ムスタファ (Oh che donna è mai costei!...(ああ この女は いったい なんという女なのだ!… faria ogn'uomo delirar.彼女は あらゆる男を 錯乱させるだろうに。 Oh che donna è mai costei...ああ この女は いったい なんという女なのだ!… faria ogn'uomo innamorar.)あらゆる男を 夢中にさせるだろうに。) (Isabella parte, le schiave si ritirano)(イザベッラは 去る、奴隷の女たちは 下がる) |
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| APPENDICE Ⅱ Vicenza 1813 | |||
| N. 4b [Recitativo e Cavatina Isabella] | N. 4b [Recitativo e Cavatina Isabella] Isabella Coro |
Recitativo 4/4 (C major) |
ISABELLAイザベッラ Cessò alfin la tempesta,ついに 嵐は やんだ、 ed'or ove son' io? Qual terra è questa?そして 今 私は どこにいるのか? これは どのような 地なのか? E di me che sarà? Quanti perigli,そして 私は どうなるのだろうか? なんと多くの危険に、 quante amare vicende, quanti guaiなんと多くの つらい出来事に、なんと多くの災難に poverina incontrai!哀れな女よ 私は 遭遇したのだ! Ma pur sì dolceしかし それにもかかわらず これほどに 甘美だ è il soffrir per amor. Bella speranza愛のための苦しみは。素晴らしい希望が lusinga ognor, e porge a noi costanza.常に 大いに喜ばせる、そして 与える 私たちに 意志の強固を。 |
| Maestoso 4/4 E major |
Cimentando i venti e l'onde風と 波を 挑発して【≒ 風と 波に 立ち向かって】 fra spaventi e ignote sponde恐怖と 未知の岸の 中で【≒ 恐怖に包まれ 見たこともない海岸の間を】 vò cercando il mio Lindoro,私は 私のリンドーロを 探しに 行く、 la delizla del mio cor.私の心の 喜びを与えるもの【である リンドーロを】。 Tu che sai quant'io l'adoro,おまえは その者は 私が どれほど 彼を 愛していか 知っている、 al mio sen lo rendi amor.私の胸に 彼を 返しなさい 愛の神よ。 |
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| Allegretto 3/8 G major |
Lo troverò,私は 彼を 見付けよう、 mel dice il cor.そのことを 私の心は 言っている。 Ritornerò felice ancor.私は また 幸せに 戻るだろう。 A questo sen lo stringerò.私は この胸に 彼を 抱きしめよう。 Mio caro ben私の いとしい 最愛の人 と lo chiamerò.私は 彼を 呼ぼう。 Gli chiederò, mi guarderà,私は 彼を 求めよう、彼は 私を 見るだろう、 che ognor mi amò mi giurerà.その者は ずっと 私を 愛した 私に 誓うだろう。 Sospirerò, sospirerà,私は 溜息をつくだろう、彼は 溜息をつくだろう、 ebbro d'amor, di gioia allor...その時は 愛に、喜びに陶酔して… |
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| Allegro 4/4 E major |
Soave immagine甘美な像よ del mio contento,私の満足の、 accesa l anima【↓】私の 火の点いた 魂を rapirmi sento.恍惚とさせるのを 私は 感じている。 |
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| (Allegro) 4/4 E major |
A quel sì teneroこの これほどに 優しい dolce momento甘い瞬間 【↑】に d'amor, di giubilo愛の、歓喜の【瞬間に】 io morirò.私は 死ぬだろう。 Lo troverò,私は 彼を 見付けよう、 mel dice il cor.そのことを 私の心は 言っている。 A questo sen lo stringerò.私は この胸に 彼を 抱きしめよう。 Sospirerò, sospirerà,私は 溜息をつくだろう、彼は 溜息をつくだろう、 |
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| APPENDICE Ⅲ Milano 1814 |
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| [Seguito del Recitativo Dopo l'Introduzione dell'Atto Secondo] e N. 9a Cavatina Lindoro |
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| [Seguito del Recitativo Dopo l'Introduzione dell'Atto Secondo] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅲ:第3場 (Isabella e Lindoro)(イザベッラと リンドーロ) ISABELLAイザベッラ Misera!... che farò?... Tenera amante哀れな女!… 私は 何を しよう?… 優しい恋人である sol per Lindoro obblio私は ただ リンドーロのためだけに 忘れている me stessa, e l'onor mio; lascio la patria,私自身を、そして 私の名誉を; 私は 祖国を 後にしている、 sprezzo l'ire del mar, e finalmente私は 海の怒りを ものともしない、そして ついに su questo infausto lidoこの 不幸をもたらす国で lo trovo, oh Dio! ma lo ritrovo infido.私は 彼を 見付けている、ああ 神よ! しかし 私は 彼が 不実であると 認めている。 Misera ! che farò?...哀れな女よ! 私は 何を しよう?… LINDOROリンドーロ Eccola alfine.ついに そこに 彼女が。 Adorata Isabella... e ancor mi fuggi?...熱愛する イザベッラよ… それで 君は また 私を 避けるのか?… Ah! no: senti: t'arresta: anima mia...ああ! いいや: 聞きなさい: 止まりなさい: 私の魂の人よ… ISABELLAイザベッラ Qual tracotanza è questa?これは なんという 尊大なのか? Tu non sei che mio schiavo. In me rispetta君は 私の奴隷の 他ではない【≒ 君は 私の奴隷でしかない】。私に 尊重しなさい il poter del Bey.殿さまの力を。 LINDOROリンドーロ Che ascolto! e vuoi?...私は 何を 聞いているのだ! そして 君は 望んでいるのか?… ISABELLAイザベッラ Punir gli oltraggi tuoi;君の 侮辱を 罰することを 【望んでいる】; Vendicar l'amor mio. LINDOROリンドーロ Ma parla almeno:しかし せめて 話しなさい: In che mancai?私は 何に 過失を犯したのか? ISABELLAイザベッラ Non eri tu promesso君は 約束された sposo ad Elvira?... il puoi negar?...花婿 【↑】ではなかったのか エルヴィーラの?… 君は それを 否定できるか?… LINDOROリンドーロ T'inganni.君は 誤解している。 Di condurla in Italia彼女を イタリアに 連れて行くとを io sol promesso avea.私は ただ 約束した だけだ。 ISABELLAイザベッラ Che sento!私は 何を 聞いているのだ! LINDOROリンドーロ Ah! meglioああ! より良く giudica di Lindoro. Omai dovrestiリンドーロについて 評価を下しなさい。今こそ 君は conoscer abbastanza十分に 知る 【↑】べきだ l'amor mio, la mia fé, la mia costanza.私の愛を、私の誠意を、私の 意志の強固を。 ISABELLAイザベッラ Non più: basta così. Dimmi. È partitoさらに でない【≒ そこまでに】: もうよい。私に 言いなさい。出発したのか quel vascel che in Italiaその船は それは イタリアに dovea condurti?君を 連れて行く はずだった? LINDOROリンドーロ Ancor m'aspetta.まだ 私を 待っている。 ISABELLAイザベッラ Hai core?君は 勇気を 持っているか? LINDOROリンドーロ Che deggio far?私は 何を しなくてはならないのか? ISABELLAイザベッラ Se m'ami,もし 君が 私を 愛している ならば、 se l'onor mio ti premeもし 私の名誉が 君に 重要ならば questa notte dobbiam fuggire insieme.今夜 私たちは 一緒に 逃げなくてはならない。 LINDOROリンドーロ Ma come?けれど どうやって? ISABELLAイザベッラ Ardir ci vuol. Qualche raggiro思いきってすることが 必要だ。なにか策略を qui bisogna studiar... Senti... t'aspetto...ここで 絡み合わせる 必要がある【≒ なにか 陰謀を 巡らす 必要がある】… 聞きなさい… 期待しなさい… tosto... là... in quel boschetto.すぐさま… そこで… あの林の中で。 Addio... non dubitar. Sai che una donnaさようなら… 疑うでない。君は 知っている non v'è al mondo di me più franca e ardita.私よりも さらに 自信に満ちた そして大胆な 【↑】女は 世界中に いない 【↑】と。 [parte][去る] LINDOROリンドーロ Cara Isabella, ah tu mi torni in vita.いとしい イザベッラよ、ああ ああ! 君は 私を 命に 戻した【≒ 君は 私を 生き返らせた ≒ 君のおかげで 私は 生気を 取り戻した】。 |
In che mancai? この mancare は 失敗する,過失を犯す。 |
| N. 9a Cavatina Lindoro Lindoro |
Andante 4/4 B-flat major |
LINDOROリンドーロ Concedi, amor pietoso,授けなさい、慈悲深い 愛の神よ、 a' miei sospir la calma,私の溜息に 平静を、 consola omai quest'alma今こそ この魂を 慰めなさい ch'è degna di pietà.それは 哀れみに 値する。 |
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| Allegro giusto 4/4 B-flat major |
Voce che tenera mi parli al core声よ それは 優しく 私の心に 語っている tu sei l'amabile voce d'amoreおまえは 愛の神の 優しい声だ che tanti palpiti cessar farà.それは たくさんの心拍を 止めさせるだろう。 Al mio sen la stringerò.私は 私の胸に 彼女を 抱きしめよう。 Al bel sen mi stringerà.【彼女の】 美しい胸に 彼女は 私を 抱きしめるだろう。 Ah! comprendere non soああ! 私は 理解することが できない tanta mia felicità.それほどたくさんの 私の幸せを【≒ 【その時の】 私の幸せが どれほど大きいか 私には 思いもできない】。 |
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| APPENDICE Ⅳ Napoli 1815 |
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| N. 15a [Recitativo e Aria Isabella] |
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| N. 15a [Recitativo e Aria Isabella] Isabella Coro |
Recitativo 4/4 (C major) |
Perché ridi Pompeo? Può darsi ancoraなぜ 君は 笑っているのか、ポンペーオよ? おそらく また ch'io mi rida di te. No, non temete,私は 君を 嘲笑する 【↑】だろう。いいや、恐れるでない、 secondatemi amici,私の 手助けをしなさい 友たちよ、 ed il bricconeそして 小悪党を qui lasceremo all'inatteso casoここで 置いておこう 予期しない事態に con tre palmi di orecchie e sei di naso.両耳に 3つの掌で そして 鼻に 6つ【の掌で】【≒ ここで ムスタファを 予期せぬ事態で 仰天させよう】。 Tra breve al patrio lido間もなく 祖国の海岸に salvi vi guiderò: sicuro è il colpo,私は 無事に 君たちを 案内しよう: 打撃は 確実だ、 ben tessuta è la trama. Oh qual piacere陰謀は よく 織られた【≒ 企ては 十分に 仕組まれた】。ああ なんという喜び sarà l'esporre agli esultanti amiciだろう 展示することは 狂気した 友たちに la nostra furberia, l'altrui sciocchezza,私たちの術策を、他の人の 愚行を、 il preriglio, l'inganno e la salvezza.危険を、欺瞞を そして 救出を。 |
qui lasceremo all'inatteso caso / con tre palmi di orecchie e sei di naso. lasciare ql.cu. con un palmo di naso 人をがっかりさせる,人を仰天させる。palmo は palma と同義 掌。おそらく手を開いて親指を鼻に付けて人を馬鹿にする仕草に由来していると思われる。ここでの lasceremo [...] con tre palmi di orecchie e sei di naso. はそれを誇張した言い方だろう。ちなみに rimanere もしくは restare ... だと がっかりする,驚く の意味。 |
| Aria [Isabella] Andante 4/4 F major |
ISABELLAイザベッラ Sullo stil de' viaggiatori旅人たちの nelle piene compagnie fra ben mille bizzarrie mi schierem delizie, orrori; e fra un sacco di bugie qualche mezza verità. |
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| (Andante) 4/4 F major |
(a Pompeo che si mostra timoroso) Non temer, messer Pompeo; (a Lindoro ch'è mesto) vago schiavo è vano il duolo. Noi fra poco al patrio suolo narrerem, ma sol per gioco, la passata avversità. LINDOROリンドーロ Io dirò che al bell'inganno teco anch'io sudai sovente. POMPEOポンペーオ Io, che un palo impertinente sempre appresso mi strisciò!<0/span> |
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| Allegro 4/4 F major |
CORO合唱 Noi diremo a pieno coro che un visetto italiano un mustaccio Musulmano dolcemente corbellò. POMPEOポンペーオ I fogli pubbici ne parleranno. LINDOROリンドーロ In ogni circolo si narrerà LINDORO E POMPEOリンドーロ と ポンペーオ E a voce unanime esclameranno: LINDORO, POMPEO E CORリンドーロ、ポンペーオ と 合唱 Viva l'inganno della beltà |
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| Moderato 4/4 F major |
ISABELLAイザベッラ Bellezze misere, che qui gemete, da me apprendete come si fa. |
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| [a tempo] 4/4 F major |
LINDORO, POMPEO E CORリンドーロ、ポンペーオ と 合唱 Viva l'inganno della beltà ISABELLAイザベッラ Sullo stil de' viaggiatori nelle piene compagnie fra ben mille bizzarrie mi schierem delizie, orrori; e fra un sacco di bugie qualche mezza verità. |
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| Moderato 4/4 F major |
ISABELLAイザベッラ Bellezze misere, che qui gemete, da me apprendete come si fa. LINDORO, POMPEO E CORリンドーロ、ポンペーオ と 合唱 Viva l'inganno della beltà |
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参考資料
GIOACHINO ROSSINI L'ITALIANA IN ALGERI a cura di Azio Corghi / FONDAZIONE ROSSINI PESARO / 1973, 1981, 2006
/ Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy /
GIOACHINO ROSSINI LETTERE E DOCUMENTI VOLUME Ⅰ / FONDAZIONE ROSSINI PESARO / 1992
GIOACHINO ROSSINI LETTERE E DOCUMENTI VOLUME Ⅲa / FONDAZIONE ROSSINI PESARO / 2004
Dizionario Rossiniano / Eduardo Rescigno / Biblioteca Universale Rizzoli / 2002 / ISBN 88-17-12894-5 / 9788817128940
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Mustafàbasso Elvirasoprano Zulmamezzosoprano Halybasso Lindorotenore IsabellaContralto Taddeobasso |
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Mustafàbasso Elvirasoprano Zulmamezzosoprano Halybasso Lindorotenore IsabellaContralto Taddeobasso |
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MustafàLorenzo Regazzobasso ElviraRuth Gonzalezsoprano ZulmaElsa Giannoulidoumezzosoprano HalyGiulio Mastrototarobasso LindoroLawrence Brownleetenore IsabellaMarianna PizzolatoContralto TaddeoBruno De Simonebasso Transylvania State Philharmonic Choir, Cluj Chorus masterCornel Groza Virtuosi Brunensis Alberto Zedda Kursaal, Bad Wildbad, Germany 2, 3 & 5 July 2008 |
ロッシーニ・イン・ヴィルトバート での2008年の演奏会形式上演のライヴ録音。ロッシーニ・イン・ヴィルトバート20周年の記念特別演奏会だった。公式サイトからは既に記録が消されているが、公式サイトのアーカイブからプログラム冊子がPDFでダウンロードでき、それによると公演は7月5日の1回のみ。2日と3日は総練習だったのだろう。これと別に本公演(舞台上演)があり、それを指揮したのは園田隆一郎だった。
記念特別演奏会だったので、主要4役はロレンツォ・レガッツォ、マリアンナ・ピッツォラート、ローレンス・ブラウンリー、ブルーノ・デ・シモーネと非常に豪華で、しかも指揮は天下のアルベルト・ゼッダ。非常に充実した演奏である。第1幕フィナーレのストレッタの猛烈なスピードには、微笑む悪魔ゼッダの姿が浮かんでくる。
ただしレチタティーヴォ・セッコは大幅に刈り込まれている。記念特別演奏会だったからだろうが、録音で聞くとなるとさすがに足りな過ぎると感じられる。
DVD
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MustafàMarco Vincobasso ElviraBarbara Bargnesisoprano ZulmaJose Maria Lo Monacomezzosoprano HalyAlex Espositobasso LindoroMaxim Mironovtenore IsabellaMarianna PizzolatoContralto TaddeoBruno De Simonebasso Coro da Camera di Praga Maestro del CoroLubomír Mátl Orchestra del Teatro Comunale di Bologna DirettoreDonato Renzetti Regia, scene e costumiDario Fo Lighting designerFranco Marri Regista collaboratoreArturo Corso BPA Palace, Pesaro, Italy DVD: August 2006 CD: 12, 15, 19 August 2006 |
2006年のロッシーニ・オペラ・フェスティヴァル ROF での公演の収録。ROFのサイトの公演記録によると、公演は8月9、12、15、19日。
この上演では第2幕のリンドーロのアリアに N. 9a Concedi, amor pietoso, を採用してる(その前のレチタティーヴォから差替えられている)
ダリオ・フォの演出は1994年に新制作されたもの。フォらしいあの手この手の賑やか過ぎる舞台で、賛否割れるかもしれないが、受け入れられれば楽しい舞台である。
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